これ電車? ディーゼルカー? 電車警察な人も気になる“ハイブリッド”な特急「ひだ」に乗ってきた:月刊乗り鉄話題(2022年7月版)(1/4 ページ)
ハイブリッドな電車って、さてどういうことでしょう? 注目の新型車「HC85系」、要チェックです!
2022年7月1日にJR東海の新型特急車両「HC85系」が営業運行を始めました。名古屋~高山間の特急「ひだ」のうち2往復、8月1日から3往復で活躍する予定です。
HC85系はディーゼルエンジンで発電しモーターで走る「ハイブリッド車両」です。
架線のない非電化区間を走行できるのでディーゼルカーのように見えます。もちろんディーゼルエンジンを搭載しています。ただし、このエンジンは車輪につながっていません。このエンジンは発電機です。発電機で電気を作り、モーターを回して走ります。
HC85系の各車両の形式は「電車と同じ」表記で、クモハ85形、モハ84形、クモロ85形です。「モ」はモーター付き、「ク」は運転台付き、「ハ」は普通車、「ロ」はグリーン車でしたね。これに対して、同じ区間の先代特急車両「キハ85系」はディーゼルカーでした。「キ」は気動車のキです。
HC85系のHCは「Hybrid Car」の略。「85」は「キハ85系」の85をいただきました。30年間もトップランナーだったキハ85系をリスペクトし、「新しい85系」として役目を継承します。
電車は「発電所」で作った電気を線路の上の架線に流して、パンタグラフから電気を取り入れてモーターを回します。地下鉄などでは線路にもう1本、第三軌条という電気を流すレールを置き、そこから集電靴(しゅうでんか)で集電して同じようにモーターを回します。HC85系は非電化区間を走るけれども、電動モーターで走る「発電所も内蔵した電車」というわけです。
「電車警察」の皆さんも乗りたくなる……HC85系
ところで、テレビ番組やラジオ番組で、出演者がディーゼルカーを「電車」と紹介したのち「先ほど電車と言いましたが、ディーゼルカーだそうです」と訂正することがあります。もう一般用語として「電車」でもいいじゃないかな、と思います。実際にディーゼルカーの車内放送でも「電車」って言うし。伝わりやすい方でいいよね。
でも鉄道ファンの中にはそれを許せない人がいます。だから放送局にクレームを入れちゃう。まるで「電車警察」です。で、放送中に「おわびと訂正」になっちゃう。電車警察の皆さん、HC85系は「電車」ですからね。「誤認逮捕」しないでくださいね。
鉄道のハイブリッド車両はすでにいくつか実用化されています。その中でHC85系は「国内唯一の特急形ハイブリッド車両として国内最速。最高速度は時速120キロ」です。つまり速い。ぜひ乗りたい。さぁ乗ろう。
エンジンで発電し、モーターで動くハイブリッドな新世代車「HC85系」(画像:JR東海)。エンジンで発電し、その電力で駆動するモーターで走る“シリーズハイブリッド方式のEV”。ハイブリッドEVである日産「ノート e-POWER」と似た仕組みです。鉄道において電動モーターで走る電車……はあたり前なのですが、それだけではない“EV”もある、と思うと「へー」とちょっと気になってきませんか?
クルマと同じく鉄道もハイブリッド時代に! 「HC85系」で行く飛騨・高山のんびり乗り鉄旅
「HC85系に狙って乗る」が目的のワタシにピッタリなお得きっぷ「飛騨路フリーきっぷ」も登場しました。出発日から3日間、高山本線のフリー区間(飛騨金山~飛騨古川間)を何度でも乗車できます。出発地から乗り放題区間までの特急「ひだ」指定席往復料金が含まれるほか、フリー区間は特急「ひだ」の自由席にも乗り放題です。ステキ。
さらに現地の交通手段として「レール&バスコース」か「レール&タクシーコース」の2種類から選択できます。レール&バスコースは濃飛バスの白川郷線バス往復乗車券または高山&新穂高フリー乗車券が付いています。レール&タクシーコースは指定されたタクシー会社の6000円分乗車引換券が付いています。飛騨路フリーきっぷは1人用から4人用まであります。4人ならバスよりタクシー移動がおトクかもしれません。
オレンジ色が現在の走行区間(出典:JR東海Webサイト)。HC85系はJR東海の在来線非電化区間用に開発された新世代のハイブリッド車両。高山本線の特急「ひだ」、紀勢本線の特急「南紀」の既存車両を置き換える予定
そして、2022年7月16日から8月31まで、HC85系導入記念の「Hallo! New HIDAキャンペーン」も行われています。期間中、岐阜県内で使える電子観光クーポン「ぎふ旅コイン」を2000円分もらえちゃう。ありがとう岐阜!! すばらしいギフトだぜ。岐阜だけにギフト。なんちゃって。
今回は飛騨路フリーきっぷのレール&バスコース・名古屋発着版を使いました。1人用で料金は1万2370円。旅のルートはこんな感じです。
- 1日目:名古屋~(特急ひだ1号)~高山~(濃飛バス)~白川郷~(濃飛バス)~高山泊
- 2日目:高山~(濃飛バス)~新穂高ロープウエイ~(濃飛バス)~高山~(特急ひだ36号)~大阪
濃飛バスのきっぷは「白川郷線バス」と「高山&新穂高フリー乗車券」の“どちらか”を選べます。でも、どっちも行きたい。片方は別途購入しました。ここで別途もらえた「ぎふ旅コイン」が効いてきます。
そしてなぜ、帰路は大阪でゴールなのか。こちらも別料金で乗りました。鉄道ファンならその理由、分かりますよね? 答えは後ほど。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.