取り壊しのうわさはどうなった? 知る人ぞ知るディープスポット、中野の九龍城「ワールド会館」の今

まだ、ギリギリどうにか営業中。今のうちに行っておきたい!

» 2015年06月28日 21時10分 公開
[長谷川京子ねとらぼ]

 東京・中野「ワールド会館」は歓楽街の一角にある、昭和の匂い漂う雑居ビル。坊主バーやアニメカラオケバー、ロックバー、ジョジョバー、歌謡スナックなど個性的なお店がひしめくこのビル、実は現在「悪い意味で」世間の注目を集めているんです。

 2014年、ビルオーナーの光熱費・水道料金の持ち逃げが発覚し、数日後にライフラインが止められるかも、と崖っぷちの状況に。取り壊しのうわさが出たことすらありました。でも、問題発生から1年後の今、まだ普通に経営しています。「中野の九龍城」と言われるワールド会館の現状はいかに? いつなくなってもおかしくない今、実際に現地へ行って状況を確かめてきました。


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 ディープでレトロな外観が魅力のワールド会館は、1970年頃に竣工。当時はホテルや映画館として開業しましたが、その後はウィークリーマンション、シェアハウスなどに業態を変え、さらにオーナーの変更とともに飲食店を中心とした雑居ビルに転身して、今に至ります。このなんとも言えない外観が評判となり、数多くの映画やドラマ「潜入探偵トカゲ」のロケ地にも使われ、知る人ぞ知る中野の名所となりました。


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 そんなワールド会館に入っているテナントはビル同様個性的なお店ばかり。ワールド会館の現状や存続問題の話に入る前に、先に各店舗の楽しみどころをご紹介したいと思います。まずは、2階の「坊主バー」から。


画像画像 「坊主バー」

 春に放送されたドキュメンタリー「ザ・ノンフィクション」でもビルの商店会の代表として登場した、浄土真宗のお坊さん・釈源光さんのバー。お店はカウンターとテーブル席があり、仏教云々に興味があろうとなかろうと、居心地よくゆったりくつろげる空間です。「街にある立派なお寺よりも、ここが本当のお寺だと思うんです。宗教は本来哲学や学問ではなく生活そのものですから」と釈さん。マントラ音楽やご本尊・仏教用語を引用したメニューも新鮮です。


画像 坊主バーのメニュー

「坊主バー」の店舗情報

  • TEL:03-3385-5530
  • 営業時間:19時〜翌2時30分(L.O)・日曜〜24時(L.O)
  • 定休日:火曜日・年末年始

 続いては、同じく2階の「バカルマ」。


画像 「バカルマ」

 2015年に開店したばかりのシーシャ(水たばこ)バー。できたばかりとあって、ビル外観からは想像つかないほどキレイでオシャレな店内です。ちなみに、木曜日と金曜日はシーシャではなく、女性のスタッフが営業する普通のバーになります。シーシャを味わいたいか、女子ときゃっきゃしたいかで行く曜日を選びましょう。

「バカルマ」の店舗情報

  • TEL:080-4443-1618
  • 営業時間:20時〜翌5時
  • 定休日:なし(木・金は別営業)

 そして、1階のアニソンDJカフェバー「雷神(RAIZEEN)」は、アニソンを聴きながらアニメを語れるカフェバーで、中野の新たな「ヲタクの聖地」になりつつあります。土日はなんと14時から営業。昼間からアニソンで盛り上がれるのはうれしいですね!


画像画像 「雷神(RAIZEEN)」

「雷神(RAIZEEN)」の店舗情報

  • TEL:03-5942-6456
  • 営業時間:月〜金19時〜23時、土日14時〜23時
  • 定休日:なし

 最後に1階のロックバー「倶楽部東京JOE」。


画像 「倶楽部東京JOE」

 こちら、薄暗い廊下の最奥にある店なので入るのにかなり勇気がいりますが、一度入ってしまえばユニークなマスター・NECOさんが明るく迎えてくれます。NECOさんの本業は役者で、谷村好一名義で映画やドラマ、舞台等で活躍中とのこと。ライブやイベントを開催するときもあるそうなので、一度覗いてみては。

「倶楽部東京JOE」の店舗情報

  • TEL:非公開
  • 営業時間:21時〜翌3時
  • 定休日:日・祝(NECOさんが役者業の際は臨時休の場合も)

 さて、お店の紹介が終わったところで、気になるワールド会館の今後を、ビル商店会代表の坊主バーの釈さんにお伺いしました。

 現在、このビルは売りに出されたものの買い手がつかず塩漬け状態。状況が変わるまでは管理人不在のまま、テナントさんたちの自主管理で運営していくそうです。

 「更地にしづらい立地なので取り壊しの危機は免れそうですが、いつライフラインが止まってもおかしくない危機的状況は今も続いています。ただし料金の未払いではなく、設備の老朽化で。ビル全体をメンテナンスする資金はありませんので、だましだまし使っていくしかありません。丸ごと買い取って管理してくれるオーナーが現れるといいのですが……」と、ビル代表の釈さん。「多数の中野区民が行政に建物保存の署名を出してくださったら、存続の道もあるかもしれません」と希望は捨ててはいません。

 建物的にもテナント的にも魅惑的なワールド会館、ぜひ保存する方向で行ってほしいと思いますが、現実はなかなか難しいようです。

(長谷川京子)

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