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18歳で自死した高専の学生を描いた実話漫画が波紋 教師のハラスメントが原因か 遺族は「隠蔽がひどい」と批判(1/3 ページ)

遺族に話を聞きました。

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 「今から2年前、1人の学生が自ら命を絶ちました」――。2020年に国立東京工業高等専門学校(東京高専)で起きた自死事件の背景を描いたノンフィクション漫画が、社会に波紋を投げかけました。作者は漫画家の榎屋克優さん(@enokiyamanga)です。

 なぜ、事件当時まだ18歳だった野村陽向さんは命を絶たなければいけなかったのでしょうか? ねとらぼ編集部では、陽向さんの父・正行(@mnomura17)さんに話を聞きました。すると、陽向さんに危害を加えた学生主事補のX先生のみならず、東京高専をはじめ高専側にも問題があることが浮かび上がってきました。

「学生会の暴走だ」「ただでは済まない」など教師が暴言

 陽向さんは2018年、東京高専に入学しました。1年生のころから学生会に参加し、2年生で学生会長に就任しています。

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 ところが、2020年にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が感染拡大し、事態が一変しました。学生会の学生たちが文化祭「くぬぎだ祭」の開催可否を慎重に検討していたにも関わらず、X先生が強引に開催しようとして、「(中止意見は)学生会の暴走だ」「ただでは済まない」など脅しとも取れる発言を繰り返したのです。

 陽向さんが学生会の活動への影響を懸念して謝罪を要求したところ、X先生は書類を提出すれば応じると回答しました。後日、陽向さんが「ハラスメント申告書」を作成して提出したところ、X先生は慌ててすぐに学生会に謝罪しています。しかし、それでもなお、X先生からの「俺のキャリアに傷がついた」など、アカハラ(アカデミックハラスメント)とも取れる発言は止まりませんでした。

 2020年9月、学生会の活動で使用するために購入した物品について、陽向さんが監査を受けるようになってから、ますます事態は悪化していきます。昼夜問わず監査のメールが届き、陽向さんは夜の10時半からリモート面談を受けることもありました。関係者の証言によると、X先生が会計監査をしていた学生たちに指示を出していたというのです。次第に陽向さんの心はむしばまれていきます。

 2020年10月5日の午前1時から2時、陽向さんは自ら命を絶ちました。試験の1週間前になっても続く、厳しい審査に徐々に追い詰められてしまったのです。葬式に集まったのは10代の子どもが約半数で、多くが同級生や友達だったといいます。

 その後、陽向さんの自死について、独立行政法人国立高等専門学校機構(高等機関)が第三者委員会を設置しましたが、自死から約2年が経過した現在でも報告書は提出されていません。

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 陽向さんの自死からもう少しで2年が経過しようとしている今、父・正行さんはどのような心境なのでしょうか。正行さんは「長い2年間だった。なぜ陽向が死を選ばなければならなかったのか、ずっと考えながら調査してきました」と語ります。

作品提供:榎屋克優さん、協力・写真提供:野村正行さん

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