高畑勲監督「かぐや姫の物語」で「日本のアニメにとって一歩進めた」と自信 宮崎監督引退は「変わる可能性も」

「ジブリ史上、最大の野心作」という「かぐや姫の物語」がいよいよ公開。完成報告会見に高畑勲監督が登場しました。

» 2013年11月07日 19時10分 公開
[ねとらぼ]

 スタジオジブリ高畑勲監督の14年ぶりの新作「かぐや姫の物語」がいよいよ11月23日に公開される。製作期間は8年、総製作費は50億円。背景とキャラクターが一体化してまるで1枚の絵のように動く表現手法は、高畑監督がわざわざ新たなスタジオを開設してまで実現させた。まさに「ジブリ史上、最大の野心作」であり、主人公は「ジブリヒロイン史上、最高の“絶世の美女”」という。

 11月7日には同作の完成報告会見が開かれ、高畑監督、日本テレビ大久保好男社長、脚本の坂口理子さん、主題歌「いのちの記憶」を手がけた二階堂和美さん、主人公かぐや姫役の朝倉あきさん、捨丸役の高良健吾さん、媼役の宮本信子さん、女童役の田畑智子さん、大伴大納言役の宇崎竜童さん、石作皇子役の上川隆也さん、北の方役の朝丘雪路さんが出席。製作時の裏話や手応えを語った。

画像 左から二階堂和美さん、朝丘雪路さん、宇崎竜童さん、宮本信子さん、高畑勲監督、朝倉あきさん、高良健吾さん、田畑智子さん、上川隆也さん、坂口理子さん

高畑監督の半世紀越しの夢

 原作「竹取物語」は、竹の中から生まれ美しく成長した娘が求婚者たちを次々と振ったあげく、満月の夜、迎えに来た使者とともに月へと去ってしまう――というストーリーだ。かぐや姫の物語では、姫が一体何のために地上にやってきて、なぜ月に帰るのか、地上で何を思い生きたのかなど、かぐや姫の「心」を描いている。

 同作のパンフレットによると、55年ほど前に東映動画で「竹取物語」の漫画映画化が計画されたことがあり、社員全員からプロットを募る試みのなかで、当時新人だった高畑監督も企画案を考えたという。結局この映画は実現せず高畑監督の企画案も「埃をかぶったまま」に。そんなわけで、かぐや姫の物語は「半世紀越しの夢」なのだそうだ。

 高畑監督は「お金も時間もかかりやっと完成できた」と会見に晴れやかな表情で登場した。「私は仕事の仲間にそれほど感謝しない。ともに作品を作る、苦楽をともにするという考えを持ってやってきたが、今度ほどありがたいという気持ちを持ったことはない」と感謝し「後はどれくらいお金を回収するかということらしい」と語って会場の笑いを誘った。

画像

 同作はスケッチのような描線や絵巻物のような淡い色彩が特徴的だ。さらに、背景とセル画を別々の様式で描くセルアニメーションの手法とは違い、背景とキャラクターが一体化して1枚の絵のように動くアニメーションを実現するため、わざわざ新しいスタジオを開設してまで制作するなど、こだわりが詰まっている。「表現は新しいだけじゃなくて、意味があってやっていること。それが達成できたということは、図々しく言えば、これからの日本のアニメーションにとって一歩進めたような気がする」と高畑監督は自信を見せた。

 声優陣は、オーディションで選ばれたかぐや姫役の朝倉さんなどのほか、昨年6月に亡くなった地井武男さんも翁役で出演している。声を先に録り、それに合わせて後から絵を描く「プレスコ」手法で制作したために地井さんも出演が可能だった。媼役の宮本さんは「地井さんとは同窓生みたいな感じで楽しく仕事できた。(今は)やっぱり月で見守ってるじゃないでしょうか」とコメント。朝倉さんは「わずかな間だけでもお会いできて、お芝居できて、ほんとになんて幸せ者なんだろうと噛み締めました」と振り返った。

画像

宮崎駿監督引退「変わる可能性あると思う」と高畑監督

 高畑監督は会見で、9月に長編映画からの引退を発表した宮崎駿監督についても聞かれ「引退というのは、けじめをつけたかったんでしょうが、今度は本気と言っていたけど、変わる可能性もあると思う。そうことがあっても驚かないで欲しいと思います」とコメント。自身の次回作など今後については「全然考えていない」と語った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  5. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/14/news038.jpg 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  8. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. /nl/articles/2412/14/news002.jpg 【今日の難読漢字】「男衾」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/15/news024.jpg おじいちゃん「昔はモテた」→孫は信じていなかったが…… “今では想像できない”当時の姿が140万再生「映画スターのよう」【米】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」