ちょっとこの世の地獄に行ってきた(1/2 ページ)
地獄の1丁目、それは大分県の別府にあった。
地獄というと何を思い浮かべるだろうか。「血の池地獄をバックに鬼が金棒を振り回す」――そんなイメージを持っている人は多いと思う。そんな光景を求めて、この世に存在するリアル地獄「別府地獄めぐり」(大分県別府市)を訪れた。
別府地獄めぐりがあるのは温泉地・別府。高温で噴出する温泉や噴気が独特の景観を作り出し、まさに地獄のような光景が見られる、観光名所となっている。地獄めぐりは一般に、海地獄、血の池地獄など地獄組合に加入している8つの地獄をめぐることを言う。ではそれぞれの地獄絵図を見ていこう。
海地獄
まずは海地獄。コバルトブルーのお湯が名前の由来だ。今から約1200年前、鶴見岳の噴火によりできたという。青く見えるのは硫酸鉄のため。見た目は涼しげだが、実は98度もある。
鬼石坊主地獄
次は名前からして怖そうな鬼石坊主地獄。灰色の熱泥が球状になって沸騰するのが坊主頭に似ていることと、鬼石という地名にちなんでそう呼ばれている。熱泥がボコボコとわいている様はまさに地獄。
さらに鬼石坊主地獄には「鬼の高鼾(たかいびき)」というものがある。石がごろごろと転がっていて、熱々の湯気が噴き出している。高いびきと言われるのは、鶴見おろし(鶴見岳から吹き下りてくる強風)の寒さに震え上がった鬼が石の布団にくるまってうたた寝をしたからだという。こんな熱々の石の上でうたた寝ができるとは、さすが地獄の鬼と言わざるを得ない。
山地獄
「山地獄」の由来は、山の至るところからモウモウと噴気が上がっていることにある。岩がごろごろして煙が立ち上っている様子がなんとも地獄っぽい。その一方で、温泉熱を利用して動物を飼育していることから、ゾウやカバ、フラミンゴなどちょっと地獄らしからぬ光景も見られる。ゾウやカバのエサも売っていて、動物好きにはたまらない。のほほんとカバを見ているとあっという間に時間が過ぎてしまう。地獄にいながらも、ちょっとほっこりした気分になれる場所だ。
かまど地獄
「ここが地獄の1丁目だぜ……」というセリフを時代劇などで聞いたことはないだろうか。その地獄の1丁目がどこにあるかというと、ここ「かまど地獄」にある。それどころか6丁目まである。
赤い熱泥の池や乳白色の池、湯の色がグリーンやブルーに変化する池などさまざまな池があるほか、タバコの煙を使った実演も見られる。地獄に向かってタバコの煙を吹きかけると、もくもくと煙が立ち上ってくる。タバコの粒子に水蒸気がくっつき、目に見える状態になるためで、雲のできる原理と同じという。
さらに「地獄に仏」ならぬ「地獄に極楽」で、極楽もある。極楽は3丁目まであり、足の岩盤浴、飲む温泉のほか、湯気で手足を温めたり、のどや肌を潤したりできる。ずいぶん気の利いた地獄だ。
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