法話が心にしみわたる! 本物のお坊さんがもてなす「坊主バー」の魅力を探った(2/2 ページ)
店のマスターである、藤岡善信氏(浄土真宗本願寺派)に話をうかがった。
――客層が幅広く、客から人生相談を受ける機会もあるそうだが、最近はどんな悩みが多いのか
藤岡氏 男性と女性では、相談内容に違いがあります。男性の場合は仕事関係の悩みが多いですね。仕事そのものについて、仕事における人間関係、本当にやりたいことと現状とのギャップについて等です。女性の場合は結婚・恋愛の悩みが中心です。
――それぞれ、どんなアドバイスをしているのか
藤岡氏 仕事の悩みについては、やりたいことの方向に向かっていきなさいとお伝えしています。この時に覚えておいていただきたいのは、人は何かを得ると何かを失うということ。これは仕事においても同じです。もし、やりたいことを手に入れようとするとき、同時に失うものが大きくて手放すのが怖いのなら、まずは今ある仕事を大切にしましょう。そこから新しい縁が生まれていくことでしょう。そしてすべてを投げうつことを意識していきましょう。禅語に「放下着(ほうげじゃく)」という言葉があります。手に握っているものが心を苦しめます。「男のプライド」などを捨て去っていけば、今ある苦しみから解放されることでしょう。
結婚・恋愛の悩みについては、「出会いを求めるな」とお話しています。これに尽きると言えます。欲しいという気持ちを抱いていると、縁は逆に逃げていきます。無心で、満たされた心でいるときに、ふと良縁がやってくるものです。自分は満たされていないという「餓鬼の心」を手放し、欲を願いに変えて忘れていきましょう。
――現代人はどことなく疲れている感じがする。最近はリアルな人間関係以外にも、インターネット上での付き合いで悩むケースもある。
藤岡氏 インターネットが普及するにつれ多くの情報を手に入れられる世の中になりました。でも、情報をたくさん集めたところで、自分を守ることはできません。自分を見つめ、自然に還る時間を持つと良いでしょう。1日でも、半日でも構いません、すべてを無くす時間を作るのです。携帯電話の電源を切り、あらゆるものと自分をいったん離しましょう。座禅や瞑想などを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
――昨今のお坊さんブームについて、どう思うか
藤岡氏 正直、どうなのかなと思うこともあります。僧侶は聖人ではありません。本来は自分の姿を消し、黒子のような存在であるべきです。あくまでも仏様と衆生とをつなぐ存在なのですから。そういう存在である僧侶にスポットが当たりすぎるのは、少し違和感があります。また、中には僧侶に頼りすぎる人もいますが、これもあまり良くないと考えます。
仏様の教えを知る良い機会となるのが、午後8時ごろと10時ごろに行われる短い法要と法話。法話には自分の人生について想い巡らすときに役立つ要素がたくさん詰まっており、客はおのおの、静かにお坊さんの語りに耳を傾ける。お酒と精進料理を味わいながらリラックスして聴く法話は、すっと心に沁みわたる。
しばらく店内の様子を観察してみたところ、客の男女比は少し男性が多かった。実際、これまでの動向を見ていても男性が若干多い傾向にあるという。また、男女ともに1人で訪れる人も多く、この日も男女の独り客がカウンターを埋め尽くしていた。カウンター席は午後8時前には満席になり、すぐにテーブル席もほぼ満席に。午後7時の開店直後であればすぐにカウンターに座れるが、それ以外の時間帯で確実に利用したい時は事前に予約するのが無難だろう。
日々の暮らしに追われると、本来の自分を見失ってしまいがち。坊主バーはそんな人々の人生軸をそっと戻してくれる場所だ。静かに自分を振り返りたい時、目の前に大きな壁があるように感じられる時にぜひ訪れてみてほしい。
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