コスプレや“薄い本”も増加中!? いまもっとも熱いローカルヒーロー「薩摩剣士隼人」は薩摩の心で悪を討つ

南の国でローカルヒーローとゆるキャラが合体。監督にも話をうかがった。

» 2013年05月02日 09時00分 公開
[黒木 貴啓,ねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 鹿児島生まれのローカルヒーローが、いまじわじわと人気を伸ばしているのをご存じだろうか。鹿児島の同人イベントではコスプレや“薄い本”の参加も多く、6月には初のオンリーイベントも開催されるという。

 その名は「薩摩剣士隼人(さつまけんしはやと)」。ローカルヒーローの例に漏れず、鹿児島の文化や自然などの要素をふんだんに盛り込む一方、やたらとシュールなゆるキャラが登場するのも大きな特徴だ。あの西郷隆盛も、伝説の精霊「ダイサイゴー」として登場している。

画像 薩摩剣士隼人公式サイト。右端にいるのがヒーロー、薩摩剣士・隼人だ

画像 さ、西郷さん!!


地元・鹿児島ではバラエティ番組にまで進出する人気ぶり

 番組は2011年10月から2012年末にかけ放送され、好評を受けて2013年4月からは「第2部」の撮影も始まった。オフィシャルグッズショップがオープンしたり、登場キャラが進行を務めるバラエティ番組が始まったりと、県内ではすっかり人気者だ。

 作品は「ボッケモン」と呼ばれる精霊たちが古代から住まう鹿児島が舞台。かつて鹿児島人に退治された狐一族の守護神「ヤッセンボー」が復活し、暗黒の力で人々を苦しめる。そこへ謎のヒーローボッケモン「薩摩剣士・隼人」が現れ、悪者たちと剣を交えてその場を丸く収めるという内容だ。

画像画像 3月末に埼玉で行われたヒーローショーの様子(場所:イトーヨーカドー アリオ鷲宮店)。鹿児島弁のにぎやかなやり取りも見どころだ

画像 隼人だけでなく敵役や脇役のゆるキャラも人気。同人イベントでは、いろんなボッケモンのコスプレや薄い本も多く見られるそうだ

 隼人は甲冑姿の剣士。兜の装飾が鹿児島の地形を模っているなど、随所に鹿児島要素が取り入れられている。特にユニークなのが、武器「無刃剣・十字丸(むじんけん・じゅうじまる)」だ。読みのとおり刃を持たない、木刀になっている。

 十字丸によって、隼人が悪者たちを傷つけることはない。これには剣を交えることで魂をぶつけ合い、悪者たちも友として迎え入れようとする、番組のテーマ「敬天愛人(けいてんあいじん)」の思想が込められている。敬天愛人とは「天を敬い人を愛する」という意味で、西郷隆盛が好んで使った言葉だ。武器ひとつとっても、ちゃんと鹿児島人の魂が込められている。

画像 刃のない「無刃剣・十字丸」を持つ隼人。構えも「チェストー!」でおなじみ、薩摩の古流剣術・示現流だ


ツッコミどころ満載のシュールなゆるキャラ

 さらに魅力の1つとして、大人の笑いを誘う変わったゆるキャラも出てくる。

 筆頭は何と言っても、西郷隆盛を慕う人々の気持ちから生まれた3.2メートルの巨人ボッケモン「ダイサイゴー」だ。強大な力と英知で鹿児島の人々を何度も救ってきたらしく、「偉大な伝説のボッケモン」と称されるなど、これまた突き抜けた設定。

画像 ダイサイゴーの着ぐるみは鹿児島の街中やショッピングモールにもしばしば出没しているらしい

 ほかにも、黒豚ボッケモン「黒豚ヴィーちゃん」は、体の右半分に「カタロース」「ヒレ」などお肉の部位名称が書かれている。「ボンタンくん」「びわちゃん」など果物ボッケモン10種類が合体した「果樹神合体 カジュカンサー」もシュールだ。全身に14個の顔を持っているうえ、肉弾戦が主な作品内で、重力をねじ曲げる「カジュウ念力」という謎の最強能力を使う。

画像 人々にヒレかつや豚串を勧めるなど、ヴィーちゃんはなんとも自虐的

画像 みかん9種類、びわ1種類が合体したカジュカンサー。このビジュアルから重力操っちゃいます


目指したのは“みんな”が夢中になれる作品

 なぜこのようなゆるキャラが登場するのだろうか?

「2歳から90歳が番組の対象年齢なんです」と語るのは、番組を手がけた外山雄大監督。子ども向けのヒーロー番組と思いきや、ターゲットはびっくりするほど幅広い。

画像 番組を作った外山雄大監督。隣は悪役ヤッセンボー

 「薩摩剣士隼人」の前には「オモチャキッド」というローカルヒーロー番組を手がけていたという外山監督。「薩摩剣士隼人」では、「オモチャキッド」ができなかった「あること」を実現したかったのだという。

「『オモチャキッド』の後に、『超神ネイガー』や『ひこにゃん』が全国的なブームになったのを見て、地方からでも十分全国に打って出ることはできるんだなと。それで『薩摩剣士隼人』では、ネイガーやひこにゃんのように、地元に経済効果を生み出せるようなローカルヒーロー番組を作ろうと思ったんです」(外山監督)

 それには小さな男の子だけでなく、より多くの視聴者に楽しんでもらう必要がある。いろんなゆるキャラを登場させたのはそのためで、ほかにもアイドルの格好をした女の子を登場させるなど、幅広い視聴者層が楽しめることを心がけた。かくして、ゆるキャラ満載のローカルヒーロー「薩摩剣士隼人」は誕生した。

画像画像画像 西郷隆盛の愛犬をモチーフにした「つんつん」(左)、鹿児島人に恨みをもつ吉野狐「コンコン」(中)、歌姫3人組の1人「おはらまつり」(右)。かわいいゆるキャラに混ざってアイドルのようなキャラも出てくる

 今では主役の隼人よりも、かわいいゆるキャラのつんつん・こんこんや、悪役のヤッセンボーの方に人気が集まることもあるそうだ。特にヤッセンボーは腐女子層に人気が高く、「薩摩剣士隼人」の人気を別方向から支える重要なファクターとなっている(他の一族のためにあえて悪役を買って出たという設定が受けたらしい)。

 奄美大島などを舞台にした第2部「離島編」は目下鋭意撮影中で、放送は2014年予定とのこと。第1部がネットで公開中なので、まずはこちらを制覇してみてはどげんですか?

画像 商店街を歩くダイサイゴーさん。でけえ!(編集長が鹿児島に行った際、たまたま遭遇したらしい)



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」