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» 2013年05月09日 15時33分 公開

まどマギのハンコは2時間で1000本完売 俺の嫁が銀行印になる「痛印」を作ったベンチャー企業

ハンコと言うと古臭いイメージを持たれがちだが、運営元のベンチャー企業は社員全員20代。若い世代が伝統的なハンコの世界に萌えを持ち込み新しい風を吹かせる。

[宮本真希,ねとらぼ]

 自分のイラストを印鑑にできるオーダーメイドサービス「痛印堂」が、まもなく1周年を迎える。伝統的なハンコの世界に“萌え”を持ち込み、そのうえ銀行印としても使えるとあって、サービス開始当初から大きな話題となった。最近では「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」(以下まどマギ)とコラボするなど、アニメ業界からも熱い視線が注がれているようだ。

画像 これが痛印だ!

 運営元のe3paper(埼玉県越谷市)は2010年創業のベンチャー企業だ。社員は3人。代表の中川貴文さんをはじめ全員が20代だ。ハンコと言うとちょっと古臭いイメージを持たれがちなので、意外に思う人は多いかもしれない。しかも以前は同人誌のダウンロード販売がメイン事業で、ハンコに詳しかったわけでもないという。それなのになぜ……? ヒットに至る経緯を聞いてみた。

実用性も◎ 値段も手頃な痛印

画像

 痛印堂は、注文時にイラストデータを送ると、その通りにハンコを彫ってくれる。もともと用意されたデザインで作ることも可能で、サイトには珈琲貴族さんなど有名絵師によるイラストが並んでいる。中川さんによると1番人気は萌えキャラ「柘植あかねちゃん」。「印鑑の精霊」という設定の同社オリジナルキャラクターだ。変わったところでは迷路のイラストを彫ってほしいという注文が来たこともあるそうだ。

 と、ここまでの説明だけ聞くとよくある萌えグッズ的展開という感じなのだが、痛印堂の人気をさらに後押ししたのはその実用性だろう。イラストのそばに実名が入ったデザインで彫ってもらえば、ちゃんと銀行印として使える。しかも丸印なら1380円からと値段もお手頃だ。痛印で口座開設なんてちょっと気恥ずかしいが、普通のハンコは物足りないしこれくらいの価格で作れるなら“俺の嫁”で試してみようか……と思えてくる。

同人誌のダウンロード販売からの転身

 中川さんは大学卒業後、広告代理店に就職し、そこを辞めた後に同社を起業した。はじめはWeb制作や映像制作、同人誌のダウンロード販売などの事業がメインで、漫画作成ソフト「コミPo!」の素材を販売していたこともある。痛印堂は、知り合いの印鑑メーカーから「コミPo!のグッズを作ろう」という話を持ちかけられたことがきっかけだ。

 当初はタオルなどのグッズを販売することを想定していたが、途中から「コミPo!以外のイラストでもできないか」「どうせならハンコにイラストを彫るのはどうか」とアイデアが広がっていき、サービスの原型ができ上がった。「ハンコはファッションなどの流行りモノと違って、在庫がたまらない」「人手もそれほど必要ない」と事業のリスクが低いところも参入の決め手となったという。

 サービスは昨年6月にスタート。協力してくれた絵師の知名度に引っ張られる形で、痛印堂の話題はすぐネットで広まり、注文が殺到した。反響が大きすぎて対応しきれず、ほかの事業との両立が難しくなるほどだったという。そこで中川さんは痛印堂の事業1本に絞ることを決意。社内に彫刻機械やスタンプ製造機を導入し、制作工房を設けた。さらに数社の印鑑メーカーとも手を組み、展開している。

画像 珈琲貴族さんとコラボして限定販売した「至高の痛印」セット

 この1年間で痛印堂はどれほどのハンコを売り上げたのか。詳細な数字は非公開とのことだが、前述の印鑑メーカーが「初年度でこれはありえない」と舌を巻くほどだったという。珈琲貴族さんとコラボして販売した50本限定の「至高の痛印セット」(1万2500円)は20分で完売し、オークションで6万円に高騰。まどマギのコラボ印鑑は1000本が2時間で売り切れた。

 さまざまなキャラクターとのコラボの依頼も次々に舞い込んでいる。ここでは名前を出すことができないが、決定しているものはどれも有名なキャラクターばかりで、まどマギに続き話題になりそうな予感だ。今後は海外展開も検討している。実際に米国とオーストラリアから注文があり、試験的に販売したこともあるのだ。印鑑文化のない海外でもビジネスとして成功できるのか? 今後の展開に注目したい。

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