奇才・飯田和敏の次回作は「アナグラのうた」。プラットフォームはまさかの……日々是遊戯

「巨人のドシン」や「ディシプリン」などで知られる飯田和敏氏が、日本科学未来館の展示プロジェクトに関わっていることが判明。その内容とは……?

» 2011年06月28日 10時40分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

あなたの情報が資源になる?

「アナグラのうた」の展示イメージ模型。展示面積は150平方メートルとかなり広め

 「巨人のドシン」や「アクアノートの休日」「ディシプリン*帝国の誕生」など、アバンギャルドな作品を数多く手がけてきたゲームクリエイターの飯田和敏氏が、この夏新たなエンターテイメントを世に送り出します。

 プラットフォームはPS3でもXbox 360でもなく、東京・お台場にある「日本科学未来館」。8月21日よりリニューアルオープンする常設展示のひとつ「アナグラのうた 〜消えた博士と残された装置〜」の演出を、飯田氏が手がけているのだそうです。「アナグラのうた」の展示ストーリーは以下のとおり。


展示ストーリー

 今から1000年後、ここはかつて空間情報科学の博士たちの研究所だった場所「アナグラ」。足を踏み入れると、自分の情報が「ミー」という影に似た姿で足元に現れます。アナグラでの行動はすべて情報となり、情報がミーを変化させていきます。そして、アナグラに残された5つの「装置」との対話を通して、空間情報科学の重要な技術が明かされていきます。最後の装置との対話を終えると、自分の情報は音楽となって、アナグラに響きわたるのです――。


 この展示のテーマとなっている「空間情報科学」とは、特に場所やヒトに関連づけられた情報を扱う科学分野のこと。私たちの身の回りでもすでに、携帯電話や電子マネーの使用履歴など様々な場面で個人情報が取得されていますが、ここからさらに一歩進めて、こうした情報を社会的資源として役立てよう、というのが「空間情報科学」の基本理念です。

 「情報が資源になる」と言われてもすぐにはピンとこないかもしれませんが、この「アナグラのうた」では参加者の行動に合わせて「ミー」が変化し、それに伴って音楽が生成されていくことで、参加者自身の情報が「資源」として役立てられていくさまを体験できるのが特徴。開発には飯田氏のほか、eスポーツプロデューサーとして知られる犬飼博士氏も関わっており、参加者の足下にリアルタイムで情報を投影するなど、インタラクティブな見せ方も見どころとなっています。

 6月25日に開催され、飯田氏も講師のひとりとして出演したイベント「夜のゲーム大学6」のなかで、飯田氏は「アナグラのうた」について次のように語りました。

「結論から言うと、今はまだ情報が資源になる、というには早すぎる。でもあと10年、20年したら、あなたの名前が貴重な情報になり、そこに価値がある世界がきっとやってくる。これまでは石油が主な資源だったけど、情報化社会の新しい資源を発見しよう、というのがこの展示のテーマ」(飯田氏)

「夜のゲーム大学6」で「アナグラのうた」について説明する飯田氏

 イベントには、共同で開発にあたったeスポーツプロデューサーの犬飼博士氏、日本科学未来館の島田卓也氏らもゲストとして登場。島田氏によれば、もともと空間情報科学をテーマにした展示にすることは固まっており、どうすれば「なぜ情報が資源になるのか」を参加者に分かりやすく体験してもらえるか――と考えた結果、エンターテイメントの専門家である飯田氏に相談することにしたのだそう。また当初はもっとほのぼのとした「ジブリ的」な世界観を考えていたものの、飯田氏に「もっと強い表現でないとエンターテイメントとして生き残れない」と反対され現在のストーリーになったとのこと。

 最初に飯田氏に相談したのが昨年4月とのことなので、準備に費やした期間は1年以上ということになります。「一緒に仕事をしたことでゲームが好きになった。ゲームの底力を学びました」と島田氏。果たしてどんな展示に仕上がるのか、今から公開が楽しみですね。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/15/news044.jpg コメダ珈琲店で「軽い食事」を注文 → 出てきた“まさかの実物”に思わず大仰天 「逆詐欺ですね」「軽食という名の主食」
  2. /nl/articles/2503/14/news041.jpg 大阪梅田駅で撮影された“奇跡のような光景”に「今まで見たことない」「本当に贅沢な眺めだ」 全ホームにマルーンカラーが整列
  3. /nl/articles/2503/11/news009.jpg 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  4. /nl/articles/2503/14/news019.jpg ペットのカエルを土に埋め、約半年間放置→掘り返してみたら…… 「すげぇ」予想外の結末に「ほんと不思議」
  5. /nl/articles/2503/09/news003.jpg 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  6. /nl/articles/2503/15/news054.jpg 106キロの女性、1年かけて約40キロ減量したら…… “別人級”の変化が1740万再生 「尊敬します」「私も頑張る!」【海外】
  7. /nl/articles/2503/08/news018.jpg 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】
  8. /nl/articles/2503/13/news112.jpg 「ひどすぎて販売中止に」 ウエディングドレスをネットで買ったら大失敗→完璧にリメイクした結果…… 「もはや芸術」
  9. /nl/articles/2503/14/news052.jpg 高3男子、髪を切る間も惜しんで受験勉強を頑張って…… カット後の“別人級の変化”に称賛「コレはモテる」
  10. /nl/articles/2503/11/news017.jpg 着古したマフラーとセーター、切らずに手縫いするだけで…… 春も大活躍のリメイクに「アイデアに脱帽」「素晴らしい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  2. 愛猫が見つめる先にいるのは……? “まさかの来訪者”に思わず仰天 「うそっ?」「お庭に来るんですね!!」
  3. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  4. 壊れて捨てるしかないバケツをリメイクしたら…… 想像もつかない大変身が830万再生「想像力がすごい」【海外】
  5. そうはならんやろ ヤマト運輸公式とLINEで遊んでいたら…… 突然訪れた“予想外の展開”に28万いいね
  6. 「ウソやろ」 松屋の“530円丼”、衝撃的なビジュアルにネット騒然 「コレで良いんだよ丼」「開き直り感がすごい」
  7. ダイソーのセルフレジが「身に覚えのない商品」を認識→“まさかの正体”に大仰天 「そんなことあるんですね」
  8. 余ってるクリアファイル、半分折ってカットするだけで…… 目からウロコな便利グッズに「天才すぎる!」「素晴らしいアイデア」
  9. 「マジで天才」 無印良品から新発売の“350円文房具”に絶賛の声相次ぐ 「便利すぎる!」「これはいい」
  10. 「スト6」の公式世界大会で福島県のチームに所属する「翔」が優勝 賞金100万ドル獲得
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に