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「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」レビュー 「目に映る全てがラッセン」と思うほど美しい、3時間12分に渡る特濃キャメロン監督成分の塊(1/3 ページ)

ハイフレームレートと3Dもとんでもなかった。

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 「タイタニック」「ターミネーター」シリーズなどで知られるジェームズ・キャメロン監督の最新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」が12月16日から公開されている。今作は2009年公開に公開された「アバター」の、なんと13年ぶりとなる続編だ。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」 12月16日(金)全国劇場にて公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン (C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 結論から言えば、人類史上最高レベルにお金と労力のかかった映像と、「ジェームズ・キャメロン監督……お前本当にジェームズ・キャメロン監督だな……!」とうならされるほどの「ジェームズ・キャメロン監督の特濃抽出」を、3時間12分ずっと味わえるすさまじい映画だった。

 そう、今作は上映時間がとてつもなく長い。2022年には同じく上映時間の長さが話題になった「ザ・バットマン」(2時間56分)や「RRR」(2時間59分)もあったが、それすら上回っているし、キャメロン監督作「タイタニック」(3時間14分)にも肉薄している。

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 だが、今作では上映時間中ずっと「浴びる」ことになる映像体験が待ち受けており、もう見終わるころには「参りました」「キャメロン監督愛している」となったので、長さについては全肯定してしまえる。ただ、事前のトイレはちゃんとすませておいてほしい。

 また、前作「アバター」を先に鑑賞しておくことを、強くおすすめする。もちろん予備知識がなくても、大筋の物語と、映像のスペクタクルは大いに楽しめるが、完全に前作を踏まえた「因縁」がからんだ心理描写もあるからだ。

 そして今作は、今年公開された傑作群「トップガン マーヴェリック」や「THE FIRST SLAM DUNK」などと同じく、「映画館でこそ見るべき映画」でもあった。その理由を記していこう。

※以下、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」のネタバレは避けていますが、前作「アバター」のネタバレは含みます。前作を未見の方はご注意ください。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」本予告編

前作とは異なる「家族の物語」に

 今作のあらすじを紹介しよう。元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、惑星パンドラの一員となり、ナヴィ族の女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていた。だが、再び現れた人類の手により、家族は森から追われ、「海の部族」の元へ身を寄せる。そして、その美しい海の楽園にも、侵略の手は迫っていた。

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(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 今作で何より重要なのは、「家族の物語」になっていることだろう。主人公夫婦は、年相応の未熟さがある子どもたちの言動に頭を悩ませているが、彼らを命を懸けて守ろうとする。詳細は伏せるが、主人公たち以外の家族の姿も、とてもエモーショナルに描かれていた。

 前作同様「原住民VS侵略をしてくる人間」という対立の構図そのものは同じだ。だが、家族の物語がクローズアップされたことで前作の二番煎じにはなっておらず、加えて家族を超えた「絆」の物語にもなっている。それは、過去にも「エイリアン2」や「ターミネーター2」といった続編で、擬似家族的な関係や絆を尊く描いてきた、キャメロン監督らしさであると思うのだ。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 また、前作で演じるキャラクターが死亡していたはずの、シガニー・ウィーバーとスティーヴン・ラングが引き続き出演していることも注目ポイントだろう。この2人の役回りはすでに情報が解禁されており、もちろん知って見ても全く問題ないのだが、サプライズも含めて楽しみたいという方は、予備知識のないまま映画館へと駆け付けてほしい。

大好きな海でできること全部やってやる

 前作は森や空が冒険の中心だったのに対し、今回は大海原が主な舞台となる。水の中の光景は「目に映る全てがラッセン」と思うほどに美しく、海の動物たちとの交流も描かれ、さらにはみんな大好き「バトルシップ」を連想させるド派手なバトルも行われるのがたまらない。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 この「水(海)」というモチーフが、実にキャメロン監督らしい。「アビス」は深海で人類が未知の生命体に出会うSFであったし、「タイタニック」は言うまでもなく船ごと海に沈む。キャメロン自身、海には並々ならぬ想いがあり、17歳からスキューバーダイビングに目覚め人生において何千時間も海に潜り、潜水艇で深海への有人探査をして海底火山を見たり世界最深の場所(マリアナ海溝)まで行っていたりもした。

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 「アビス」と「タイタニック」では巨大な水槽を用いた超大規模の撮影が行われたが、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」でも前代未聞の試みがされている。それは、水中でのパフォーマンス・キャプチャだ。もちろん俳優陣の肉体には多くの負荷がかかるため、子役も含めて何カ月ものフリーダイビングのトレーニングを重ね、 通常は10秒程度しか撮れない水中での撮影を、1~2分まで伸ばすことに成功し、水中でのさまざまな演技を可能にしたという。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 そんなわけで、「海めっちゃ大好き!」なキャメロン監督が、超絶美しい海のなかを縦横無尽に泳ぐわ、愛おしい海の動物たちと意思疎通するわ、考えうる限り最大級の海上バトルはするわで、「俺の大好きな海でできること全部やってやる」のが、この「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」なのである。

(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 さらに、キャメロン監督は環境問題に熱心に取り組んでいることでも知られており、今回の「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」では「“地球の海”を守るキャンペーン」が実施されていて、その特別映像も公開されている。前作に引き続き、良い意味でシンプルに「侵略者許せねぇ!」「環境破壊するんじゃねぇ!」と思える内容でもあるので、キャメロンの意志に賛同できる方は、この機会に海の環境問題に目を向けてみるのもいいだろう。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」公開記念「Keep Our Oceans Amazing(わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう)」

ヌルヌルの動きと3Dも凄まじかった

 キャメロン監督は、世界最高峰のスタッフと共に「こんなの見たことない!」革新的な映像を届ける作家でもある。

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