低年齢層は「罪の意識なし」 スマホゲーにも広がる「チート汚染」問題、悪質な場合は刑事告発も

チートツール使用で犯罪になることもある? スマホゲームのチートについて、専門家に聞いてみました。

» 2015年08月19日 09時45分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 ゲームを不正に改造し、キャラクターを無敵にしたり、強力なアイテムをタダで手に入れたりする「チート」行為。PCのオンラインゲームなどでは以前から問題視されてきましたが、最近では「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」「ディズニー ツムツム」といった、スマートフォン用ゲームがその標的になってきています。

 チート対策を専門に手がけるサイファー・テックは、「中学生くらいだと、チートは『やってはいけない行為』という認識がまだ薄い。悪質な場合には刑事告発なども十分にあり得る危険な行為です」(広報担当 成田直翔さん)と、特に若年層の“チート汚染”に警鐘を鳴らします。


画像 「パズドラ」でチートを行っている例。よく見ると攻撃力やHPなどの値が異常な数値に(画像はYouTubeに投稿された動画より)


深刻化しつつある、スマホゲームの「チート汚染」

 サイファー・テックによると、「ダウンロードランキング上位のゲームは、ほとんどが何らかのチート被害にあっています」(成田さん)とのこと。

 どんなチートが行われているかはゲームによってさまざまです。例えば「パズドラ」なら、キャラクターのステータスを書き換え、どんなダンジョンも一撃で突破できるようにしたり、「モンスト」なら、ダンジョンの階層を飛ばしていきなりボスからスタートしたり、ガチャモンスターを自由に手に入れたりといったことも可能です。


画像 「モンスト」で有名な「泥変(ドロップ変更)」チートの例。本来はガチャでしか出ないはずの「ハーレーX」などのモンスターがダンジョンでドロップしているのが分かります(画像はYouTubeに投稿された動画より)

 ほかにも「ディズニー ツムツム」(制限時間を止める)、「キャンディークラッシュ」(移動回数制限をなくす)、「Crash of Clans」(キャラクターの出現制限をなくす)など、メジャーなゲームの大半でこうしたチート行為は確認されています。


画像画像 こちらは「ディズニー ツムツム」と「キャンディークラッシュ」のチート。「ツムツム」は制限時間無制限、「キャンディークラッシュ」は移動回数無限のチートをそれぞれ行っています(画像はYouTubeに投稿された動画より)

画像 「Crash of Cran」のチートでは、強力なキャラクターを何体でも出撃させることが可能に(画像はYouTubeに投稿された動画より)

 「チートは昔で言う“裏技”の一種とも言えますが、ソーシャルゲーム・スマホゲーム時代のチートは、それとはまったく意味が異なります」と成田さん。昔のゲームはソフトを買ってもらえばそれで終了ですが、今のゲームはより多くの人に、より長期間遊んでもらうことが前提。チートによってゲームバランスが崩れれば、遊ぶユーザーが減り、ゲームそのものの寿命を縮めかねません。

 こうしたチートは、専用のソフト(改造ツール)を使って行うものが大半。ツールを使うにはある程度の専門知識が必要になりますが、ネットではチートを有料で代わりに行ってくれる「代行業者」も存在しています。特に中学生などはチートに対する罪悪感が薄く、「グループ内の誰かがやり始めると一斉に広まってしまう」と成田さん。


画像 Twitterで「チート 代行」などで検索すると、“代行業者”と思われるアカウントが続々ヒットします。内容は「モンスト」だと、レアキャラ2体排出で3000円、といったものも


実際にチート利用で刑事告発されたケースも

 もしもチートが発覚した場合どうなるのか。当然、ゲームを崩壊させかねないチート行為は、常に運営側の監視対象となっています。発覚すればアカウントのBAN(追放)は当たり前、しかし「BANで済めばまだ軽いほうです。悪質な場合には刑事告発なども十分にあり得ます」(成田さん)。

 スマホ用ゲームではまだありませんが、PC用オンラインゲームでは過去、悪質なチーター(チートを行っているユーザー)を刑事告発した例が実際にあります。このときの容疑は「電子計算機損壊等業務妨害」。チートは立派な業務妨害行為であり、スマホ用ゲームでも将来的に、悪質なユーザーが刑事告発される可能性は十分にあります。また6月には「パズドラ」の不正ツールをオークションなどで販売していた人物が、著作権法違反の容疑で逮捕されています(関連記事)。




 ただ、こうしたチート行為は現状、直接摘発する法律がなく、メーカー側にとって決して告発しやすい環境とは言えないそう。また、ツール側も発覚を防ぐため、サーバーとの通信を介さない部分を狙ってチートを行うため、見つけるのは容易ではありません。「よくできたチートはスーパープレイと見分けがつかない」(成田さん)。

 メーカー側がいくら穴をふさいでも、チートツールも日々進化しているため、結局はイタチごっこなのが現状。まずは少しずつでも、ユーザー側に「チートは誰も得しない、やってはいけない行為」という認識を広めていくことが重要だと成田さんは強調しています。



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