ニュース
» 2013年03月27日 17時16分 公開

老舗ゲーセン「ミッキー」32年の歴史に幕 開店以来貫いた「1プレイ50円」のココロ

神保町のゲームセンター「ゲームコーナーミッキー」が3月29日で閉店する。閉店前にもう一度見ておきたい! ということで店長にお話をうかがった。

[池谷勇人,ITmedia]

 神保町のゲームセンター「ゲームコーナーミッキー」が、3月29日をもって32年の歴史に幕を下ろす。公式サイトに「閉店のお知らせ」が掲載されると、長年のファンから「ショック」「やめないで」といった声が溢れた。

 まだまだ続けたい、なくなってしまうのはやはり寂しい――。そう本音を漏らすのは、現在の店長・平井誉政さん。建物の老朽化による“やむを得ぬ判断”とは言え、間近で歴史を見てきた老舗との別れには、やはり複雑な思いをつのらせる。

画像 現在の店長・平井さん。ミッキーには12年前から勤務


改築を重ね、ダンジョンのようになった店内

 神保町駅から徒歩1分。昭和57年(1982年)から営業しており、この界隈ではもっとも有名なゲームセンターだった。経営元は、両替機やゲーム筐体などの製造・販売を行う三木商事。ミッキーの名前はもちろん「三木商事」からとったもので、同社の両替機や筐体のロケテストもここで行っていた。

画像 いまどき珍しい木造の建物が目印。建物の1階は居酒屋で、2階と中2階をミッキーが占める

 入り口は1階だが、細い階段を上るとパチンコ・パチスロ台などが置かれた“中2階”があり、そこからさらに階段を上った2階がメインフロア。2階と中2階をつなぐ階段は3カ所にあり、はじめて訪れた時はダンジョンのような構造にびっくりした。聞けば、2階のひときわ奥まったところにあるスペースは元配電室、中2階奥のパチスロコーナーにいたってはなんと元トイレだったという。入り組んだ構造は改装のたびに営業スペースを広げていった結果だそうだ。

画像 パチンコ台などが置かれた“中2階”

画像 2階がビデオゲームフロアとなっている

1プレイ50円でも「営業面はまったく問題なし」

 都心のゲームセンターは1プレイ100円が標準だが、ミッキーは開店以来ずっと1プレイ50円を貫いてきた。「できるかぎり多くのお客さんに、安く、長い時間遊んでもらう。それ自体がいつのまにか店の目標になっていた」と平井さん。近くには大学や予備校もあり、特にお金のない学生にはありがたいお店だった。経営は大丈夫だったのかと聞くと、値上げについては「まったく予定はなかった」という。

画像 大きく掲げられた「ミッキー \50」の看板

画像 日中は学生や休憩中のサラリーマンたちでにぎわう

 昨今、経営不振で店をたたむゲームセンターは多いが、ミッキーの場合、営業面ではまったく問題はなかった。クレーンゲームなどを置いた時期もあったが、やはりビデオゲームを目当てに来るお客が多く、主役は最後まで50円のビデオゲームだった。

 お店を支えたのは、メインの学生客のほか、卒業後も足しげく通ってくれる常連客たち。閉店発表後に寄せられた反応の量を見れば(Togetter)、ミッキーから巣立っていった「卒業生」がの多さが分かる。


ゲーム好きな仲間をつなぐ“場”

 家庭用ゲームの進化により、最近ではわざわざゲームセンターまで足を伸ばす人は少数派だ。ゲームセンター全盛期を支えた格闘ゲームも、ネット対戦のおかげで「家庭用で十分」という人が増えた。

 しかし、それでもミッキーに通ってくれる人たちは多い。彼らは何を求めてゲームセンターに足を運ぶのだろう。

「友達といっしょに騒ぎながら遊ぶ楽しさって、やっぱりゲームセンターでしか味わえないと思うんです。それに同じゲームで遊ぶ人たちが自然に集まるから、遊んでいるうちに仲間ができたりもする」(平井さん)

 確かに「行けば気の合う誰かがいる」という感覚はゲームセンターにしかないものだ。特にミッキーの場合、「パカパカパッション」や「鉄拳」好きが集まるお店としても有名だった。「パカパカパッション」は全国2位のスコアラーも通っていた“東の聖地”として愛され、「鉄拳」ユーザーの間では、火曜はミッキーに集まって対戦する“火曜ミッキー”という習慣もあった。昔のノートを見せてもらうと、びっしりと描き込まれたイラストやメッセージから、ファンが楽しそうに交流している様子が伝わってくる。ゲームが好きな仲間同士をつなぐ“場”としての意味も大きかった。

画像 当時の「ゲーセンノート」を見せてもらった(最近は置いていなかったそう)

画像 今でも置かれている「パカパカパッション」筐体

「見納め」前にふたたび訪れる常連客も

 実は僕も7〜8年前は神保町で働いており、当時はよく仕事をサボって仕事の休憩中にミッキーで遊んでいた。今回、久しぶりに店を訪れてみると、“建物の老朽化のため、営業を続けることが非常に困難な状態”という言葉の意味がよく分かった。

 木造の床は歩くとフワフワと沈み、天井を横切る梁には大きな亀裂が入っていた。カーペットはところどころ破れてホチキスで止めてあり、壁の穴はガムテープで補修してあった。まさに満身創痍といった状態で、「あの重たいゲーム機をよく何十年も支えてくれたと思います」という言葉も大げさではなかったんだな、とあらためて実感する。東日本大震災にも耐えた建物だったが、ビルのオーナーからは以前から「そろそろ限界かな」という声があった。

画像 梁には大きな亀裂が……

画像 ガムテープで補修された壁

 建物自体はふたたび建て替える予定だが、新しいビルにミッキーが入る予定は今のところない。閉店のお知らせが話題になると、かつての常連たちから「閉めちゃうんですか」といった問い合わせが相次いだ。最後にもう一度見ておこうと、ふたたび店を訪れる常連も多いという。

 最終営業日は3月29日まで。建物の老朽化が理由とは言え、またひとつ日本からゲームセンターの火が消えてしまうのはやはり寂しいものだ。

画像 「ミッキー」の後にはなにが書いてあったんだろう

その他の写真もどうぞ

画像 入り口

画像 ドアをくぐるといきなり階段

画像 1階には懐かしのテーブル筐体も

画像 中2階から2階へ続く階段。なぜか2方向に枝分かれ

画像 「元はトイレだった」というパチスロコーナー

画像 思えばこの洗面所はトイレの名残だったのか……

画像 2階にもパチスロコーナー

画像 中2階を見下ろせる、謎の吹き抜け

画像 ここもガムテープで補修

画像 カーペットもよく見るとボロボロだった

画像 この看板が見られるのもあとわずかです

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/25/news016.jpg 8人目の赤ちゃんが誕生、兄姉たちとの初対面が愛にあふれている 300万再生の光景に「号泣です」「素敵すぎて、尊くて……」
  2. /nl/articles/2402/24/news060.jpg 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  3. /nl/articles/2402/24/news009.jpg かなり危ういほど小さく、獣医師から「育たないかも」と告げられた子猫が豪快に成長し…… 現在の姿に感嘆「あー涙出ちゃう」
  4. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  5. /nl/articles/2311/24/news117.jpg 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. /nl/articles/2402/24/news017.jpg 雑草で荒れた庭を柴犬のために劇的ビフォーアフター 約2万円で実現した夢の自宅ドッグランが「イイお買い物」と話題に
  7. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  8. /nl/articles/2402/25/news059.jpg 「吉本の給料上がらず」 山田花子、“リアルな台所事情”さらし共感の嵐 割引駆使する“ママの顔”に「親近感」「見切り品も買って偉い」
  9. /nl/articles/2402/24/news007.jpg “幻の錦鯉”を入手→開封して見てみると…… 素人目でも分かる“他の鯉とは明らかに違う”姿に「こんな鯉いるのかよ」
  10. /nl/articles/2402/25/news028.jpg 赤ちゃんの目の前で横になってみたら……? 思わぬ展開に「泣いていい?」「号泣」と780万いいね【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」