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「PS5を全社員に支給したら税理士にめちゃくちゃ注意された」 社長になぜ注意されたのか聞いてみた(1/2 ページ)

税理士と社長の意外な関係性も判明。

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 プレイステーション 5(以下、PS5)を全社員に配布――夢のような福利厚生ですが、そこに思わぬ落とし穴があった、とのツイートに注目が集まっています。

 ツイートを投稿したのは、映像制作・ゲーム開発会社Glitz Visuals代表の江口拓夢(@takuegg_)さん。在籍する約15人の従業員のほとんどがPS5を持っていなかったことから、3月にインターン生を含む全社員にPS5を支給したと発表。このとき7000件近い“いいね”を獲得するなど、その太っ腹な“神対応”ぶりが話題となりました。

PS5支給という神対応

 ところが5月になり、江口さんは「めちゃくちゃ税理士さんに注意されました」と、まさかの告白。前例のない施策ゆえに、何らかの落とし穴があったようです。いったいなぜ税理士に怒られてしまったのでしょうか? ねとらぼ編集部では江口さんに詳しく話を聞きました。

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──そもそも、なぜ全社員にPS5を支給しようと思ったのでしょうか。

江口拓夢さん(以下、江口): 弊社はゲームを作っている会社ですが、社員にPS5を持っていない人が半数以上居ました。当初は転売ヤーによる品薄で手に入らないみたいな事情もありましたが、社員の中には「ゲームを作ることに興味はあるが、プレイすることには興味がない」といった人もいまして。

 僕としては「ゲーム開発者として最新のゲーム機は触らないのはいかがないものだろう」「ユーザーの気持ちは知っておくべきだ」と考えました。ですので業務の一環として、会社側で支給することにしました。

 弊社は立ち上げてまだ1年たったばかりなので、関わったタイトルはまだ世に出ていませんが、開発したゲームのエンドクレジットに自身の名前を見つける体験はお金では買えないプライスレスな価値があります。それを大事にしてほしい、実感してほしいとの意図もありました。

──それがなぜ税理士に注意されてしまったのでしょうか。

江口: 今回お叱りいただいた税理士の方は僕にとって経営の師匠みたいな存在で、フリーランスの頃から仲良くさせてもらっている方でした。しかし、実は3月の確定申告まで、PS5の購入について相談していなかったんです。

 経費としてPS5を購入しましたが、「消耗品費として計上できるか微妙なので判断してください」と、事後報告してしまいまして。それで4月に「いきなりあれだけの額の福利厚生は目立つよ」と注意されました。

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 僕としてはエンジニアにPCを、ピアニストにピアノを渡すような感覚でした。社員全員にPS5を支給するようなケースはかなりレアなようで、総額50万円弱と比較的高額だったこともあり、税務署が意図をくんでくれるかどうか分からない、といったことから税理士からはクギを刺されてしまいました。ただ、いまのところ税務署から怒られたということはありません。

江口さんが投稿した補足説明のツイート

──PS5を支給された職員の反応はいかがでしたか

江口: 「もともとほしかったので、会社で買ってくれたのはうれしい」といった反応をもらえたのはうれしかったですね。支給したタイミングは品薄が解消しはじめた時期なので、買いたくても買えていなかった社員が喜んでくれました。

 ただ、そもそもゲームをしない社員からは「もらってもいいけど、持って帰るのは面倒」「家でも触っていない」と伝えられ少し悲しかったです。でも公平性を保つためにもその人だけ現金支給にするわけにもいかなかったので、そこは仕組み上しかたないなと割り切りました。

 とはいえ、ゲームのクレジットに自分の名前が入っているのを実際に見る機会もまだ来ていませんから、まずはそれを見てもらいたいですね。

取材時の江口さん

──今回の試みについて、他の企業からの反応はいかがでしたか。

江口: 「会社規模も小さいのに、そんなに社員に還元して大丈夫なの?」というように、経営を心配してくださる反応が多かったです。他社さんはそこまでお金を投入しづらいらしく、踏ん切りがつかない印象でした。中には「それなら社員旅行に行きたい」みたいな声もありましたが、起業前は僕自身が上司と一緒に旅行に行きたくなかったので、このような形で還元しました。

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──SNSでの反響はいかがでしたか。

江口: Twitterアカウントがクライアントに見つかって、ちょっと恥ずかしかったですね。ただ、バズったことで弊社に応募してくれる人もいて、そこから採用までつながるパターンもありました。このタイミングだと「PS5目当てかな」とちょっと思いますけど(笑)、スキルがあればそれでも問題ないかなと。

──今後も似たような福利厚生はしていく予定でしょうか。

江口: 過去には「テレビはデカければデカいほどいい」と思っていたことから、50インチ以上のテレビを支給したこともありました。テレビはモニターとして経費の扱いにできたんです。

 今後も経営状況によりますが、経費になりそうなものは社員に支給していきたいと考えています。次は税理士にちゃんと相談してから、怒られないように進めたいですね。


 PS5を全社員に支給するには、PS5が業務に関わっている必要があるため、実施できる企業は限られてしまいそうです。ですが、こうした社員のやる気を向上させる福利厚生がある企業は働くのも楽しくなりそうですね。

物書きモトタキ

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取材協力:江口拓夢(@takuegg_)さん

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