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実家で聞いた“カラスの体験談”に「ヤベェ」「人間よく見てますからね…」 賢くて猟奇的(?)な一面描いた漫画に反響 専門家に聞いた

めちゃくちゃ賢い……。

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 カラスの驚くべき知能を描いた漫画が、X(Twitter)で「賢い」「カラスは舐めたら駄目」「鳥は人を識別するわ…」と注目を集めています。身近な野鳥でありながら、いまだ謎多いカラス。各自治体や機関では、カラスとの共存・共生に向けて、さまざまな観点から研究や対策が実施されています。

 ねとらぼ生物部では、カラスの生理・生態を研究し、カラス被害対策やカラスと対話するプロジェクトなどを実施している塚原直樹さんに、漫画で描かれているカラスの行動の理由や、知能に関する見解を聞きました。

 作者は漫画家の端野洋子(@hnyk01)さん。話題となっているのは端野さんが実家で聞いた、母と知人男性によるカラスにまつわる体験談です。

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人の言葉を理解している……?

 端野さんの実家は山際にあり、周囲にはさまざまな種類の野鳥が生息しているとのこと。ブッポウソウもそのうちの一種で、農作業中だった端野さんの母は、山にこだまする「けっけっけっ」という鳴き声を聞いて、「ブッポウソウが鳴いてる」と思ったそうです。

 しかし、鳴き声がする方へ視線を移すとカラスしかおらず、「ブッポウソウならカラフルなはず」と不思議に思った端野さんの母。しばらく見つめていると、カラスが「けっけっけっ」と鳴いている姿を目撃し、「えっその声アンタ!?」と仰天したそうです。また別の日の朝には、「オハヨ!」と鳴くカラスを目撃したそうで、端野さんの母はその上手な鳴きマネに感心したといいます。

 実家の近所に住む知人男性は、カラスの高い知能を理解し、上手に付き合っているとのこと。自身の畑で出来の悪い苗があるときは、カラスに「おーい勘三郎(かんざ)! あっちの畝(うね)はダメだけど こっちの畝は食っていいぞー」と話しかけるそうです。するとカラスは出来の悪い苗だけを食べていくといいます。一方で、カラスに対し怒る人の畑の苗は、出来不出来によらず、食べずに全て抜いていったのだとか。

 コメント欄や引用リポスト(リツイート)には「ほんとうに賢い」「カラス可愛い」「犬猫にまったく劣らないのでは?」と、利口なカラスの姿に感心する人の声が続々。「空から犬の鳴き声が聞こえる?!と思ったらカラスだったことがあった」「人相悪い二羽組のカラスが実家の庭(畑)でプチトマトを千切ってた時、潰れたトマト投げて追い払ったら、家の前に止めてた私の車の真上に潰れたトマト2こ落としてた 掃除大変だった」といった体験談も寄せられています。

 「人に懐く」「言葉を理解する」とみられる姿や行動が度々話題となり、「かわいい」と愛される一方で、威嚇や攻撃など、猟奇的とも取れる一面から“害獣”として恐れられるカラス。主にハシブトガラスとハシボソガラスにおいては雑食性で、「生まれた子牛をつつく」「ビニールハウスを破く」など、他の鳥類と比較して農作物への被害が多岐にわたることから、農業に深刻な影響を及ぼしていると考えられています(農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル」/「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和2年度)」より)。

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 ねとらぼ生物部ではカラス研究者の塚原直樹さんに、カラスの生態について詳しく話を聞きました。


塚原直樹さん

塚原直樹さん

CrowLab」代表取締役、国立大学法人 宇都宮大学 バイオサイエンス教育センター 特任助教、カラスと対話するプロジェクト主宰。18年のカラス研究の知見を迅速に社会還元すべく「CrowLab」を設立。カラス被害対策、カラスと対話するプロジェクト、カラスの音声コミュニケーションの研究、カラスの鳴き声を利用したカラスの行動制御、有害鳥獣捕獲されたカラスの有効利用、カラスの視覚に関する研究などを行っている。

―― カラスが他の鳥や人間の声をマネすることはありますか? あるとしたらどういった理由でマネをするのでしょうか

 九官鳥、オウム、インコほど上手ではありませんが、他の動物の声などをマネをすることがあるようです。たまにカラスを飼っているヒトがいますが、そのカラスがマネたという話の他、餌付けされたと思われるカラスがマネたという話を聞いたことがあります。

 いずれにしても、変わった鳴き声を出したときに、ヒトが喜んで餌をあげることが報酬となり、学習した結果であることが多いのではと思います。ちなみに、カラスの発声器官の構造的にはヒトに近い音声を発することが可能です。そして、カラスもヒトも同様の周波数帯を使っています。そのため、カラスの鳴き声がヒトの声っぽく聞こえて話題になることもあります。

―― 「おはよう」なら朝のあいさつなど、カラスが人の言葉を理解している可能性はありますか?

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 ちょっと考えにくいですが、正直分かりません。ただ、ヒトの行動をよく観察しており、通常と変わった行動をとるようなヒトがいた場合には注意深く観察します。カラスに注目する、カラスに対してアクションをする、カラスに近づく、という行動をとるヒトには警戒して動きを止め、一定以上に距離が近づいた場合などにその場から飛び去るという行動をとります。

 反対に子育て期間には、ヒナを守るためにヒトの近くを飛ぶなどの威嚇行動をする場合もあります。カラスがヒトの言葉を理解したと感じたのは、ヒトがカラスに対して何か話しかけた際に、その文脈に偶然一致するようなカラスのリアクションがあったために、そのように感じたというのが真相かもしれません。

―― カラスは人の顔を覚えるといわれていますが、実際に懐いたり、嫌いな人には攻撃したりすることはよくあるのでしょうか?

 ヒナのうちから育てる場合にはとても懐きます。また、餌付けによってヒトを警戒しなくなることがあります。上述通り、子育て期間はヒナを守るための威嚇行動をします。とても神経質になり、カラスを刺激するようなことをするヒトを危険な対象と認識し、威嚇行動がエスカレートする場合があります。カラスも性格が個体によって異なり、まれに子育て期間でない場合にも、縄張り形成時期などで同様の威嚇行動をする個体もいるようです。

―― 頭がいいといわれているカラスですが、○歳児と同じ知能など、具体的にはどの程度の知能があると考えられていますか?

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 種が違うのでヒトと単純に比較することはできません。得意不得意はあるようです。例えば、記憶力などは非常に優れ、食べ物を隠しておく貯食という行動をしますが、隠し場所は数十箇所などあるようで、それらのほとんどを記憶しているという話もあります。

 また、洞察力が非常に高い上、学習能力にも優れ、変化などを敏感に感じとり、いつもと違ったものがあると警戒して近づかないなどの行動をとります。一方、鏡に映った自分を認識できません。それらは生きていく上でどのような能力が必要かなど、それぞれの動物にとって大事な能力かそうでないかなどによって決まるものと考えられます。

 そのため、種が違う動物同士を比較したり、ヒトに例えたら何歳、というような表現は誤解を生むため、私は避けております。

(了)

 作者・端野洋子さんは、X(Twitter/@hnyk01)pixivで自身の作品を発表している他、講談社『モーニング・ツー』では『俺の初恋の人が兄とフラグを立てまくってつらい』を連載中です。

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画像提供:端野洋子(@hnyk01)さん

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