コミケが児童ポルノ禁止法案に反対声明 「文化の種を狭い檻に閉じ込めてよいのか」

日本漫画家協会、日本雑誌協会・日本書籍出版協会、全国同人誌即売会連絡会に続き、改正案への反対を表明しています。

» 2013年05月30日 11時49分 公開
[ITmedia]
photo 声明全文

 「諸外国に誇れるコンテンツ文化の世界は、作家の自由な活動によって生まれてきました。やっと育った文化の種を、今、狭い檻に閉じ込めてしまってよいのでしょうか」――。

 コミックマーケット準備会が5月29日、自民・公明・日本維新の会の3党が同日国会に提出した「児童ポルノ禁止法」改正案に対する反対声明を発表しました。改正案には、規制の範囲が漫画やアニメといった創作物にも広がる可能性をはらんだ内容が含まれています。準備会は「現実に被害者が存在する児童虐待、児童の性的搾取に立ち向かう取り組みを支持する」としつつ、規制の拡大が創作文化に悪影響を与えることを懸念しています。

 改正案に対しては出版分野の各協会などから意見が続々と表明されています。コミックマーケット準備会は、全国同人誌即売会連絡会の声明に「全面的に賛同」するほか、日本漫画家協会の声明、日本雑誌協会・日本書籍出版協会の声明(PDF)に対しても「強い支持を表明」しました。

 開催の度に7万種類以上の作品が扱われるコミケですが、その中には「現行法の範囲内ではありますが、良識ある人たちが眉を顰(ひそ)めるような傾向の内容を持つ作品が含まれていることも事実」と準備会はいいます。一方で、性的な作品でデビューした後に有名になった映画監督や人気漫画家が多くいることを例に、「その中には多くの原石が存在」すると説明。「無数の才能の中から輝きを放った作品が傑作として評価されるためには、創作上の、発想と発表の自由が必要」だと呼びかけています。

 こうした背景から、「才能に枷(かせ)をはめる事は、名作が生まれる可能性の芽を摘むことになりはしないかと不安を感じざるを得ません」と準備会はコメント。「創作や発想自体を法で縛ることでなく、相互の価値観を理解し共存することを認めるため、対話を重ねること」が必要だと話しています。

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