studygiftはなぜ暴走したか 「説明不足」では済まされない疑念、その中身(1/2 ページ)

学生支援サービス「studygift」が炎上している。運営側は「説明不足だった」と釈明したが、本当にそれだけだったのか。

» 2012年05月25日 12時16分 公開
[宮本真希・池谷勇人,ITmedia]

 5月17日にオープンした学費支援サービス「studygift」をめぐって、ネット上でさまざまな議論が起こっている。

画像 studygift

 期待を寄せる人が多い一方、studygiftの説明や行動には不明瞭・不誠実な部分も多く、ネットユーザーからは厳しい指摘が相次いだ。サイトは今も“炎上”しており、studygift側は5月23日夜、「大切なお知らせ」として、説明が「極めて不十分だった」点についての謝罪を掲載するとともに、希望するサポーターには全額返金を行う旨を通知した。

 studygiftという仕組みや、その志についてはもちろん評価すべき点もある。しかし少なくとも、今回の坂口綾優さんのケースについて言えば、単なる「説明不足」では済まされないレベルの落ち度がstudygiftや坂口さんにあったことは事実だろう。「(場合によっては)詐欺となる可能性もあると思います」と、太田真也弁護士は話す。

支援金集まっても復帰できない可能性?

 studygiftの「落ち度」はいくつかあるが、まずはサイト内の「大切なお知らせ」で書かれている(=studygiftが認めている)点についてまとめておこう。

  • (1)坂口さんの現状について、正しくサポーターに伝えていなかった
  • (2)支援金が集まったとしても、坂口さんが大学に復帰できない可能性がある
  • (3)100パーセントを超えて支援金が集まった場合の使途説明が不十分だった

 (1)は具体的に言えば、坂口さんがすでに「退学」扱いになっていることをはっきりとサイトで明示していなかった点だ。現在は修正・追記されているものの、オープン当初の文面では「退学」状態にあることが伝わりにくく、「知らなかった」というユーザーから現実に不満があがっていた。

画像 「退学になりそう」など、大学に籍があるように受け取れる記述があった
画像 修正後の現在のページ

 (2)については明らかにstudygift側の確認不足だろう。授業料未納による退学の場合、再入学できるかどうかは最終的に、早稲田大学側での協議に委ねられる(早稲田大学の学則より)。協議の結果、やはり再入学は認められないということになれば、坂口さんは大学に復帰できず、集まった支援額は宙に浮く。

 サイト内では当初「学費の目処が立ち次第、学校には復学できる」と記載していたが(5月18日の「お知らせ」)、これは明らかに誤解を招く表現だろう。おそらくこれを掲載した時点ではstudygift側も「復帰できる」との認識だったのだろうが、本来は最初に大学側に確認しておくべきであり、「認識不足だった」では済まされない。万が一再入学申請が却下された場合、studygift側は全サポーターに全額返金するとしている。

 最後の(3)は、「必要な学費の25パーセントは学生が自分で稼ぐ」というルールに関連する。坂口さんへの一般支援額は目標をオーバーし、募集を止めた時点ですでに109%に達していた。さらにサイトのグラフには反映されていない、10万円の「特別スポンサー」枠も現時点で20件以上申し込みが来ているという(studygift側に確認したところ、すでに振込が成立しているのは1件のみとのこと)。

 確かに、これでは「学生の負担分が25パーセントにならない」と思われても仕方がない。studygift側はこれについて、オーバー分の使途は支援者と協議のうえ決定し、「25パーセントは学生が稼ぐ」という前提は当初より変わっていないと説明している。支援を募り始めた時点で必要としていた以上の額を集められてしまうシステムそのものについては「今後どうするか検討中」という。

 「大切なお知らせ」内では他にも、いくつかの表記ミスや説明不足について補足されているが、大きな問題点はおおむね上記3点に集約できると言っていいだろう。

 「退学状態にあったことや、再入学についての説明が不十分であったことは否定できないと思います。特に再入学できない可能性が明らかになった後もその点を明確に説明せず支援を集め続けた点は、かなり問題があると思います」(太田真也弁護士)

画像 studygift立ち上げの中心人物となった3人。左から坂口さん、家入一真氏、ヨシナガ氏
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/05/news100.jpg 「直ちに投稿削除を」と警告  FRUITS ZIPPERの動画巡り所属事務所が“異例の声明” 「法的措置を検討」
  2. /nl/articles/2412/05/news031.jpg 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
  3. /nl/articles/2412/04/news023.jpg 動物ギライだった父、愛猫の涙が出るほど“けなげなお出迎え”にたまらず…… グッとくる再会シーンに「こんなにされたら愛おしくて…」「鼻の下が3mくらい伸びそうw」
  4. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  5. /nl/articles/2412/05/news178.jpg イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  6. /nl/articles/2412/04/news197.jpg 辻希美の高2長女・希空のデビューについて杉浦太陽が語り涙…… 赤ちゃん時代の姿や秘蔵エピソード明かす「そういう世界に入る気ない、と言われていた」
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2412/04/news040.jpg 「戦闘機に乗って一番怖いことは?」 “予想外すぎる”パイロットの回答に「あとで怒られるw」「正直でよろしいw」
  9. /nl/articles/2412/01/news031.jpg 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  10. /nl/articles/2412/04/news196.jpg 複雑すぎて「プラモ化は無理」とするも……“エヴァチーム”が手掛けた新作ガンダムのプラモ発売に大きな反響 「この価格でこのクオリティーはすごい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」