いいね!の気持ちをコーヒー1杯に託そう KDDIも注目する「giftee」、ソーシャルギフトの挑戦(2/2 ページ)

» 2012年01月27日 07時00分 公開
[笹山美波,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

開発は順調! しかし……

画像 太田代表は「梅田望夫さんがはてなの取締役になった“あの時代”がすごくキラキラしていて、シリコンバレーで働くってカッコいいと思っていた」と振り返る

 太田代表は、慶応義塾大学を卒業後、コンサルティング会社のアクセンチュアでエンジニアとして3年間働いていた。サービスのアイデアが生まれたのは2009年の秋ごろ。SNSで友人に誕生日メッセージを送る際「何かちょっとでもギフトを乗せてメッセージを送れたら」と思ったのがきっかけだった。

 早速同僚のエンジニア2人に声をかけ、終業後や休日の時間を割いて徐々にプロトタイプを作った。学生時代からシリコンバレーに憧れ、「いつかは起業したい」と思っていた太田代表。プロトタイプのブラッシュアップと起業の後ろ盾を得るため、2010年4月にデジタルガレージグループのスタートアップ育成プログラム「Open Network Lab」のビジネスアイデアコンテストに応募し、全80チームの中から見事最優秀賞に選ばれた。

 太田代表はアクセンチュアを退職し、2010年7月にOpen Network Labの1期生に。同プログラムの指導の下、プロトタイプの改良と起業の準備に明け暮れた。1カ月後には会社を設立し、代表取締役に就任。「そこまで開発が得意ではなかった」という太田代表はプログラミングから手を引いてマネジメントや営業を担当することにし、エンジニアが開発に専念できる環境を整えた。

 gifteeはその冬には周りの友人に限定公開した。ユーザーは「自分たちの仮説通りにすべて動いた」ため、いよいよ社員全員で本腰を入れて働くことに。「うまくいくと思っていた」。

チップのようにカジュアルに gifteeは「かっこつけすぎない」

 昨年3月にオープンβ版を公開するも、ユーザーがなかなか増えず苦しんだ。ギフトの登録店舗が18件と少なかったことや、gifteeを初めて使う人やネットに慣れていない人にとっては使いづらいユーザーインタフェースだったためと太田代表は見ている。その後、精力的な営業で店舗を数十件まで増やし、サイトの説明文をより詳しくするといった対策を講じたが、半年たっても効果は今ひとつだった。

 ここで太田代表は気付く。実は最もネックになっているのが「外国に比べ日本では日常的にちょっとしたプレゼントを贈る文化が薄いからでは」と。もちろん記念日に家族や恋人へプレゼントを贈る文化なら日本にもある。だが、会社の同僚や友だち、知り合いなどを含めて考えると「日々のコミュニケーションとして日常的にプレゼントする文化はほとんどない」。それでもgifteeを「チップを渡すくらいのカジュアルな感覚で使ってもらいたい」と語る。

 例えば一部のコアなユーザーはこんな使い方をしている。同僚に「プレゼンの手伝いありがとう」とビールを、落ち込んでいたら「ちょっと休んだら?」とコーヒーを、Facebookで知り合いの交際ステータスが婚約中に変わったら「おめでとう」とケーキをプレゼント。「変にかっこつけすぎず使える」と気に入って、週1回のペースで利用している人もいるそうだ。

目標は年内に10万会員

画像 今年1月6日には、KDDIとの資本提携をブログで公表した

 SNSで日常的にプレゼントを贈る文化を根付かせるには、「まずはgifteeを認知してもらわなければ」と太田代表。サービスをたくさんの人に利用してもらうことで、その文化の良さを広めていこうと意気込んでいる。

 スタートアップ企業を支援するKDDIのプロジェクト「KDDI∞Labo(ムゲンラボ)」にも昨年9月から参加している。当初は「KDDIの恩恵にあずかり、少し話題になって露出が増える」程度の効果を予想していたが、優秀なサービスとして評価され、KDDIから1000万円の出資を受けることができた。今後は「大きなユーザーベースを持っているKDDIと組んで、(gifteeに)多くのユーザーを流し込めるものを作れないか」と野望を語る。

 現在会員数は5000人だが、年内には10万人と高い目標を掲げている。3月にはgifteeが使えるお店を全国展開。iPhone・Androidアプリもリリースして、弾みをつけていくつもりだ。収益はgifteeのギフトが使用された場合の手数料で得ており、現状は赤字の状態。今後は、企業がgifteeに特設のギフトページを公開できるタイアップパッケージを用意し、売り上げの拡大を目指す方針だ。

画像 「giftee」のマークは、箱に斜めにリボンをかけた「カジュアルなギフト」をイメージして描かれている

 サイトのスローガンは「Send a small thank you」。「インターネットには、ほんとに小さな感謝やお祝いの気持ちを送るタイミングがたくさんある」と話す。その気持ちに「ちょっとしたギフトを付けて、たくさんの人を喜ばすことができたら」と、太田代表の夢は膨らんでいる。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」