低身長+メガネ+高飛車という奇跡の三位一体 「ハル×キヨ」主人公、峯田くんが持つ魅力虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ!第64回

男なのにキュンとしちゃう……!

» 2016年03月13日 10時00分 公開
[虚構新聞・社主UKねとらぼ]
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 ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞の社主UKです。

 社主おすすめのマンガを紹介していく本連載、第64回の今回は少女マンガ誌「別冊マーガレット」(集英社)から、オザキアキラ先生のラブコメ「ハル×キヨ」(〜8巻、以下続刊)をご紹介です。

 これまで、ねとらぼを読んでいる女性の方々だけでなく、野郎どもでも楽しめる少女マンガを取り上げてきましたが、社主自身が野郎なこともあって、「このヒロインがかわいい!」「このヒロインがかっこいい!」「このヒロインが変!」などなど、連載では主にヒロインの魅力を中心に語ってきました。作品を読んでいて胸キュンするのだけれど、これは女性が感じるキュンとは違うのだろうなと、そう思ってきたわけです。

 しかし、今回紹介する「ハル×キヨ」に関して言えば、恐らく社主のキュンは女性のそれとほぼ一致しているはず。そう、本作は男から見ても男主人公にキュンとするマンガなのです。


画像 「ハル×キヨ」(〜8巻、以下続刊)→ 試し読みページ


身長178センチの「心優しき巨人」小春

 とは言え、少女マンガなので、まずはヒロイン・宮本小春の紹介から。身長178センチ(!)という見た目とは裏腹に性格は小心者、「心優しき巨人」こと小春は、ふとしたきっかけでクラスのイケメン・氷川くんと付き合うことになります。しかし、そんな小春に「やめるなら今の内だぞ」と忠告する男が1人。それが本作もう1人の主人公のクラスメイト・峯田清志郎です。

 身長152.6センチ(!)ながら、きっちり着こなす制服&黒縁メガネのインテリ系ルックスで女子人気も高い峯田くん。とは言え、クラスの女子から夏休みの予定を聞かれても、「赤の他人に予定を教えるメリットを10字以内で答えろ」などと言い放つ、強烈な「上からメガネ」っぷり。小春を初めて見た時の印象を「ついに人類の突然変異に出会ってしまった」と語るような彼ですが、小春の失恋、そして、恋愛などかけらも興味がなさそうに見えた峯田くん自身も苦い失恋を経験し、2人はその後付き合うことに――。


画像 身長差30センチの小春を物ともしない「上からメガネ」っぷりの峯田くん

 身長差30センチ、性格も対照的な小春と峯田くんの凸凹カップルを中心に、クラスメイトや2人の家族も巻き込んだコメディ色の強いにぎやかなラブコメなので、胸キュンなんか関係ねえという男子読者にもぜひ読んでいただきたいマンガです。

 ちなみに、コメディ視点から特に見どころなのは、小春の友達のやさぐれ女子・丸子さんとオタ女子・玉森さんが、物語の要所要所で小春たちに絡んでくるシーン。そのゲスっぷりが毎回おもしろく、親友の恋路を助けてるんだか邪魔してるんだか、よく分からなくなるときすらありますが、トータルではプラスになっている(はず)なので、これでいいのでしょう。仲良きことは美しきかな。



低身長&メガネ&高飛車という“奇跡の三位一体”

 さて、ハイテンションなドタバタっぷりが楽しい本作もう1つの見どころは、冒頭にも書いたように男主人公=峯田くんが持つ魅力です。

 冷静沈着、成績優秀、自分以外の人間に対しては、基本的に上から目線の峯田くん。普段社主が読む少女マンガでは、男主人公の言動に「うんうん、それは分かる」「いや、そこは素直に告白を受け入れてやれよ」などと、同じ男の立場からあれこれ思うのですが、どうもこの峯田くんに関しては、「このシチュはいい!」とか「そこで頬を赤らめるとかかわいいな……」とか、明らかに小春と同じ目線で見つめているのです。一見パーフェクトに見えながら、こと恋愛だけは不器用で、精神的にも物理的にも背伸びしている感じが抜けないところもほほえましい。

 それにしても、高飛車な男主人公は決して珍しくないのに、恋するヒロイン・小春と自分を重ね合わせて、峯田くんにキュンキュンしてしまうとは、我ながらどうしたことか――。これまで8巻分の長きにわたってずっと考えてきましたが、最近ようやく理解しました。これは峯田くんの低身長&メガネ&高飛車という、奇跡の三位一体が為せる業だったのだと。あなたが神か……!

 「背が低い」or「メガネ」or「高飛車」な主人公は数多くいるわけですが、そしてまた、これら全てを兼ね備える主人公もこれまでにいたと思うのですが、本作で強調したいのは、中でも「メガネ」が持つ圧倒的な存在感です。

 どんなマンガでも、登場人物がメガネをかけてるだけで10ポイントプラスするほどメガネキャラを推し続けてきましたが、その中でも峯田くんのメガネっぷりは尋常ではありません。レンズの奥からのぞくクールな視線と黒縁メガネがマッチして、彼の高飛車な性格が際立つだけでなく、メガネが外れたシーンでは、たいてい高飛車だけが空回りするコメディ展開になってしまうあたり、「メガネがなければ峯田じゃない」という、オザキ先生のメガネ愛、時には愛をも超える執念すら感じずにはいられません。

 思えば、先生の過去作「あたしのバンビ」にも、女版峯田くんといった感じのすてきなメガネ女子・七瀬春子が登場していました。しかし、胸を射抜かれるようなメガネ越しの目力は、本作の方が格段に強まっています。

 既に8巻を数える人気作品ということもあり、ラブコメとしてのセンスの良さ、面白さだけでなく、峯田くんの魅力も女性読者から広く受け入れられているのだろうと勝手に想像している次第ですが、男ながらに男にキュンするという乙女マインドを味わえる作品でもあるので、どうぞお試しください。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございました。


(C)オザキアキラ/集英社


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