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AIを駆使して5日でできた30ページの絵本 実験的作品に注目集まる 作者「現在の精度ではまだできることが少ない」(1/2 ページ)

約300枚の絵を生成して、その中から30枚を並べるという手法。

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 AIを活用したイラストで、わずか5日で絵本が完成――イラストレーターの実験的作品が注目を集めています。


「暗い沼地の姫君」

 話題になっているのは、イラストレーターのあぶぶ(@abubu_newnanka)さんが公開した絵本「暗い沼地の姫君」。沼地の奥に住む人ならざる少女と、彼女のもとを訪れる女の子の交流を描いています。ダークで不思議な雰囲気が魅力的なお話で、「完全に絵本として成立してると思う」「AIがアシスタントとして理想的な仕事してる」などできばえや活用方法を称賛する声も寄せられています。

「暗い沼地の姫君」

沼地の奥に住む不思議な少女の話

 あぶぶさんによると、この絵本はテキストから画像を生成するAI「StableDiffusion」と「DreamStudio」で生成した約300枚の画像をつじつまが合うように30枚並べ、加筆してセリフとストーリーをつけて作成。制作は5日程度かかったそうです。

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 作画クオリティーが高いわけではなく、キャラクターも統一性のあるものは生成されないため、「毎回加筆の必要がありますし、何より人間がストーリーを作らないと始まりません。根気と手間と技術は引き続き要求されるものです」と手軽に作れるわけではないことも明かしています。

 「AIが描くものに意味はありませんが、であれば意味の無いものに意味を与えるのは人間の仕事です」――あぶぶさんはpixivに投稿した「暗い沼地の姫君」にこのようなメッセージを添えています。「AIにできること」と「ヒトにしかできないこと」を組み合わせた、これからの可能性を感じさせる作品です。編集部ではあぶぶさんに、この作品を作ったきっかけなどを聞きました。

―― AIによる絵本を作ろうと思ったきっかけは何ですか

あぶぶさん 最近はAI画像生成が話題でしたので、私も何か自身のイラストに活用できないかいろいろと模索していました。そこでツイッターでAI画像漫画作品「サイバーパンク桃太郎」「慟哭の天蓋」を見て、「じゃあ自分も何か短編一本作れないかな?」と思い試したのが本作です。

サイバーパンク桃太郎
慟哭の天蓋

―― AIで画像を生成する際にどんなキーワードを使いましたか

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あぶぶさん 表紙の生成に使ったプロンプト:the picture book of ”The princess in dark demoniac evil swamp", Large and impressive title logo. by satoshi kon, ilya repin, lena aenami, shinji kimura

ページの生成に使ったプロンプト:a page of the picture book, ”The princess in dark demoniac evil swamp", by satoshi kon, ilya repin, lena aenami, shinji kimura

 夕方の色調にしたい場合は「golden time, twilight」、主人公が歩いているカットが欲しい場合は「a girl walking in the swamp」などその都度変更しています。


夕方のような色

―― 制作は5日程度とのことですが、その中で一番時間や手間がかかった工程は何ですか。加筆はどのくらい行っているのでしょうか

あぶぶさん 手間のかかった工程はやはりつじつまの合いそうな並べ方を模索してお話を考えることですね。真面目にやるならお話作りにはもっと長い時間を使うべきです。

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 加筆部分はキャラクターはほとんど描き直し、全体的な色調の調整、コマがずれてたら微調整、背景も草木をちょっと足したり空中に舞う光の粒などをブラシで足しています。あとは「AIが生成してしまった不要なフキダシの削除」など。加筆前のものはFanboxで公開しています。登録だけで見られますので。

加筆前(左)と加筆後(右)

―― イラストからストーリーを考えるのと、ストーリーを考えてからAIで絵を作るのではどちらが大変ですか

あぶぶさん どっちも大変だと思いますね。今回はあくまで実験的なものなのでストーリーを掘り下げられているわけではありませんので、そういう意味では作るのは簡単でした。「AIが丸ごと生成したページ」をベースにしているのでその分編集の手間も少なかったと思います。

―― 今後AIを活用してどんなことをやってみたいですか

あぶぶさん 個人的には現在のAIの精度ではまだまだできることが少ないという結論です。私は手描きイラストをメインに活動していますが、その中にAI画像を取り込んでいくとしても、「遠景の遠い部分の生成」とか、「背景にあるちょっとしたポスターや写真の生成」とか、「SNSっぽい画面に使うアイコンの生成」で使っていきたいです。

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あぶぶさんはAI作画でさまざまな試みをしています

画像提供:あぶぶ(@abubu_newnanka)さん

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