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「プロ野球ってファンへの福利厚生が良くないですか?」 WBCをきっかけに初めて球場に行った“アラサー女性オタク”に起きた変化がすごかった(1/2 ページ)

観戦ガイドと共にお届けします。

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 ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で日本代表が優勝し、日本中が大きくわいた2023年。先日終了した「日本生命セ・パ交流戦 2023」では1試合平均の観客数が昨季比で18.2%増えるなど、プロ野球への注目が高まっていることがうかがえます。

 そんな中、筆者の周りの女性、中でもアイドルやバンド、俳優などの「何かのファン」をしているアラサーオタクから、野球を見始めたという声をちらほら聞くようになりました。さらに、以前から野球場に足を運ぶことがある筆者のところには、各方面から「野球見たいから、球場に連れていって!」という声が届くように。いままで、いわゆる「野球好き」の人しか球場に誘えなかったのに、みんなが野球に興味を持っている……! これが「だから僕たちみんな野球場に連れてって」ってやつ!?

 では、いま「野球を見に行きたい」アラサー女性は、いったいなにを見るために野球場に行こうと思ったのか。そして、実際に観戦してどんなことを思うのか。初の現地観戦を終えた2人の女性の感想を、観戦ガイドと共にお届けします。

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座談会の参加者

さめぬい:中学生のころ、当時流行していたヴィジュアル系バンドにハマる。社会人になり、ハロプロや東京女子流も推すように。野球のルールは祖父が観ていた巨人戦中継のおかげで覚えた。

大将:小中学生のころはJリーグのサポーターだったが、好きな選手の移籍後、熱が下火に。現在は宝塚歌劇を推している。野球のルールは漫画『おおきく振りかぶって』『Mr.Fullswing』で大まかに履修。

小林:ねとらぼ編集部員。インターネットとテーマパークと野球場が好き。

――最近、私の周囲の女性がにわかに野球を見始めているのを肌で感じています。お2人も、5月21日の横浜スタジアム(横浜DeNAベイスターズ VS 東京ヤクルトスワローズ戦)で初の現地観戦をしたわけですが、そもそも、アラサー女性が今このタイミングで野球を見に行きたい! と思ったきっかけはなんなのでしょうか。

さめぬい:やっぱりWBCで野球が超盛り上がっているのを見て、現地で見てみたいなぁと思って。

――2023年のプロ野球は、WBCがあったことでその盛り上がりのままペナントレースがスタートしましたよね。お2人もWBCはご覧になっていたのでしょうか?

大将:なんと、私は見ていません。でも、バンギャル(ヴィジュアル系バンドのファン)とヅカオタ(宝塚歌劇のファン)しかフォローしてないはずの私のTwitterのタイムラインが、WBCのときに「がんばれ!」という雰囲気に染まっていたのが印象的で。「みんな、野球見るんだね……?」と驚きました。自分としては、ダイジェスト映像を見たときに「むっちゃ足早い人(周東佑京選手)いる!」というのを知って、なるほど、こういう活躍もあるんだ……と思って興味を持ったかな。

さめぬい:私もWBC自体は見ていなくて、周りが盛り上がっているのを見ていた。

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――えっ、さめぬいさんも、きっかけにはなったけど見てはいないんですね!?

さめぬい:準決勝の日に用事があって東京に出ていたんだけど、街中の人がみんなスマホ見たり、ビジョン見たりしていて……そこで野球の「熱さ」みたいなものに触れました。オリンピックなど、大きいスポーツ大会の一体感はわりと好きなので、それが楽しそうに映ったのかな。


野球にあまりなじみがなくても、問題なく現地観戦を楽しめます!

――確かに、WBCの後少しして、さめぬいさんから私に「ハマスタに行きたい」と連絡がありました。なぜ、数ある球場の中でも横浜スタジアム(以下、ハマスタ)だったんでしょうか。

さめぬい:WBCの後に少しインターネットで野球について調べるようになって、そこで知った「ヤスアキジャンプ(横浜DeNAベイスターズ・山崎康晃投手の登場曲に合わせて起こるジャンプ。崎はたつさき)」を見たくて。あとは横浜出身なので、ハマスタの風景を見て「ああ、横浜帰りたいな~」という気持ちになったのもありますね。

登場曲「Kernkraft 400」に合わせて起こる「ヤスアキジャンプ」

――なるほど。そこで、私が一緒に観戦に誘ったのが大将さんです。大将さんは、横浜DeNAベイスターズ(以下、ベイスターズ)のマスコット・スターマンに会いたかったんですよね。

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大将:スターマンのことはTwitterで知って、「なんだ、このかわいすぎる生き物は」と動画などを検索するようになって。これは生で見たい! と思っていたら、タイミングよく小林さんから「さめぬいさんとハマスタいくよ! 大将さんもおいでよ!」と連絡がきたんです。


大将さんの心をとらえたスターマン(撮影・編集部)

――そもそも、野球や球場に対して、お2人はどんな印象を抱いていたのでしょうか?

さめぬい:私はお酒が好きな横浜元市民なので、ハマスタは風にあたりながらビールを飲める場所というイメージがあり、前から行ってみたいなぁと思っていました。

大将:私は、家族が野球を見ているとひいきのチームが負けたときにめっちゃ空気が悪くなるから、球場は闘争心が強い人がたくさんいる場所で、ちょっと怖いのかなと思ってた……。

――大将さんは、私が送った球場の写真を見て、椅子に貼られた「打球や折れたバットにご注意ください」というシールすらも怖がっていましたよね。

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大将:ボールが当たるの!? そんな命の危険があるところに座らされるの!? とおびえていました。


大将さんをおびえさせた京セラドーム大阪の写真。椅子の背に「打球や折れたバットにご注意ください」というステッカーが貼られている(撮影・編集部)

ファウルボールは係員さんが知らせてくれます

――ファウルボールの恐怖を乗り越えて、球場に来させる力がスターマンにはあるんだ……! また、大将さんからは事前に球場に来ていく服について相談をうけました。

大将:ビジターチームの色の服とか着たらまずいのかな……と思ってたけど、サッカーみたいにそこがぱっきり分かれているわけではないんですね。現地についたら意外とみんな普通の服だったし。結局、今回は「ガルフェス(YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2023 Supported by ありあけハーバー)」のイベントでかわいいユニフォームをもらえることを事前に聞いていたので、それにあわせてピンクの服でいきました!

ピンクのさし色がかわいいガルフェスのユニフォーム

――ユニフォームとのコーディネートを考えるのも楽しいですよね。当日は、開門時間にあわせてハマスタに集合しましたが、現地の第一印象はいかがでしたか。

さめぬい:地元横浜のはずなのに、こんなにベイスターズのファンっているの!? って思いました。横浜の会社で働いていたときにはベイスターズファンの方がいたのですが、それ以外はあまりファンの印象がなくて。

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大将:私はやっぱり、入場のときにユニフォームをもらえたのがうれしかった。ガルフェスのユニフォームは、青とピンクの組み合わせがそもそも好きだからとてもかわいいと思ったし、無料配布なのがすごいと思いました! 素材とかは全然違うけど、普通は1万円以上するのに……。


東京ヤクルトスワローズ、オリックス・バファローズの女性向けイベントの無料配布ユニフォーム(撮影・編集部)

試合によってはグッズがもらえるときも。特にユニフォームは観戦気分が盛り上がります

――すぐにユニフォームをみんなで着て、観戦スタイルになりましたよね。

さめぬい:テンション上がりますね、あれは。初観戦だし、RPGではじめての装備をもらったときみたいな感じで。

大将:あと、球場が想像よりきれいで感動した!

――私もハマスタにはじめて行ったときは感動しました! ハマスタって、公園内にあって、外周にぐるっとデッキがあったり、座席がぴかぴかだったり、ショップなどの施設も充実していて、テーマパークみたいですよね。関内駅の改札からもうベイスターズっぽい雰囲気があるのもいい。

さめぬい:公園内にもキッチンカーがいっぱい出てたり、行くだけでお祭り感がありますよね。あと、球場で行われるイベントも凝ってるし派手だよね。

左から、関内駅から歩くと目に飛び込んでくる横浜スタジアム、公園内のキッチンカー、関内駅に貼られた球団のポスター(撮影はすべて編集部)

――イベントについては、先日ハマスタに観戦にいった他球団ファンの友人も驚いていました。ハマスタは球団が運営しているので、独自のイベントや企画をやりやすいようなんです。当日も、ガルフェスのさまざまな催しを行なっていましたね。

さめぬい:試合前に公園内のステージでショーを見たのですが、ガルフェスユニフォームの「diana(ディアーナ。横浜DeNAベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチーム)」が見られたのもよかった! 

大将:試合を見なくても場外でショーが見られるの、すごいと思いました。そして、ディアーナの中に、Reinaちゃんというめちゃくちゃ好みの子を見つけてしまいましたね……。これは、ディアーナが好きで通う人がいるのも分かる。私は、自分がハマスタに通うなら、野球選手よりディアーナのファンになって……という方が現実的かもしれません。

大将さんが見つけてしまったディアーナのReinaさん(後列中央)

球場の周りには、スターマンやディアーナのショーが見られるステージが(2022年撮影、編集部)

――そして、いよいよ試合がスタートします。初めての現地観戦、お2人は試合のどのようなところに注目していたのでしょうか。

さめぬい:そうですね……まずは、練習してるのかと思ったら試合がはじまっていたのにびっくりしました。試し投げをしているのかな? と思って見てたら、プレイボールしてた。

――その「試合がぬるっと始まる」というの、周りの最近野球初めて見た人がみんな言っています。高校野球のように、列に並んで「礼!」があるイメージなんでしょうかね。大将さんはいかがでしょう?

大将:私は……なにを見ていたんだろう。1塁側にいたので、向かい側の東京ヤクルトスワローズの応援をよく見ていたかも。点が入ったら傘がキラキラしていて、「これがうわさに聞いたやつか……!」と思いました。


東京ヤクルトスワローズの「応援ミニ傘」。点が入ったときに「東京音頭」にあわせて振ります(撮影・編集部)

大将:その他は、ルールとか、試合でなにが起きてるのかを確認していたかな。さっき打った人が1塁ベースにいて、守備をしている人もいて、でも近くにユニフォームを着た知らない人がもう1人いて、「誰? 1人多くない?」と思うなどしていたので……。後から、ランナーコーチという役目の人がいるのだと教えてもらいました。

 小林さんが選手名鑑を持ってきていたので、それで打席に立っている人の情報を調べながら見られたのもよかったな。あとは、登場曲が流れて客席が盛り上がる雰囲気も楽しかった。ピッチャーが車で出てくるのは、「スターやん!」って思いましたね。

――ハマスタはピッチャーがリリーフカーで出てくるのがいいですよね。

さめぬい:え、車がないところもあるの? どうやって出てくるの?

――ブルペンが近いところは、普通に歩いたり、走ったり……。リリーフカーがある球場でも、恥ずかしいから乗りたくないというピッチャーもいますよ。

さめぬい:知らなかった……。あとは、私は結構ビジョンを見てましたね。

――ハマスタはビジョンを使った企画がいろいろあるので面白いですよね。当日はガルフェスということで、観戦初心者向けに応援歌の歌詞なども表示されていました。

さめぬい:応援歌と一緒にビジョンに映しだされていた「首が痛いイケメンのポーズ」の選手たちの写真、よかったですよね。あとは……普通に打球を追ってたかな。

大将:というか、現地だと意外とボールが見えないなという発見があった。

さめぬい:わかる。最初は他の人が見てる方向を追う感じでしたね。

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