精子提供の“ニセ協会”が「怪しい」とSNSで波紋 サッカー選手のアカウント乗っ取り公式を獲得 所属チーム「Twitterに問い合わせ中」(1/2 ページ)
インターネット上での精子提供は「精子が本人のものだと確認できない」などの問題点があります。
「怪しすぎる」「Google検索しても、Twitterしかヒットしない」──。実際は存在しないとみられる「日本精子提供妊娠サポート協会」と名乗るTwitterアカウントが物議を醸しています。同アカウントには公式マークが付いていますが、実際は公式マーク付きのサッカー選手のアカウントを乗っ取ったものとみられます。
“日本精子提供妊娠サポート協会”は、「当協会は、子供は欲しいけどパートナーがいない女性の方や、様々な事情がある女性の方を支援しています。紹介できる男性は全て身元確認をし、性病検査・精子検査をしています。アドバイザーによる指導も受けていますのでご安心ください。費用面等のご相談もお気軽にお問い合わせください」などと呼びかけ。
また、「当協会では、将来的に精子提供を受けたい女性の方からの費用を無料にしたいと思っています。その為には運用費用が必要となります」などと書き込み、Amazonギフト券での“寄付”を募っていました。
同TwitterアカウントはIDが一致することから、プロサッカークラブ「レノファ山口FC」に所属する眞鍋旭輝選手のTwitterアカウントを乗っ取ったものとみられます。
編集部が運営元のレノファ山口に問い合わせたところ、「Twitterアカウントの乗っ取りについては把握しております。ただ、眞鍋選手はしばらく、当該アカウントでTwitterを利用しておらず、いつこのような状況になったのかは把握しておりません。眞鍋選手およびクラブから、Twitter Japanに問い合わせていますが、現時点で回答はございません」と回答が得られました。
「精子が本人のものだと確認できない」などの問題点
近年、インターネットを通した精子の取り引きについて問題視する指摘が広がっています。国内初の民間精子バンク「みらい生命研究所」は、2021年6月の設立時に発表したプレスリリースのなかで、インターネット上での精子提供の問題点について、以下のように述べています。
「まず、精液を採取する際に衛生面や安全性が担保されていないこと。男性がなんらかの感染症にかかっていてもわからないこと。また、精液をそのまま体内に注入すれば、女性が感染症に侵される可能性もあります。そもそもドナーの本人確認や、ドナーから手渡された精子が本人のものだと確認することすらできないのです」
そのほか、提供者の人種や学歴を選べることから、「優生思想や商業主義につながりかねない」といった懸念なども存在します。同性カップルなどが医療機関での精子提供を利用しづらいなど現状に課題はあるものの、インターネット上での精子提供には、さまざまなリスクがともなうことを改めて認識する必要があると言えるでしょう。
なお、同Twitterアカウントは、7月30日にはツイートが非公開になり、8月4日現在はアカウント名が「眞鍋 旭輝」、プロフィールが「レイズ熊本→大津高校→桐蔭横浜大学→レノファ山口」と、眞鍋選手のものに戻されています。現在もツイートは非公開設定のままです。
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