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ペット禁止物件に住む夫妻が子猫を保護→ダメ元で兄にLINEしたら…… 拍子抜けな返答と3カ月後の現在に心あたたまる(1/3 ページ)

第36回は保護猫「ふじまる」くんです。

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 近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。

 一般社団法人ペットフード協会全国犬猫飼育実態調査は、2022年の新規飼育者数が前年と比べ犬は若干増加、猫は減少と発表。飼育意向率は犬猫ともに低下が続き、飼育検討行動者の約半数は「インターネットの里親募集サイト」を見ているとしています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。


発見時のふじまるくん。室外機の下で鳴いていました

 そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。

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 第36回は投稿者・山本さんが保護した猫「ふじまる」くん(現在の年齢:0歳6カ月)。助けを求める子猫を発見したもののお迎えできず、兄に相談したら……。心あたたまるエピソードと現在の姿を紹介します。

―― ふじまるくんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください

山本さん:出会いは2023年7月12日、猛暑日の昼ごろでした。主人が職場から外へ出ると、車止めスペースで子猫の鳴き声を聞いたそうです。そのときは気にもとめず、用事を済ませて帰ってくると、まだ子猫の鳴き声が聞こえていたといいます。

 同じ職場で働く私に、主人が「子猫がクーラーの室外機の下から出られないみたい!」と伝えに来ました。一緒に探してみると、確かに室外機の下で子猫が必死に鳴いています。2人で室外機を持ち上げますがびくともしません。困り果てて、取りあえず水と食事をあげなければと、小皿に盛ったかつお節と水を室外機のそばにちょこんと置いてみました。

 すると子猫がひょっこり頭を出してくれました。あれ? 出られないわけではなかったみたい。これが「ふじまる」との初対面です。私たちはこの出会いに大きな運命を感じました。きっとこれは今からすごいことが起きるんだ! と。

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 さて、主人も私も仕事中です。急いでそれぞれの持ち場へ戻りました。しかし頭の中は子猫のことでいっぱい。この炎天下、無事におうちに帰れるかしら? 仕事に全く集中できません。そこで「よし! 一段落がつくまで1時間。そうしたらいったん見に行こう!」と決め、ある程度終わってからまた見に行くことに。

 すると子猫はまだ室外機の下で鳴いていました。一刻も早く保護しよう。住み込みで働いている私たち夫妻は動物をお迎えできないため、大急ぎで飼い主の手配を始めました。

 子猫の現状を伝えるために動画を撮り、兄と家族へLINEしました。家族と同時にとっさに兄が頭に浮かんだ理由は、2022年まで一緒に暮らしていた余命いくばくもない老猫を、現在の住居へ引っ越すため、泣く泣く手放さねばならない際に、兄が預かると言ってくれたからです。結局預けることはかなわず、約束の数日前に老猫は空へ旅立ったのですが……。

 以下、兄との電話でのやりとりです。

私「かくかくしかじかで、子猫を今から保護しようと思うのだけれど、自分たちではどうしても飼えないの……どうしよう……」

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兄「放っておいたらかわいそうだもんねぇ、飼うよ!」

 全く迷いのない即答に驚きました。私たちはご近所の飼い猫ではないことを確認し、無事に子猫を保護。保護した当日に連れて行った動物病院の先生いわく、ふじまるは推定でもうすぐ3カ月とのことでした。全身はノミだらけで、体内には寄生虫の卵があり、見た目はそれほど汚れていないもののやや痩せ気味。「この月齢で自分の足で母猫から離れるのはまず難しい。恐らく捨てられたのでしょう」と言われました。

 兄の家へ行くまでの少しの間、私たちがふじまるを預かることに。最初は隠れて出てきませんでしたが、ゴハンにつられて秒で慣れてくれました。おトイレも置いておいたらきちんとしてくれて、とにかくお利口。……そして何より指をおしゃぶりにするのが大好きな甘えん坊さんでした。

 兄の家に向かう車での移動中も1分ほど鳴いたらすぐに納得し、その後は伸び伸び食事&爆睡。もし猫の成績表があるならば、過去最高ランクのお利口さんです。

―― ふじまるくんの現在の様子を教えてください

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山本さん:今は一人暮らしで漫画家の兄の元で元気に暮らしています。ゴハンを食べているときに何度も後ろを振り返り、兄の姿を確認するといいます。過去、ゴハンを食べている間に元の飼い主さんがいなくなられたのでしょうか? 兄がそばを離れると探しに来て、姿を確認するとまたゴハンを食べ始めるという困った面もあるようです。

 そして元気が有り余り、活発に運動しているそうですが、東京暮らしで部屋もそれほど広くないため、運動スペースの確保が大変だといいます。兄が漫画家なので、周囲はふじまるを題材に漫画を描き、その収益でもう少し広い家に引っ越せたらいいのにと、それぞれ口には出しませんが思っているようです。

 ちなみにふじまるはマグロ味のちゅ~るが大好物です。ゴハンをもりもり食べて、保護当時の倍くらいの体格になりました。しかし兄は「つぶしてはいけない」と、生後半年になるまでは一緒に寝ないようにしていたそうです。

―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください

山本さん:歴代、家に迎える猫は、捨て猫か引き取り手のない猫と決めています。少しでも不幸な動物が少なくなることは願ってやみません。

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(了)

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