「デモに参加した孫が還らぬ人に」悪質デマツイートに東京地裁がIPアドレス開示を命じる決定
特に悪質性が高かったことから今回の決定が下されたようです。代理人の斎藤弁護士にお話を伺いました。
虚偽の投稿に長女の写真を無断で転用され、肖像権が侵害されたとして、新潟市の大嶋陽夫妻が米・ツイッター社側に発信者の情報開示を求めて仮処分を申し立てていた件について、東京地裁はIPアドレスなどの開示を命じる決定を9月30日付で下しました。
Twitter上で虚偽のツイートが行われたのは7月26日。無断転用された写真は、昨年大嶋夫妻が長女と集団的自衛権をめぐるデモに参加した際に夫妻自らが投稿したもの。虚偽ツイートの投稿者は写真を利用したうえ、長女の祖父母になりすまし「安保反対国会前デモに連れていかれた、我が孫、聖羅が熱中症で還(かえ)らぬ人になってしまいました」などの文面を記載していました。実際、長女は「聖羅」という名前ではなく、現在も元気に過ごしていることが明らかになっています。
IPアドレスはネットワークで用いられる識別番号であり、ネット上の住所に相当するもの。代理人の斎藤裕弁護士に直接お話を伺ったところによると、今回のように発信者情報の開示が命じられるのは過去の裁判例にもなく、珍しいことだそうです。高い悪質性が認められたことが大きな要因だと推測されます。
また、これから同じように虚偽のツイートによる無断の写真転用がなされるという事件が起きた場合も、ケースバイケースではありますが、投稿内容に悪質性が認められれば同様の判決が下される可能性が高いそうです。
なお、今後はプロバイダーに投稿者の情報を求める方針。斎藤弁護士によると、プロパイダーに投稿者の開示が命じられる可能性は十分にあるとのこと。プロバイダー側の対応如何によっては投稿者の特定につながると考えられます。
(高城歩)
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