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カスハラで困っていた販売員を意外な方法で助けてくれたお客さん 体験談漫画に18万いいねと「こういう人になりたい」の称賛(1/2 ページ)

漫画を読んだ他の販売員からは共感の声。

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 カスタマーハラスメント(カスハラ)から助けてもらったエピソードを販売員の視点で描いた漫画が、Twitterで「かっこいい」「自分もそうなりたい」と話題になっています。作者にカスハラ問題について聞きました。

(※カスタマーハラスメント:顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為

販売員の視点から描いた、カスタマーハラスメントとそこから助けてくれたお客さんのエッセイマンガ
漫画に添えたコメントからは、作者の強い感謝の気持ちが込められているのがうかがえます。

 デパートで贈答用のお菓子やお茶を販売するタジマオオカ(@pu92yu)さんが、自身の体験を描いた漫画。お店に来た人から「態度が悪い」「値引きしろ」と絡まれていたときに、マダムのような雰囲気のお客さんがやって来ました。「いつまでかかってるの? 5個包んでほしいのよ! 急いでるんだけど」といらだっている様子です。

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 彼女がタジマさんに絡んでいた人に「お宅さまが先よね おいくつ注文でいらっしゃるの」と聞くと、その人はあっという間に逃げてしまいました。怖そうだったお客さんは一転、「ああいうの大嫌いなの ゆっくり包んでくれていいから」とタジマさんに優しく言葉をかけてくれます。キツイ口調で声を掛けてきたのは、絡んでいた人を追い払うためだったようです。

 タジマオオカさんは、Twitterで流行していた「#接客業であったすごい客」というハッシュタグに合わせて漫画を投稿。18万を超えるいいねを集めたこの漫画について、描いたきっかけや販売員を取り巻く状況などを、タジマさんに聞いてみました。

――この出来事を漫画に描こうと思った理由を教えてください。

タジマさん もともとTwitterでカスタマーハラスメントの体験記(カスハラ物語、全8話)を数ページ描いていましたが、回を追う毎に内容が厳しいものになり、描きながらいつもこのステキなお客様のことを思い出していました。そのときに「#接客業であったすごい客」というタグを見かけ、タグが流れてしまう前にこの方のことを描きたい! と思いました。

タジマさんが描く体験記

――漫画で描かれていたような、困ったお客さんに遭遇することはよくあったのでしょうか。

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タジマさん こちら側に全く非がない場合の「謂れなきクレーム」に関しては販売だけではなく接客の場面では結構あることかと思います。

――他にも印象に残っている出来事があれば教えてください。

タジマさん  1日にたくさんのお客様と接するので印象に残る方は多くいらっしゃいます。目の前で風船の動物を作ってくださったり、たくさんの飴玉を黙って店頭に置いていってくださったり……。

――漫画への反響についてどう感じましたか。

タジマさん 反響には驚きました。そして多くのコメントなどから、こういった状況について周囲の方々がこんなにも温かく見て下さっていることを知りました。うれしく、ありがたく、そしてとても勇気をいただいたと思っています。

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――カスハラ問題について、漫画を読んた人に伝えたいメッセージがありましたらお願いします。

タジマさん カスハラ問題については現場の従業員だけで解決策を探すのがとても難しいので、上司の方も一緒に考えてくださったらありがたいと思っています。


 投稿には「最後の一言が…優しくてかっこいい」「いろんな形でやさしく出来るんだよね人って…」「素敵なクレーマー撃退」とお客さんを称える声や、「カッコいい。こういう人になりたい」「めっちゃくちゃかっこいいですね! 覚えておこう…」「こういうマダムになりたい!」と、自分もそうでありたいというコメントが多数寄せられていました。

 また、販売員の立場からは「もう50回ぐらい繰り返し読んでるけど最後のコマで何度も泣ける現役小売店員です」「理不尽なクレームで拘束されている時、他のお客様の対応が後回しになってしまって二重で責められることも多い中、こういったお客様は本当に神様としか思えないです…」といった感動の声がありました。

 厚労省の2020年の調査では、企業におけるカスハラの相談件数は、パワハラ、セクハラに続いて多く、近年増加している可能性があるとのこと。同省では、企業にはカスハラに対して従業員を守る対応が求められるとしており、タジマさんのような人たちが安心して働けるような店ぐるみ、企業ぐるみでの対策が望まれます。

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作品提供:タジマオオカ(@pu92yu)さん

(谷町邦子 FacebookTwitter

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