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全ての犬を助ける力がないのなら―― 特定犬種を扱うブリードレスキューの知られざる活動とメリット、“どんな状態でも助ける”決意とは(3/3 ページ)

ブリードレスキューを取材しました。

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2度不幸な目に遭わせたくないから……

――「保護犬を迎えよう」という風潮が高まる中気を付けていることはありますか。

 当会から保護犬の正しい情報をお伝えするだけでなく、迎えてくださるお家の状況、家族についてもかなり細かく事前に確認させてもらっています。“家族の中に1人でも反対者はいないか?”“フローリングの滑り止めや脱走防止柵の設置”“お留守番の時間”など……そして、どんな状況になってもちゃんと医療ケアをして最後までかわいがってくれるかを直接会って確認しています。1度でもつらい目にあった子を、もう2度と不幸な目にあわせないためです。

――その他に地域などの条件はありますか?

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 基本的に“遠いという理由だけ”で、譲渡も保護の引き受けもお断りすることはありません。例えば、九州→東京でも健康状態をみながらリレー搬送してくれるボランティアさんも各地で募ります。心臓の悪い子が多いため、夏場は避けることと事前の医療チェックは必須ですが、飛行機での移動の方が負担が少ないと判断すれば、バゲージボランティア(動物輸送の手助けを行うボランティア)をお願いすることもあります。里親希望者さんへの何より1番の条件は「その子を大切にしてくれること」です。譲渡の流れや条件についてはWebサイトをご覧ください。

――現在里親募集中の子はいますか?

 現在、6歳の男の子「ペペ」が里親を募集中です。他に募集準備中(ケア中)の子が3匹、トライアル中の子が1匹いて、最新情報はWebサイトで随時更新していますのでチェックしていただければと……。また、準備中の子たちの様子はブログ「キャバリア ニコラ様 ご奉仕日記」にて発信しています。

保護することが目的ではなく、その先の幸せを約束したい

――今後の活動予定は?

 5月に大きなキャバリアのイベントに参加を予定しています。コロナも落ち着いてきましたので、今年こそは譲渡会やフリーマーケットなどの独自イベントを再開し、そこでかわいい保護っ子をご紹介できたらと思っています。引き続き、キャバリアの特性を良いところも悪いところも広くお伝えし、安易な気持ちで飼い始めない、飼い始めたら最期まで責任をもって愛情深く接する、保護犬だとしても、他の犬と変わりなく愛おしい存在だということなど……当たり前のことですが、それを多くの方に知っていただけるように保護活動と啓発活動を平行して行っていきたいと思っています。

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――キャバリアレスキューの目指しているところはどこですか?

 今は、1匹でも多くの子を保護して、保護した先の幸せを約束できる家族とつないであげることが大命題です。

 究極は、いつか行き先のないキャバリアがいなくなって、キャバリアレスキュー隊 東京が存在しなくても、虐待や里親詐欺の心配がなく、個人でも受け皿が見つけられるような社会になることです。

イベントに参加して啓発活動もしています
ケア中のデコちゃん

――ブリードレスキューのあり方について考えを聞かせてください。

 キャバリアレスキュー以外にも犬種に特化したブリードレスキューを行う団体はいくつかあります。“犬種”の他にも“猟犬”や“短頭種”といった特徴ごとや、“看取り専門”などに特化したレスキューの団体もあります。また、地元の愛護センターと深く連携している団体さんは、処分の期限がある中、なんとか救おうと奮闘されています。どんな形であれ、1匹でも多くの幸せのために動いているみなさんにいつも敬意を持っています。

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虹の橋を渡ってしまったけど、今も本多さんの奮闘を見守ってくれているアポロくん&ニコラくん

 始めたころは、まだ犬の殺処分も10万匹を超え、大人しいキャバリアであっても、年をとっていたり希望者がいない場合は処分されていました。時間をかけて少しずつ少しずつ、ブリードレスキューだからこそ、病気が多くても重くても、それをご存知な里親希望者さまにご縁が頂けること。またお世話するスタッフも心臓をはじめ遺伝疾患に慣れてるので、ちょっとした症状の変化も見逃さず、手厚くケアできることなど……地元の協力団体様、個人ボランティアさんにご理解・ご協力いただきながら現在の形になり、繁殖リタイア犬の保護などもお声がけいただけるようになりました。すべての犬種に当てはまるわけではありませんが、保護活動の1つの形として認知され、発展してくことを願っています。

(了)

取材協力:キャバリアレスキュー隊 東京

画像提供:キャバリアレスキュー隊 東京キャバリア☆ニコラ様 ご奉仕日記キャバリアレスキュー隊 東京(@cavalierrescueteamtokyo)Instagramアカウント

参照:環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」



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