はてな近藤社長、創業10周年を語る 「回り道もあったけど……いよいよ攻めに」
はてなが設立10周年を迎えた。新しいサービスのネタを考えるのが「大好き」と少年のような笑顔を見せる近藤社長は、これまでとこれからの10年をどのように見つめているのだろうか。
はてなが7月15日に設立10周年を迎えた。たった3人の社員でスタートし、現在は48人に。アルバイトも含めると100人近いスタッフを抱える大所帯となった。一方、新しいサービスのネタを考えるのが「大好き」と話す近藤淳也社長の少年のような笑顔は、創業当時から何も変わっていなさそうだ。
「10年を振り返ってほしい」とお願いしたら、「10年といっても4つの時期があったな〜」としみじみ語り始めた。京都で産声を上げ、東京、シリコンバレーを経て、2008年に再び京都へ。「移転するたびに組織は強くなってきた」という。では、これからの10年はどうなっていくのか――近藤社長に聞いた。
回り道もあったけど……いよいよ攻めに
創業後3年間は受託開発をしていたはてな。「他社からお金をもらって自社の儲からないサービスを運営している状態だった」と振り返る。東京に移転したのは04年で、社員が20人ほどになったころ。受託開発をやめて、自社のWebサービス専業となり「サービス量産期」に入っていた。
順風満帆かと思いきや、近藤社長にはあせりもあったようだ。「新しいブレイクスルーをつかめてないなって。だから本気で世界を目指すためシリコンバレーに行ったんです」。だが「日本の京都から、世界に通用するネットサービスを作りたい」と、1年半で帰国。創業の地・京都へ戻って「まだ3年目」だ。
「回り道をしたが、はてなという会社のあるべき姿は見えてきた。移転するたび社員が減ったりもしたが、今は京都に腰を据えると心に決めているので、採用を積極的にやって体制を立て直して、ようやく地盤固めが出来たと思う。会社が組織として経験を積んできているし、いよいよ攻めに転じようかなと」
攻めの姿勢とはどういうものか。近藤社長は「はてなの真骨頂は新しいサービスをどんどん出していくこと。年内に3つくらいは新しいサービスを出したい」と意欲的だ。新サービスの内容は明かさなかったが、コミュニケーションの要素を取り入れたものになるという。
「はてなは人と人とのコミュニケーションを促進し、価値ある情報をより多くの人に届けることを使命としています」――はてなのミッションというページで公開している思いを、新サービスにも反映させていきたい考えだ。
世界を目指して――はてなに足りないもの
ディー・エヌ・エーやグリーが海外の企業を買収することで海外進出を強化しているのを見て「日本企業の海外進出が新しいフェーズに入った」と感じるという。
もちろん近藤社長自身も「世界中の人に使われるサービスを作りたい」という思いを持ち続けている。では、世界を目指す上ではてなに今足りないものとは何なのか。「コミュニケーション能力ですかね。アイデアや開発力はシリコンバレーと変わらないと思っている」と分析する。
近藤社長いわく「今のネットの世界はユニークネス(独自性)の勝負」だ。「昔は米国で流行したサービスをいち早く日本に持ってきてローカライズすればヒットするという時期があったが、FacebookやTwitterのように海外サービスを一般の人が使い始めるようになると、時間差攻撃では戦えない。これからは、世の中にない新しいものを考えて、『面白いでしょ?』『使ってみません?』って提案する――そういう勝負になるんだと思う」
はてなを「自分たちで考える集団」と表現する。「“はてなしかやらない”ものがある。悪く言えば、考えすぎて動きが遅いかもしれないが、そういう(自分たちで考える)強みはこれから活かしていけるんじゃないか」と見ている。
はてなの新卒採用試験では、新しいサービスのアイデアを学生に考えてもらうグループディスカッションを実施している。「学生でも面白いアイデアが出てくるんですよ! 要は作るかどうかと、毎日アイデアを考える習慣を持てるかどうかじゃないかな。僕も新しいサービスを考えるのが大好きなんです!」
10年先のネット「分からない!」
「10年先のネットはどうなると思う?」と尋ねると、「10年先かあ。分からない!」と笑う。「3年くらい先までを予想すると、スマートフォンが一気に普及しているだろうから、そこをどうやって活かすかですよね。変化のタイミングを活かしたサービスを出したい」
「これまでなかったようなものを打ち出して、みんなをうならせて、『京都でそんなことやってるんですか!』って驚かせたい。『はてなは京都にこもって何をやってるのかな〜』と期待の目があることを感じているので、期待を超えるアウトプットを出していきたい」
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「インターネットは、人が本来持っている力を飛躍的に伸ばせる可能性を持った未完成の道具。この道具を進化させ、人間の生活を豊かにしたい」――そんな思いが「はてな」を生んだ。
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