艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「伊401」編超私的には「海底空母」と呼んであげたい

「艦これ」に「蒼き鋼のアルペジオ」とのコラボとともに「伊401」が登場!

» 2013年12月26日 11時09分 公開
[長浜和也,ねとらぼ]

400より401が目立つのはきっと旗艦だったから

 伊401は、伊号第四百番型潜水艦の2番艦にして、1945年1月8日佐世保海軍工廠(こうしょう)の生まれ。伊号第四百番型は、汎用の対艦攻撃用の潜水艦としてではなく、米本土の重要目標を搭載する攻撃機で破壊することを目的として1942年1月から開発を開始した。伊号四百番型潜水艦の軽巡洋艦「夕張」型を上回る巨体も、地球1周航海が余裕でできる長大な航続距離も、そして、搭載する特殊攻撃機「晴嵐」の開発も、すべて、敵本土の重要拠点を破壊するためだけに必要としたものだった。

艦これ的な「伊401」

 敵本土に水中からひそかに接近し、搭載する飛翔兵器で奇襲をかけて敵が反撃するまもなく破壊するという用兵は、現代の戦争において潜水艦搭載のトマホーク巡航ミサイルによる陸上奇襲や、潜水艦搭載の弾道核ミサイルで敵本土を攻撃する戦略ミサイル潜水艦に通じるものがある。そういう意味で、伊号第四百型潜水艦は日本軍で唯一の“戦略兵器”といえるかもしれない。

 開発当初、米本土の重要目標としてパナマ運河攻撃を計画していたが、完成したときは、すでに日本本土が敵空母部隊に攻撃を受ける戦況で、遠いパナマ運河より米空母艦隊の基地であったウルシー泊地を攻撃することになり、7月24日に大湊から出撃した。ともにウルシーを攻撃する伊400は、すでに2時間前に出港していた。それぞれ単独で攻撃地点を目指した2隻は8月14日に再会して8月17日にはウルシーの敵空母を攻撃するはずだった。しかし、8月14日に会合地点に到達した伊401は、先行していた伊400と出会うことができず(なぜか伊400はすでに攻撃開始海域に達していた)、翌日の8月15日に終戦、伊401はそのまま日本への帰途につく。潜水隊司令と伊401艦長は、航海中の針路選択や終戦後の戦闘行動継続と日本帰還などで激しく対立していたが、戦闘継続を強く主張した潜水隊司令は、晴嵐の海上投棄後に自殺している。

 あとわずかのところで攻撃はできず、戦果としてはゼロの伊401だが、それでも、終戦時に攻撃任務を帯びた作戦行動を行っていた日本海軍最後の“機動部隊”として、彼女たちを記憶に残しておきたい。なお、艦これ的には「潜水空母」と呼ぶ航空機搭載潜水艦だが、その用兵的には、現代の戦略ミサイル潜水艦(SSB)に通じる「戦略航空潜水艦」(SSC)であって、今回参考文献として利用した丸スペシャルでは“海底空母”という、潜水空母以上に胸アツな言葉で呼んでいる。日本海軍的な呼び名としては「特型潜水艦」という名称を使っていた。

終戦直前に出現した“戦略兵器”だっため、ボードウォーゲームでも特殊な扱いになることが多い。「太平洋艦隊」(ホビージャパン/サンセットゲームズ)では、最終ターンにユニットが登場してウルシー泊地にいる敵空母を特別に攻撃でき、「Pacific War」(Victory Games/ホビージャパン)では、開戦時(!)に登場してパナマ運河を攻撃できる(写真=中央)。戦術級の「SUBMARINE」(アバロンヒル)では、ほかの潜水艦と同じように敵艦を水中から雷撃できる。巨大な船体ながらその機動力は伊15や伊16と同じレートで、雷撃力は艦首8門と強力な攻撃潜水艦に評価している

 ちなみに、晴嵐を収容していた格納塔は水密区画だったものの、前部に開閉式の扉を設けていたため浸水の危険があったほか、内部に防水区画を設けられない巨大な空間であったため、攻撃で損傷して浸水が起きた場合、一気に浮力を失う可能性があった(想定では220トン)。そのため、この区画が浸水したら、同じ重さの燃料を放出して浮力を維持する計画だったという。また、連続航海期間は約4カ月を想定しており、航続距離は問題なかったものの、乗組員に4カ月食べさせるだけの食糧貯蔵空間の捻出に非常に苦労するつくりになっていたという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」