波紋を呼ぶ「日本のゲームはクソ」発言――「数百人の視線と声で嫌な汗が流れた」日々是遊戯

開催中の「GDC 2012」で、インディーズゲームクリエイターのPhil Fish氏が発したコメントが話題になっている。発言当時の様子を、質問者本人に直接うかがった。

» 2012年03月08日 18時38分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

日本のゲーム業界はこれをどう受け取る?

 インディーズゲームクリエイターのPhil Fish氏が、現在の日本のゲームについて聞かれ「クソだね(Your games just suck.)」と答えた件が波紋を広げている。すでに国内のゲームニュースサイトでも一部報じられているが、そのときの会場および壇上の様子を、Phil氏に質問を投げかけた本人に直接うかがった。

 Phil氏と言えば、開発中のゲーム「Fez」が、まだリリース前にもかかわらず多くのアワードを受賞するなど、今もっとも発言力のあるインディーズゲーム開発者の1人と言っていい。Phill氏の発言は、映画「Indie Game The Movie」についてのパネルディスカッションの中で飛び出した。

画像画像 Phil氏が開発中のインディーズゲーム「Fez」

 質問したのは、日本から参加していたゲーム開発者の後藤誠さん(@SquashSesame)だ。映画の中で、日本の古いゲームとの対比が何度か出てきたことについて触れつつ、「私はそれを誇りに思う。最近の(日本のゲーム)はどう思いますか?」と後藤さんが質問すると、直後、Phil氏から「クソだね(Your games just suck.)」という答えが返ってきた。たちまち会場は、笑いや「ヒュー」といった声が混じり、一気に沸き立ったという。

 後藤さんによると、その時はすぐに「suck」の意味を読み取れなかったが、周囲の空気感から意味を理解し、「数百人の視線と声で嫌な汗が流れた」そうだ。その後、別のパネリストからも意見があがり、「技術は凄い」「ゲームデザイナーが……」など、議論は数分にわたり続いた。後藤さんはパネリストの話が一巡するまでは聞いていたが、周囲の空気に長居ができず、席を移動してしまったという(一部報道には「すぐ立ち去ってしまった」とあったが、実際は席を移動しただけで最後まで会場にはいた)。

 その後Twitterで、後藤さんは「今日のIndie game the movie で英語で質問したことが何度もフィードバックして眠れない」などと発言しており、やはりショックは大きかったようだ。

画像 Twitterでその後のショックを報告する後藤さん

 これまで公の場での発言こそなかったものの、海外ユーザーの間では近年、日本のゲームの「凋落」はしばしば議論の的となっていた。発言の後、ネット上ではPhil氏を非難する声もあがったが(Phil氏のTwitterは一時、ちょっとした「炎上」状態になったそうだ)、少なくとも当時、会場が「一気に沸き立った」ということは、この意見に賛同する人が少なからずいたということでもある。日本のゲーム業界(メーカーだけでなくユーザー、メディアも含めて)は、Phil氏の発言をもっと重く受け止める必要があるだろう。

 筆者の取材に対し、後藤さんは最後にこう付け加えた。

「次の日のインディーズのセッションでは、彼が日本のゲームの良さを話していたと間接的に聞きました。また企業に属さず開発を続ける、インディーズならではの大変さや、好きを追求する執念など、企業での開発と同じ感性では語れない部分もあると思います。このあたりの事情もくんで、どうかPhil氏や業界を中傷するような記事にはしないでください」


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」