「死の宣告が来ました」電気代値上げでゲームセンター悲鳴 店長に現状と対策を聞いた(1/2 ページ)
SNSでは時代を憂う声とともに、応援も寄せられています。
「ついに死の宣告が来ました」――。電気代の値上がりによる経営の負担増加を嘆く、とあるゲームセンターのツイートに注目が集まっています。編集部は、ゲームセンターが直面する現状について店長にインタビューしました。
ツイートしたのは岡山県倉敷市のゲームセンター「ファンタジスタ」で店長を務める大島さんです(アカウント:@amfantasista)。大島さんは電力の値上がりを知らせるパンフレットの写真を投稿。「4月から電気代が5割以上値上がりです。目の前が真っ暗に…。試算では年間で150万~200万ほどの負担増の見込みです。」と嘆きを吐露しました。
投稿された画像は、中国電力の案内パンフレットを写したもの(参考:公式サイト「電気料金単価表-低圧供給のお客さま(2023年4月1日実施)」の7ページ)。料金見直しにより、電力量料金の単価は季節問わず1kWhあたり、11円以上増加しています。見直し前の価格は、夏季は約19円、冬季は約17円であることから、5割を超える値上がりなのが分かります。
大島さんによると、契約しているのは「低圧高負荷契約」という商店や事務所など向けのプランだと言います。中国電力に取材したところ、これは現在は受付停止中となっている古いプランで、最近のものとは燃料費などの仕組みが異なっているとのこと。4月の値上げに合わせた調整で、このプランで契約している事業者は、特に電気代が急増してしまう事態となっています。
※【2023年1月27日訂正】「低圧後負荷契約」との表記がありましたが、「低圧高負荷契約」の誤りでした。お詫びして訂正します。
こうした現状に対し、SNSでは「ゲーセンやばい……」「えげつないなぁ…」「マジでゲームセンター未来暗い」「ゲーセンじゃ電気使用量減らす工夫も難しいし、サービス価格に反映するのも難しいし、困ったもんだねぇ」など、ゲームセンターの窮状を嘆く声であふれています。中には、「何とか生き残って頂きたい」「今日はジスタに貢ぎに行くか…」など、応援する声も。
編集部は、ファンタジスタの現状や今後の対策について、店長の大島さんに取材しました。
―― ゲームセンターにとって、これまで電気代は経費のどれくらいの割合を占めていたのでしょうか
大島さん:規模やラインアップにもよりますが、コロナ前で15%前後、コロナ禍以降では売上に対する固定費の割合が増えているため20~25%ほどです。今回の値上げが実施されたら、30%を大きく上回ることになると思います。
―― 現在実施している節電対策はありますか?
大島さん:コロナ禍以降ゲーム機の間引き営業を継続しています。閉店時間が近づいてお客様がいなければ早めに電源を落とす、店内の状況によっては早めに閉店するなどの対応をしていますが、これ以上の節電や時短営業はお客様に不便を強いてしまい集客にも影響するため難しいと考えています。
―― 今後の対策について教えてください
大島さん:売上増加が見込める機種を積極的に導入していくことが対策の柱ですが、リスクを伴いますので判断が難しいところです。逆にゲーム機の売却などは売上を減少させてしまうので極力避けたいと思っています。
来店しなくても可能な支援として、Amazonプライム会員であれば無償で支援が可能なTwitchサブスクライブの周知や、パトロンサイトの登録の呼びかけを継続的に行いつつ、コロナ禍の時に実施したようなチャリティグッズ販売も検討したいと思っています。
プレイ料金の値上げについてはユーザーが1日に消費する金額が変わらない限り、遊んでいただく回数が減るだけなので、かえってお店が寂しくなり逆効果になりかねないと思っています。電子マネーについても導入費用に加えて手数料等のコストがかかるため店舗にメリットが少なく、今のところ考えていません。
家賃の値下げ交渉も検討したいのですが、コロナ禍の際にも大家さんに助けていただいており心苦しいです。
―― 電気代が上がって以降、採算をとることはできるのでしょうか?
大島さん:現状の売上で推移するようであれば採算は取れません。
電気代の値上げが一過性のものであれば、対策の積み重ねでその期間を耐えて乗り切りたいと思っていますが、今後も電気代の値上げが続くようでしたら閉店は時間の問題です。
これは業界全体の話でもあるのでメーカーさんとも力を合わせて対応できればありがたいです。
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