ニュース

映画「エブエブ」 アカデミー賞最有力だけど、主婦が確定申告中にバトる実写版『すごいよ!!マサルさん』だった件(1/3 ページ)

ミシェル・ヨーがカンフーで変態集団に立ち向かう!

advertisement

 映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(以下、「エブエブ」)が3月3日に公開された。本作はアカデミー賞で作品賞をはじめ10部門で11(助演女優賞で2人)の最多ノミネートを果たしている。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 3月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー 配給:ギャガ (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 その内容が「主婦が確定申告中にバトる実写版『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』だった」と言うと、信じてもらえるだろうか……。いや、信じてください。本当にそんなトンデモでカオスな映画だったのだから。

 3月13日(日本時間)にアカデミー賞の授賞式、3月15日に確定申告の期限が迫る今見るのにもピッタリだ。具体的な作品の特徴と魅力を記していこう。

advertisement
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」予告編

セクシーコマンドーそのもの

 本作の主人公は平凡な主婦・エヴリン。家族で経営しているコインランドリーに監査が入ってしまったため国税局に来た彼女は、突如として違う世界から来たという夫・ウェイモンドから「全宇宙にカオスをもたらそうとしている強大な悪を倒せるのは君しかいない」と告げられる。つまりは、「マトリックス」や「新世紀エヴァンゲリオン」よろしく、「いきなり使命が与えられる系」の映画でもあるのだ。

(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 この時点でぶっ飛んでいるが、さらにエヴリンは「違う宇宙の自分とリンクし、その自分が持つ能力にアクセスする」“バース・ジャンプ”という手段に挑む。しかし、それを行うにはなぜか「変な行動」が不可欠だという。バカバカしければバカバカしいほど、それが燃料となってジャンプが確実に成功するので、敵も味方も変な行動をどんどんエスカレートしていくのだ。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」本編映像 アクションシーン1

 お分かりいただけただろうか。戦う前に「変な行動」をする。まさに、あのギャグ漫画の金字塔『すごいよ!!マサルさん』の劇中で繰り出される架空の格闘技「セクシーコマンドー」そのものではないか!

(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

カンフーマスターの主婦VS変態集団

 しかも、『マサルさん』の第1話で主人公の花中島マサルはズボンをおろして迫り来る、実に変態的なセクシーコマンドーを繰り出していたが、この「エブエブ」の敵はバース・ジャンプをするためにズボンどころかパンツまでおろす(モザイク演出があるので安心してください)。さらに、伏線として国税局に置かれていた「あるもの」を尻にぶっ刺すという最強の変態行動に挑むのだ! 本家セクシーコマンドー顔負けである。

 対して主人公のエヴリンも、山にこもってカンフーの修行をしたアクションスターという、 違う宇宙の自分の能力を手にする。何しろ演じるのは「グリーン・デスティニー」や「シャン・チー/テン・リングスの伝説」などで知られるミシェル・ヨーなので、そのキレのあるダイナミックなカンフーアクションも大きな魅力となっていた。カンフーマスターの主婦VS変態集団というのも実にワクワクする。

advertisement
(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 さらに、マルチバースそれぞれの世界がこれまたヘンテコで、シュールな絵面のオンパレードだったりする。笑うと同時に「なんじゃこりゃ!」と困惑するのも、実に『マサルさん』っぽいのだ。

 さらに、戦い方やシュールなギャグの他にも、『マサルさん』を想起させた具体的な理由がもうひとつあるのだが、それはどう書こうがネタバレになってしまうので伏せておこう。ひとまず、「こんなことをするのは『マサルさん』とこの映画しかねぇよ」と思ったことだけは明記しておく。

(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

監督の前作の時点でまともな映画になるわけがなかった

 なぜこんなにカオスな映画が生まれたんだ? と思う方は多いだろうが、ダニエルズという監督コンビによる前作「スイス・アーミー・マン」を踏まえれば納得する方も多いはずだ。何しろ、こちらは「ダニエル・ラドクリフの水死体を十特ナイフのように活用してサバイバルする映画」だったのだから。

「スイス・アーミー・マン」予告編

 それに続く「エブエブ」も何を食べればこんな映画を思い付くんだと思うばかりだが、ダニエルズは「劇中のマルチバースはインターネットのメタファー」「人はネットの中で、異世界で剣を振り回す英雄になったり、世界中の数十万人から見られる有名人になったりする」と説明している。なるほど、ネットの世界で「違う自分になれる」現代の世相を、ポジティブに見た映画と考えることもできるだろう。

(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 さらに、ダニエルズは自身たちの映画が独創的だとか奇妙だとかと問われると、「アニメを見たことがありますか」と思わず逆に聞き返してしまうという。

advertisement
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  3. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  4. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  5. 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  6. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  7. 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  8. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  10. 「リンゴを○○で巻いて焼くとヤバい」 リンゴ農家がオススメする“意外な食べ方”に30万表示の反響 「絶対においしいやつ」