【妄想用】婚姻届、乙女すぎる♥ドライバーセット――ゼクシィ編集長がヒット付録に込めた願いとは?信念は「Love & Fun」(2/2 ページ)

» 2012年09月19日 11時30分 公開
[岡徳之,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 ゼクシィの付録は編集長の勘とセンスだけで企画されているわけではない。2人体制で付録専任担当者がおり、編集長・副編集長・デスクも同席する会議で最終的に決まる。それだけではない。付録の担当者は直接、読者の声を聞きにいくのだ。

 直接とはどういうことか? ゼクシィには「花嫁1000人委員会」と名付けられたサポート委員会が存在する。メンバーは、結婚式を2年以内に挙げた読者の中から選抜された人たちだ。

 「結婚式は、一生に一度しか経験しない人が多い。だからこそ、後悔や成功体験を伝承する役割が必要」という思いから、編集長が組織した読者コミュニティー。そのメンバーにアンケートや座談会形式で、編集部が考えた付録企画案をぶつけてみる。

 「花嫁1000人委員会」から生まれたヒット作は少なくない。7月号の「可愛すぎる♥洗濯ネット」もヒット。「洗濯ネットは消耗品ですぐボロボロになるから」という読者の声から生まれた。

7月号の「可愛すぎる♥洗濯ネット」

 さらにもう1つ。ネットユーザーの間でも非常に話題になった、9月号の「乙女すぎる♥ドライバーセット」。花嫁のイメージとは対局にある、あのドライバー(=工具)を乙女チックにしてゼクシィに付けたのだ。

9月号の「乙女すぎる♥ドライバーセット」

 これには、逆に編集部内から心配の声が上がった。「ドライバーに萌えはいるのか?」。しかし「花嫁1000人委員会の言うことなら」と企画を断行。雑誌の表紙ではあまり堂々とアピールしなかったものの、これが大ヒット。「ちょっとした雑貨を組み立てるとか、最後にねじをちょっと調整するとか、必要なシーンはある」という委員会の声は、結婚準備中の読者の声を代弁した格好になった。

 これだけ話題になる企画アイデアを、付録という実在の形に落とし込む仕事には苦労がつきもの。例えば妄想用婚姻届も、付録として扱うためには専門の機関に問い合わせなければならない。また、雑誌の中でもただでさえ分厚いことで知られるゼクシィが、付録も含めて規定の厚さに収まるため、編集部内で付録単体の厚みは15ミリと決められている。

 そういった制約を毎月クリアしながら、付録というプロダクトを作りつづける編集長の信念は「Love & Fun」だ。

 「プロポーズした瞬間から、結婚する2人の生活は一気に非日常になる。ゼクシィは当日までその非日常をサポートしていく雑誌。結婚式の仕切り方や常識、マナーなど、学んだ方が役立つ知識はたくさんあるし、会場や指輪などを選ぶというシーンもある。だからゼクシィを読んで良かったと思ってもらえるような魅力的な情報を届けていくことが私たちの仕事。でも、Webとは違い、書店から4キロもある雑誌を持って帰っていただくものなので、なおさら情報だけじゃない何か、例えば愛やメッセージもそこにあってほしい。結婚おめでとう、お幸せに、という気持ちを伝えられる雑誌でありたい。ハートが感じられるものでありたいんです。だから付録も、ただ付録を作るのではなく、片手間で作るのではなく、ハートを、魂を込めろと編集部員に伝えています」

 最後に付録とは関係ないが、ねとらぼ読者の中にもいるであろう結婚準備中の方に参考になる、最近の結婚式の傾向を聞いた。

 「結婚式のトレンドはおよそ10年ごとに変わっています。80年代は派手婚(きらめく金屏風、スポットライトなど)。90年代は地味婚(バブル・派手婚からの揺り戻し。婚姻届だけ、レストランで食事だけ)。2000年代はミレニアム婚から始まり、ゲストハウスや自然に囲まれ、自然体な演出を行うアットホーム婚。2010年代は、出席者と結婚する2人のつながりを感じられる演出のつながり婚(アットハート婚)がトレンドです」

 ゼクシィの付録がヒットしている理由は、決してウケ狙いでも、編集部の勘とセンスによる独断でもなく、読者の声に耳を傾けた努力のたまものだった。読者の皆さんも“そのとき”が来たら、書店でゼクシィを探してみては?

伊藤綾編集長と編集部の皆さん
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」