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13万部の大ヒット! 『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』はなぜ売れているのか、名物編集長を取材

『地球の歩き方』の池田祐子プロデューサーと『月刊ムー』の三上丈晴編集長にお話を聞きました。

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 “混ぜるな危険”的コラボで話題を呼んでいる『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』(関連記事)。異例のコラボ本がなぜこんなに売れているのか。その裏側を『地球の歩き方』の池田祐子プロデューサーと『月刊ムー』の三上丈晴編集長に聞きました。


話題となっている『地球の歩き方ムー』

『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』とは――

 1979年に創刊した『地球の歩き方』とスーパーミステリー・マガジン『月刊ムー』がタッグを組んだ『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』は、「UFO出没スポット」「ギザの3大ピラミッド」など両誌の視点で異世界・パラレルワールドの歩き方を紹介するぼうけんガイド。

 異質すぎるコラボはSNSを中心に大きな注目を集め、13万部を突破する異例のヒットとなっています。

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異例のコラボのきっかけ――

 『月刊ムー』の三上編集長によると、コラボのきっかけは2021年1月に「地球の歩き方」社に就任した新井邦弘社長からの鶴の一声でした。『月刊ムー』編集部に在籍経験のあった新井社長が「『地球の歩き方』と『月刊ムー』がコラボすると面白いのでは」と提案し、両編集部の上層部が即決。

 「お見合いの場に行ったら、『もう式の日取りも決まってるんだぞ』って言われるような状況で拒否権はなかったんですよね(笑)。気づいたら“混ぜるな危険”を混ぜることが決まっていた」と、三上編集長は振り返ります。

 その後は『地球の歩き方』の池田祐子プロデューサーが、『月刊ムー』側に『地球の歩き方ムー』の礎となる企画書を持ち込んで制作がスタート。

 『月刊ムー』は通常執筆文字数が数千字に対して『地球の歩き方』は数百字など普段のレギュレーションとの違いに戸惑う部分もあったといいますが、『月刊ムー』から2人のライターと、『地球の歩き方』から各国の編集プロダクションなどのライター数十人が集結し、半年をかけて本書を仕上げていったそうです。

1カ月で7万部超えの大ヒット――

 コロナ禍もあり、企画スタート時は「『地球の歩き方』はピンチ状態だった」と振り返る池田プロデューサーによると、コラボは期待を一身に背負う企画だったものの、「そんなに売れるわけがないだろう、ムー関連の書籍が」という声も上がっており、学研グループ内部では本書が売れるかどうかについて懐疑的な意見が多かったとのこと。

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 そのため初刷りは控えめに3万部と決定しましたが、発売初日から「在庫はあるのか、ないのか」という問い合わせが書店よりひっきりなしに入り、完売が続出していると発覚。大型書店の発売記念イベントでは平積みしてある予定だった本書が売れまくって品薄になっており「おひとり様○冊まで」状態になるという緊急事態に。

 その後も予約が相次いでいたことから急きょ増刷を依頼したものの、“石橋をたたきまくって橋が崩壊寸前までにならないと信じてくれない”販売部は2刷で数千部だけの増刷を決定し、またもや売り切れるという展開が続いた。しかし徐々に「本当に売れているようだ」ということで増刷部数も増え、気づけば発行部数が13万部に到達していたとのことでした。

 三上編集長によると『月刊ムー』の愛読者は意外にも4割が女性。一方、『地球の歩き方ムー』は男女半々の売れ行きで、メインターゲットとしていた30~40代はもちろん、20代女性や子どもたちからの支持が厚く、「混ぜるな危険を思いっきり混ぜてみたらビッグバンが起きちゃった感じ」と三上編集長は笑顔を見せました。

両編集部オススメのページは――

 池田プロデューサーの思い入れが深いページは「不思議なグッズをお土産に」のページ。各担当者の私物が掲載されており、ヒマラヤに住むといわれている“イエティのぬいぐるみ”など、各担当者の私物が掲載されており、ネパールのお土産“マ二車”は池田プロデューサーの私物だといいます。

 また「各地に残るキリスト教の聖遺物」のコーナーについては、「他国の聖遺物は丁重に隠してあったのにアルメニアのロンギヌスの槍はドーンっと置いてったのがとても印象的でした。普段の『地球の歩き方』では、ロンギヌスの槍などのテーマは掲載できるかギリギリのラインなのですが、『地球の歩き方ムー』だと神話などの世界も取り扱えて新鮮でした」と振り返りました。

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 三上編集長のオススメは「3宗教の聖地エルサレム」のページ。“THE聖地”ということで読みごたえがあるとのこと。また、不思議スポットマップの裏側は世界ミステリーMAPになっているなど、裏と表のページで『地球の歩き方』の世界観と『月刊ムー』の世界観が一挙に楽しめるのが本書ならではとなっています。

『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』を課題図書に――

 「『月刊ムー』の読者は割と年齢層が高かったりするので、本書をきっかけに若い層、特に小中学生にムーの世界が広がったらうれしいです」と語る三上編集長。池田プロデューサーも「ぜひお子さんに読んでほしい1冊です」と語り、「想像力を無限に刺激する本なので、ぜひ自由研究の題材や課題図書にしてもらえたらうれしいですし、いつか学級文庫に置いてある1冊になってほしいです」と野望を語りました。

 本書に携わった中で特に印象的だったのは、「『地球の歩き方』のベテラン編集者がムー民化した」ことだった」といい、「あえて紹介してこなかったムー的なものを『紹介してよい』ということになって一気にピンが抜かれた感じになったのかもしれません」と池田プロデューサー。

 対して三上編集長は「学級委員が悪い友達とつるんで何かに目覚めちゃう的なことですよ。スフィンクスの目からビームはまずいって言っているのにしっかり入れてくるしね(笑)。ムーはひたむきに怪しく、まじめに怪しく、世界の陰謀を暴いてきたので、ムーと交われば必然的にムー的になってしまうんですよ」と怪しく微笑んでいました。

 早くもシリーズ化を熱望する声も上がっている『地球の歩き方ムー(異世界の歩き方)』。果たして続編が出るのか出ないのか、信じるのはあなた次第です。

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(Kikka)

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