ニュース
» 2014年03月31日 23時10分 公開

将棋電王戦第3局で人間側が1勝を返す 豊島七段が「序盤、中盤、終盤、隙が無い」指し回しでYSSに圧勝

駒たちが躍動する豊島の将棋を皆さんに見せたよね。

[たろちん,ねとらぼ]

 5人のプロ棋士が将棋ソフトと戦う「第3回将棋電王戦」。第3局の豊島将之七段対YSSの対局が、大阪あべのハルカスで行われました。

画像 対局場は55階のスイートルーム。絶景です。

 ここまでコンピュータ側の2連勝と、人間側にとって後がない状況。ここで登場する豊島七段は、「将来の名人は確実」とまで言われる若手のホープ。また、第2局に登場した佐藤紳哉六段の「豊島? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙が無いと思うよ」というプロレス風のあおりは、将棋界随一のネタフレーズとしてファンにはお馴染みとなっています。対局前の予想でも最も人間側の勝つ可能性が高いと期待されており、これからの将棋界を背負う存在として絶対に負けられない1局。豊島七段も「勝負にこだわる」と強い意気込みを見せていました。

画像 対局開始

画像 電王戦予想サイト「ととくじ」でも豊島七段は圧倒的な期待を掛けられていました

激しい展開にも動じない「ノータイム豊島」

 戦型は将棋の中でも特に激しい変化の多い「横歩取り」に。後手のYSSは序盤早々、相手の攻めを呼び込むさらに激しい展開へと誘導します。しかし、この手はプロ間では先手に有利な変化が多いとされている一着。恐れず切り合いに踏み込んだ豊島七段が序盤からリードを得る展開となりました。

画像 対局前から「豊島七段には3手目に秘策がある」と話題になっていた場面。この日は戦型の違いで不発でしたが、かわりに上着を脱ぐという新手を披露。

 一手一手に細かく時間を使うYSSに対し、序盤からノータイムで指し手を進める豊島七段。勝負所に持ち時間を温存するこの作戦は、昨年の「電王戦リベンジマッチ」で船江五段も採用しており、中終盤を得意とするコンピュータ相手には有効とされている作戦です。一手のミスが命取りとなる横歩取りで早指しを続ける豊島七段に、ニコ生でも「無慈悲なノータイム」「ノータイム豊島かっけえw」といったコメントが。

画像 後戻りの出来ない変化へもノータイムで踏み込む豊島七段に沸くコメント

ゲストの小藪さんが大活躍

 ニコ生の大判解説ではお笑い芸人の小籔千豊さんが登場。小藪さんは先日のニコ生「最強将棋芸人VS電王ponanza」で飛車角落ちのハンデ付きながら電王Ponanzaにも勝った実力者。「相手が池乃めだかさんやったら……」と控え目ながらプロがうなる指し手を次々と指摘し、解説の野月浩貴七段を驚かせます。また、現地で慣れないリポーター役を務める香川愛生女流王将には「最初からそれ言うって決めてたでしょ? 決め打ちだめですよ! 将棋と一緒やトークは!」とツッコミの強手を披露して会場を大いに盛り上げました。

画像 小藪さんは得意のトークだけでなく聞き手としても鋭い手を指摘して会場を驚かせました

画像 対局者のお昼ご飯は「海鮮丼」

将棋ロボが「電王手ちゃん」としてまさかの美少女化

 現地からの中継には、代指しを務める「電王手くん」を開発したデンソーチームのメンバーが登場。ユーザーが電王手くんを擬人化した「電王手ちゃん」のイラストが紹介されると、「メカ部分が詳細に描かれているのが素晴らしい」と開発者ならではの視点で喜びを表現していました。

画像 「電王手ちゃん」を見て笑うデンソーチームの皆さん

YSSに痛恨の悪手

 一度有利を築いても、そこから粘り強さを発揮するのがコンピュータ将棋。しかし、豊島七段がミスの無い指し回しでリードを広げると、ついにYSSに痛恨の悪手が出ます。その手は貴重な持ち駒の金を働きの悪い場所に打ち込んでしまう1四金。これは谷川浩司会長が「コンピュータのこんな手は久しぶりに見ました」と思わず固まってしまうほどはっきりとした悪手。ここで形勢は完全に豊島七段必勝となります。

画像 衝撃的な悪手に思わず固まる谷川会長

 将棋は最後にミスをしたほうが負けるゲーム。絶対に負けられないというプレッシャーから緩手を指して負けてしまうということは、人間の将棋ではよくあることです。しかし、豊島七段は終盤もノータイム指しを連発し、YSSを圧倒。まさしく序盤、中盤、終盤、隙の無い完璧な指し回しでプロ棋士の強さを見せつけ、83手でついにYSSの投了となりました。

画像 初めて披露された電王手くんの投了。人間のように駒台に手を置く仕草も見せました

アンチコンピュータ戦略は「ハメ手」か?

 本局や第2回電王戦で人間側唯一の勝利を挙げた阿部光瑠四段のように、コンピュータの癖を見抜いてその隙を突く指し方を「ハメ手ではないか」と見るファンもいます。ですが、それはプロ棋士や将棋ソフトをあまりにも軽んじた見方ではないかというのが個人的な意見。豊島七段が「1000局とはいかないが3ケタは練習対局をした」「何度も逆転負けをする中で、序盤の長い将棋や中盤を省略する激しい将棋に勝ち目があると思った」と語るように、プロがそれだけの準備をしてやっと勝てるのが今の将棋ソフトのレベル。開催前には、事前研究ありのルールを「棋士の宿題発表会になる」と予想する声もありましたが、せいぜい難関大学入試の「傾向と対策」を立てられるくらいのもので、優勢を築いてからミスをせずしっかり勝ちにつなげた豊島七段の実力を評価すべきではないかと思います。

画像 会見に応じる豊島七段とYSS開発者の山下宏さん

 対局後の会見で、豊島七段は「YSSとの練習を重ねる中で自分の将棋が変わっていく実感があった。山下さんに感謝しています」とコメント。山下さんも「評価値が一度もプラスにならなかったのが印象的。負けたのは残念だが、少しでも豊島さんの役に立てたのなら嬉しい」と最後まで紳士的な態度を見せており、対局前にいざこざのあった前局を忘れさせるような爽やかな最後となりました。勝負という形以外に、将棋ソフトとプロ棋士のこうした良い相互関係が見られるのも電王戦の魅力の1つかもしれません。

画像 放送後のアンケートも「とても良かった」が90%以上。多くの人が満足する1局となったようです

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2201/20/news011.jpg 飼い主の指をしゃぶりたい保護子猫、大声で激おこ→「満足です……Zzz」 別猫のようなビフォーアフターがかわいい
  2. /nl/articles/2201/20/news094.jpg 「今日もぐんぐんグルトは買えませんでした」 “雪に埋もれた自販機”を1カ月間観測し続けた道民に注目集まる
  3. /nl/articles/1902/28/news005.jpg 「お前やってることは法律に引っかかってんだよ!」 コインハイブ事件、神奈川県警がすごむ取り調べ音声を入手
  4. /nl/articles/2201/20/news010.jpg 「猫はコタツで丸くなるんですか?」「いいえ、雪道を猛ダッシュします」 兄姉犬と元気に散歩する猫がかわいい
  5. /nl/articles/2201/19/news025.jpg 「ペレットはお付けしますか?」 ハンバーグの注文でよく分からず「食後で」頼んでしまう4コマがシュール
  6. /nl/articles/2201/20/news012.jpg 守りたい小さな背中の保護子猫が、5カ月後…… ずんぐりむっくりに成長したビフォーアフターに感動
  7. /nl/articles/2201/19/news024.jpg 昔出会った不思議な小学生、10数年前ぶりに家を訪れ「ゾクリッ」 実話怪談漫画の結末が不気味
  8. /nl/articles/2201/20/news154.jpg 「2人ともスタイルが流石!」「現役可愛い」 高島礼子&とよた真帆、デパ地下で遭遇した“50代美女”ショットに反響
  9. /nl/articles/2201/20/news026.jpg 【漫画】「男の子の双子です」と言うと……「お家ボロボロにされるわよぉ」 アドバイスに戦慄するママに体験談集まる
  10. /nl/articles/2201/19/news162.jpg 「アキラかにきむすばですやん!」 声優の木村昴、『AKIRA』大友克洋のツイートに偶然写り込んでしまう

先週の総合アクセスTOP10

  1. 勝手に「サービス終了ゲーム総選挙」をやったら6700票も集まってしまったので結果を発表します 2位の「ディバインゲート」を抑えて1位に輝いたのは……
  2. ママとの散歩中、田んぼにポチャンした柴犬さんが帰宅後…… パパに一生懸命アクシデントを報告する姿がいとおしい
  3. “26歳年の差婚”の菊池瑠々、第4子妊娠を発表「もう、とにかくうれしいです!」 年上の夫も満面の笑み
  4. 桐谷美玲、隠し撮りに「絶対ヤバい顔」 “ほぼ半目”な不意打ち写真に「100点満点に可愛い」と全力フォローの声
  5. 村田充、3匹目の愛犬の存在明かす 神田沙也加さんから引き取ったブルーザーとは「数日で仲良くなりまして」
  6. 三浦孝太、母・りさ子誕生日に“家族4ショット”でお祝い キングカズも笑顔の写真に「家族が1番!」
  7. バレー日本代表の清水邦広の再婚に盟友・福澤達哉さん「相手は私ではございません」 元妻は中島美嘉
  8. 「駅の待合室をバケモンが占領している」→“謎の生き物”の正体について大分県立美術館に話を聞いた
  9. 滝沢カレン、倖田來未の“バックダンサー”になりすまし 感極まって「人一人洗えるくらい泣きました」
  10. 宮崎駿愛用の「電動消しゴム」が故障 → サクラクレパス公式が倉庫の奥から発掘 Twitterが繋いだ温かな展開が話題に

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「どん兵衛」新CMに星野源が復活も衝撃の新展開 “どんぎつね”吉岡里帆の正体明かされ「完全なホラー案件」「狂気を感じる」
  2. ハラミちゃん、“公称145センチ”も本当の身長にゴチメンバー驚き 「デカイっていわれるのが嫌になっちゃって……」
  3. 西川史子、退院を報告 「生きていて良かったと思っていない」と告白も、力強い現在の心境明かす「私は医師です」
  4. 「もうアヒル口」「美人確定ですね!」 板野友美、生後2カ月娘の“顔出しショット”にみんなメロメロ
  5. 「気ぃ狂いそう」 木下優樹菜、生配信中止で“涙のおわび動画” やらかしたスタッフに「生きてたらミスぐらいする」
  6. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  7. 「こんな普通に現れるの?!」「バレそうで心配」 倖田來未、駅のホームに“普通に並ぶ”姿にファン驚き
  8. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」「どストレートに餅で笑った」と称賛集まる
  9. 第1子妊娠のすみれ、母・松原千明と2年ぶりに涙の再会 「やっとママに会えました」と感動的な親子ショット公開
  10. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」