「“読者のニーズが”とか言ってるヤツを見ると、ムカッと腹立つんですよ」 20周年を迎えた「コミックビーム」が目指すもの:奥村勝彦“編集総長”インタビュー(1/3 ページ)
11月12日で晴れて20周年を迎えた「月刊コミックビーム」。これを記念して、同誌・奥村勝彦編集総長にインタビューを行いました。
1995年に創刊された、KADOKAWA(当時はアスキー)の漫画雑誌「月刊コミックビーム」が、去る11月12日に晴れて創刊20周年を迎えました。
「平成のガロ」「マンガ界の辺境にひっそりと咲くタンポポ」などと呼ばれ、コアなマンガ愛好家からは絶大な支持を集める一方、そのストイックな姿勢から、常に“休刊説”とも隣り合わせだったコミックビーム。波乱万丈の20年を創刊時から支え、踏ん張ってきた、奥村勝彦“編集総長”に、ビームのこれまでの歩みを振り返ってもらいました。
「コミックビーム」に掲載された代表的作品(抜粋)
- 砂ぼうず(うすね正俊)/1997年/アニメ化
- 恋の門(羽生生純)/1998年/映画化
- エマ(森薫)/2002年/アニメ化
- 放浪息子(志村貴子)/2002年/アニメ化
- テルマエ・ロマエ(ヤマザキマリ)/2008年/アニメ・映画化
- 目玉焼きの黄身 いつつぶす?(おおひなたごう)/2012年/アニメ化 etc.
名物編集者・壁村耐三氏から学んだマンガ編集者魂
―― 「コミックビーム」(以下「ビーム」)20周年、おめでとうございます。創刊したころは桜玉吉さんが「いかに売れてないか」という4コマ漫画を描かれてましたが(※)、あれは実際にヤバかったんですか?
奥村 ヤバかったです。もういきなり2年目ぐらいが大ピンチで。トレンドを一切無視するやり方をするとこうなるんだろうなと。意図的にやってたとは言え、長期にわたってやるのはさすがに酔狂だった。
―― 創刊当時は「アスキーコミック」と「ファミコミ」の2編集部が合流して、トータル20人もいて人件費が大変だったそうですね。
奥村 そのうち機能してるヤツってほとんどいなかったんじゃないかな。だって俺の(マンガ)担当8本以上あって、雑誌の総ページの半分超えてるわ、こりゃ減らさなきゃいけねえよと人員整理して、そこからようやくちゃんとした感じで運営されるようになった。
―― でも、ピンチはやはり続いていた?
奥村 わざわざしんどい方に行ってるんだもん。バラバラな傾向の作品を載せるってことは、単行本の商品ラインアップもバラバラで、営業としては困るわけです。でも、そりゃ確かにキツイんだけど、そっちの方が自分ら的には正しいと思っていて。それで20年やれたのは、皆さんのご支援のおかげもあるし、われわれもよう頑張ったなと。
―― マンガのラインアップが、読者アンケートに耳を貸してないですよね。
奥村 俺の師匠に壁村耐三さん(※)という、トキワ荘時代の漫画家と一緒にやってたオッサンがいたのよ。その人は、例えば「がきデカ」はアンケートがケツのほうだったとき、社長から毎日のように「あんな下品なきたねぇモンやめろ」って電話がかかってきたんだけど、ああそうですかとガチャンと切って、次は巻頭カラーにするぞと。
―― 結果として「がきデカ」は大ヒットしましたよね。
奥村 アンケート人気って、すごく表面的なんですよ。例えば嫌いなマンガぶっちぎり1位って要は「抱かれたくない男ナンバーワン」ですよね、でも「嫌よ嫌よも好きのうち」ってのは絶対あって。あいつだけは嫌と思われるのは、愛情の裏返しじゃないですか。
―― 壁村さんといえば「ブラック・ジャック創作秘話」で広く知られましたが、原稿が遅れた手塚治虫さんをひっぱたいたそうですね。
奥村 そんなのはザラですよ、基本的にはヤクザみたいなモンなんですよね。なんで編集者になったかというと、このままだと刑務所に行くんじゃないかと親父さんが心配してて、たまたま秋田書店の社長と仲良かったから、じゃあカタギにしようと入社させたらしくて。だから更生して編集長になったわけで、あれは美談なんです。でも当時のマンガ編集者って、ほとんど大学なんか行ってないですよ。漫画家だって、田舎から親の反対を振りきって、ほぼ家出みたいな状態で上京してきてて。そういう根無し草同士だからうまくやれたんじゃないですか。俺らが(秋田書店に)入ったのは30年ほど前だけど、その人らにダイレクトに影響受けちゃったんですよ。
―― 壁村さん世代から「漫画は理屈じゃない」と教わったわけですね。
奥村 言葉はほとんどなくて肉体で語るみたいな。打ち合わせなんていらねえんだよ、襟首をつかんで「面白いマンガ描かなきゃ殺すぞ」ってやればいいんだと。でも、何も考えてないかというとちゃんと考えてるの。どうでもいい話をした帰り際に「お前の漫画の主人公、最近いいやつ過ぎねえか」と。
―― さらっと核心を突くんですね。
奥村 昭和ひとケタ世代って、理屈立てた評論めいたしゃべり方ができないんですよ。でも、言いたいことはあるから、最後にひとことぼそっと言う。俺は世代が違うからまだちゃんと喋るけど、たぶん向かっていく先は一緒なんだろうな。
―― とにかく漫画を面白くしようという目標は変わらないと。
奥村 今でもマンガ家ってのは、世間の常識をぶっ壊していくものだと思ってますし。マンガなんてこの世にいらないものじゃないですか。面白くないと思われたら、存在自体がキレイに消えちゃう。だから「読者のニーズが」とか言ってるヤツを見ると、ムカッと腹立つんですよ。ねえよそんなもん。たまたま「こういうのが今流行ってる」をニーズと言うなら、俺はそんなもの信用しない。読者の言うことを100%聞いてその通りに作ったら、間違いなくすんげえつまらない本になるよ。
壁村さんと秋田書店を退社した日が同じだった
―― 奥村さんが秋田書店に入社されてからアスキーに移籍されるまで、ざっとお聞きできますか?
奥村 最初に俺が入ったのは「週刊少年チャンピオン」編集部だったんだけど、それから「月刊少年チャンピオン」と「ヤングチャンピオン」が加わって、しばらく3誌を1つの編集部、20人弱で回してたんです。ところがそんな体制だったからだんだんグチャグチャになっちゃって、これはやばいと1回バーンと解体して。そこから俺は「月刊チャンピオン」専属になって、さらに「グランドチャンピオン」っていう雑誌を作ったんですよ。そこで桜玉吉やカネコアツシ、須藤真澄といった作家と出会って。
―― 初期「ビーム」の(作家陣が同じという意味で)母体になった感じですね。
奥村 ただ、それは2年もたなかったかな。で、社長に「あの雑誌つぶすから」って言われた翌日、アスキーにいた金田一(健。初代「ビーム」編集長)君と広瀬(栄一。「防衛漫玉日記」などに登場するヒロポンのモデル)君が来て「今度アスキーで漫画雑誌を作りたいんだけど、力を貸してもらえません?」って言われて。それはホントにたまたまだったんだけど、あまりにタイミングがよかったから、「お前、どこかで『グランドチャンピオン』つぶれるって聞いたの?」って。頭の中にシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)という言葉がポッと浮かんで、これは俺にそっちに行けと言っているに違いないと思っちゃった。
―― 退社はスムーズでした?
奥村 秋田書店にはお世話になった先輩もいたし、義理に背くようなもんだからね。「ヨソに行きます」なんて言ったら、壁村さんに2、3発は殴られるんだろうなって覚悟はしてた。ところがいざ行ってみたら「そうか、分かった」って言って、怒らないの。後で話を聞いてみたら、当時壁村さんは役員になっていて、要するに現場から外されちゃってほとんど仕事がなかったわけですよ。これじゃつまんねえってんで、会社に辞表を出した日が俺と一緒。そりゃ殴れねえわなと。あと何日か早かったらボコボコにされたんじゃないかと。
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