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» 2014年12月05日 12時52分 公開

関係者ー、もっとガンガン攻めていこうぜー:艦これ提督に捧げたい「ゲームマーケット2014秋」索敵報告 (3/3)

[長浜和也,ねとらぼ]
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登場艦隊の規模が大きくなって一部ルールが変わった「マリアナの奇跡」

 グループ「乾坤一擲」(けんこんいってき)の日本空母戦記シリーズでは、マリアナ沖海戦を扱った新作の「マリアナの奇跡」が登場した。1944年の6月に起きた太平洋戦争最後、というか、現時点において人類最後の空母戦となった「マリアナ沖海戦」を取り上げている。

 定評のゲームルールやコンポーネントは、従来の日本空母戦記シリーズと同様だが、これまでの1942年に発生した空母戦と比べて参加兵力が大きくなったマリアナ沖海戦ゆえに、ユニットの単位を変更したり(駆逐艦はそれまでのカード1枚で2隻からカード1枚で1個水雷戦隊相当)、米海軍空母航空部隊の基地攻撃を省略したり(陸上攻撃カードをなくした)、と変更を施したため、これまでの日本空母戦記シリーズとは連結できなくなっている。

高い評価を得ながらも、購入できるのはイベント限定で、かつ、販売数が一桁と数が少ないため「幻の名作」といわれている日本空母戦記シリーズでは、「マリアナの奇跡」が登場。これで、太平洋戦争ほぼ全期を通したラインアップがそろった

大作「War in the Pacific」も控えているサンセットゲームズ

 絶版ウォーゲームの復刻に力を入れているゲームショップのサンセットゲームズでは、定番の弾丸ツアーゲーム「10 DAYS」シリーズの体験卓とウォーゲーム専門誌「コマンドマガジン」「ゲームジャーナル」のバックナンバーや入手が難しい中古ウォーゲームの即売で盛り上がっていたが、それ以外にも、2014年に復刻出荷を実現した名作「戦国武将」(オリジナルはエポック)と「聯合(れんごう)艦隊」(オリジナルはホビージャパン)を展示していた。

こちらも名作のリメイク版「戦国武将」と「聯合(れんごう)艦隊」を2014年に再販していずれも好調なサンセットゲームズのブース

 戦国武将では注目するウォーゲーマーも多い「追加武将ユニット」シート、聯合艦隊でも海外のマイナー艦まで含めた艦艇ユニットシートがそれぞれ実際にチェックできるようになっており、その細かい違いまで再現したシルエットや細かいデータを確認できた。

 艦これ提督的に興味深いのは、艦隊水上戦をテーマにした「聯合艦隊」だろう。夜戦だけでなく粛々と進撃する大規模艦隊が遠距離から撃ち合う昼間の水上砲雷撃戦も再現できるウォーゲームだ。

 オリジナルは、日本人が最初に商用としてデザインした戦術級海戦ゲームの「大日本帝国海軍:IJN」で、ウォーゲームが初めてでも理解できるようにシンプルなルールを重視している。その後、登場するユニットとシナリオを大幅に拡大して、ユニットの艦艇シルエットを高精細にして各クラスの違いを細かく再現した「FLEET BATTLE」が登場し、サンセットゲームズが復刻版を「聯合艦隊」と改名して出荷した。

 その復刻版も完売して長い時間がたっていたが、2013年からの日本海軍ブームに合わせて再販の要望が多くなり、2014年の5月末に再販が実現した。書泉グランデやイエローサブマリン、サンセットゲームズの通販ページで購入が可能で、価格は税別で6800円だ。

 サンセットゲームズでは、太平洋戦争の戦略級ウォーゲームとしてSPIの名作「War in the Pacific」の復刻出荷を決定しており、現在、サンセットゲームズのWebページに設けた復刻プロジェクト「プロジェクト100」で作業経過の紹介と、事前予約の受付を行っている。

サンセットゲームズが再販を予定している伝説のビッグゲーム「War in the Pacific」(サンセットゲームズの古角博昭氏ブログより引用)。このパッケージデザインを見て「うおおぅ」と思わずうなってしまうウォーゲーマーは少なくない

 最も大規模で最も複雑な太平洋戦争戦略級(それでいて最も早い段階で登場した)のウォーゲームとして全世界規模で伝説的な存在となっているタイトルだ。ユニットの数は3200個、フルマップ(A1サイズ)が7枚というだけでも、その規模は分かってもらえるだろうか。「ああ、それって業務用なんでしょう。軍隊とかの」と思いきや、あの米海軍が兵学校(アナポリス)で演習に使おうとして挫折したという逸話も残っている。

 そんな「買ったはいいけど、本当にできるの?」というWar in the Pacificだが、古今東西かかわらずウォーゲーマーの物欲を猛烈に刺激するらしく、事前予約価格2万円にもかかわらず(しかし、これでも過去のホビージャパン日本語版やDecisonGameisの再販版と比べるとは破格の安さ)、出荷条件の受注100個をめでたく超えている。


 艦隊これくしょんが登録40万人を超えた2013年の敗戦記念日に「その1000分の1でもいいから」とボードウォーゲームに誘うべく、太平洋戦争の海軍作戦を取り上げたタイトルを紹介する記事を掲載した。しかし、当時は、現役のゲームがほとんどなく、登場から時間がたっている流通在庫か、オークション入手を前提としなければならなかった。

 それから1年たって、太平洋戦争のウォーゲームを取り巻く環境は一変した。空母戦、水上砲雷撃戦では、復刻再販版の出荷が始まっただけでなく、戦略級や空戦では新作が登場し、そのいずれもが、ルールが分かりやすく、2〜3時間で終了する「日常生活で無理なくできる」ウォーゲームゆえに、販売実績も好調だ。その勢いに乗って、ユニット数1000個を超えるビッグゲームも日本語版として登場、または、これから登場する予定だったりする。

 ベテランのウォーゲーマーには、「艦これ提督にウォーゲームはハードルが高すぎる」という意見が依然として少なくない。また、「ボードウォーゲームは難しくてとてもできなそうだ」と考えている艦これ提督も依然として少なくない。

 ただ、その一方で、ボードウォーゲームを紹介する記事に、「やってみたい」というコメントも寄せられている。やってみたいけれどどこでできるか分からない、という潜在的ボードウォーゲーマーは確実に存在する。

 なんだかんだいって、ゲーム人口が多くなるということは、そのゲームに興味を持つ者すべてにとってメリットになる。1980年代をピークにしたウォーゲームブームを経験した関係各位は、その後の痛い敗戦から貴重な戦訓をたくさん得たはずだ。最近のウォーゲームデザインは、その戦訓を取り入れてきた成果ともいえる。

 ゲームデザインとゲームタイトルが整ってきたところで、次は潜在ウォーゲーマーへの窓口を用意する段階に来ている。そこで力を発揮するのが、厳しい時代でも活動を継続してきたウォーゲームサークルだ。SNSの普及によって情報発信能力は格段に向上している。「ほぼ日刊ウォーゲーム情報」といったウォーゲームに関する情報を集約するポータルWebページも存在する。

 この機会に、ウォーゲームをやってみたいと思っている艦これ提督、いや、もっと広い潜在ユーザーをこの興味深い世界に誘ってほしいと切に願う。

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