10年以上「創業25周年特別企画(価格)」で運営し平日でも満室に 新潟の謎の激安宿「公楽園」は田んぼの中のオアシスだった

風呂掃除はセルフサービス。

» 2016年03月12日 11時30分 公開
[青山ゆずこねとらぼ]

 日本に訪れる外国人客の増加や、東京オリンピックへ向けた客室の改装のための価格上昇など、今日本中のホテルの宿泊料金の値上げが加速しています。中には、一般的なビジネスホテルでも「1泊3万円」という高価格帯も続出しているとか。でも、これから訪れるゴールデンウイークや夏休みに向けて、「できることなら宿代はなるべく抑えて、観光や食事を楽しみたい」というのも正直なところです。

 ホテル代の爆上げが加速する中、比例するように日本各地の激安宿にも注目が集まっています。とくに新潟県燕市にある「公楽園」は、珍スポットマニアの心をくすぐるレトロな自販機や、懐かしのアーケードゲームなどがズラリと並び、その宿そのものが一種の観光名所となってジワジワと人気を集めているようです。


画像 まるで絵画のような見事な田園風景の中に……


画像 突如現れる、昭和の面影が残る「ホテル・公楽園」

 なんといっても驚きなのはその価格。新潟市と柏崎市を結ぶ国道116号沿いにあるこの宿の料金は、全室バス・トイレ付きで平日・土日祝日問わず2880円という激安っぷり。宿泊施設のほか、喫茶・コインスナック・ゲームコーナーを備えるドライブインとして、長距離ドライバーにも重宝されているとか。空いていれば日中の休憩も可能で、最大10時から16時まで滞在も可能。価格は6時間で1200円というネットカフェ顔負けの安さです。


画像 古びた文字がさらに雰囲気を出しています

 創業は昭和51年(1976年)。従業員いわく「10年以上『創業25周年特別企画(価格)』で運営している」とか。


画像 とにかくず〜っと安いんです

 正しくは39周年なのですが、細かいことは気にしちゃいけない。ほどよく緩く、田園風景に癒される、それが“公楽園スタイル”です。

思いのほか居心地のいいレトロな客室

 この値段でやはり気になるのは客室。二階部分が宿泊施設になっており、外のフロントから外階段で移動できるようになっています。


画像 住めば都


画像 外階段を昇り、扉を挟んで部屋に直結!


画像 廊下はちょっと暗いけど……

 部屋数は10部屋ほど。和室と洋室があり、筆者が案内されたのは8畳ほどの洋室でした。


画像 特別室にはベットが2つある

 値段や築年数的にある程度の覚悟もしていたのですが、内装は至ってシンプルかつ清潔感も抜群。


画像 昭和の純喫茶的な匂いも

 埃っぽくもなく、ベットのシーツもパリッとしていて心地良い!


画像 この値段でシャンデリアのある部屋に泊まれるとは……

 しかも頭上には立派なシャンデリアがこうこうと輝き、一泊2880円の激安宿とは到底思えないような雰囲気です。そして当然風呂も完備されており、こちらも部屋から直結。シンプルイズベスト!


画像 気が向きゃいつでも飛び込める位置

 中をのぞいてみると、こぢんまりとしてはいるものの、シャンプーやリンス、ボディーソープも完備されているじゃないですか。そしてポンと置かれた掃除用スポンジも発見。「入るなら自分で洗ってね」的なセルフサービス。この安さならそれくらいどうってことはありません。


画像 つかれるだけありがたい

画像 洗ってから入るのが基本

休憩室が緩い

 部屋で休んだあとは、お待ちかねのゲームコーナーを探索してみました。一階部分は喫茶&ゲームが並ぶ休憩所になっており、長距離ドライバーをはじめ地元の憩いの場所。


画像 なんだかほっとする昭和感


画像 自販機で売っているカップめんもその場で食べられます


画像 素朴な感じがこれまた心地良い


画像 妙に落ち着くんです

 なんでも、2015年にNHKの番組で「田んぼの中のオアシスホテル」として報道されて以降、さらにじわじわと観光客や地元民からも注目を集めているのだとか。記者が訪れた日も、若いカップルがカメラを片手に施設内を見学していたり、駐車場には埼玉や東京、静岡など他県ナンバーもかなり多く見られました。

 レトロ自販機として現在人気なのが、焼き立てあつあつのトーストが食べられる“トーストサンド”。ハムサンドとチーズサンド(250円)が選べて、2分待つだけ。


画像 剥がすときも焦りは禁物(ヤケドします)

 アルミホイルに包まれたチーズサンドはヤケドしそうなくらい熱く、「ガタン!」と落ちてきてもすぐにつかもうとしてはいけません。少し待って静かにホイルを剥がして、パクッといただく。口の中でジュワッととろけるチーズサンドは、クセになるほどおいしいです。

 

 そしてゲームコーナーには、パズルや麻雀などの年代物のアーケードゲームがズラリ。


画像 まるで昭和のゲームセンターみたい


画像 混んでいないので選び放題

 一見地元のちょっとやんちゃなお兄さんたちが集まりそうなスポットにも見えますが、その点はご安心あれ。年配のお年寄りや若い観光客の姿も多く、ほのぼのとした雰囲気がさらに居心地の良さを増しています。


画像 どこもかしこも、古き良き昭和の香りがたまらない

 一階がゲームセンターだと騒音が気になるところですが、二階の客室には音はほとんど聞こえてきません。利用者も大騒ぎをすることもなく、新聞を読んだり自販機トーストに舌鼓をうったりと、それぞれがまったり流れるこの空気を静かに楽しんでいるようにも見えました。

 ホテルの窓からは一面の田園風景が広がり、どこか懐かしさも覚える新潟の激安宿「公楽園」。宿代の節約として利用するもよし、長距離ドライブの休息場所に使ってみるもよし。田んぼの中のオアシスに癒されてみてはいかがでしょうか。

公楽園

住所:新潟県燕市熊森1283−1

電話番号:0256-97-1575

アクセス:越後線「分水駅」から徒歩40分弱(車の利用がおススメ)


(青山ゆずこ)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. /nl/articles/2502/15/news032.jpg 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  3. /nl/articles/2502/16/news086.jpg 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  4. /nl/articles/2502/16/news005.jpg 1歳双子の姉が退院日、妹と再会する“瞬間”が「涙出ちゃった」と大反響 あれから約9カ月後……現在を聞いた
  5. /nl/articles/2502/15/news002.jpg 山で発見したサワガニ、「どうやって生きてきた!?」と目を疑う状態で…… 連れ帰った後の“驚きの行動”に「泣いた」「これは目が離せない」
  6. /nl/articles/2502/16/news039.jpg スーパーで買ったロブスターを、アワビと一緒に育てたら…… 「スゴすぎ」“予想外の展開”が150万再生「感動しました」
  7. /nl/articles/2502/14/news121.jpg 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  8. /nl/articles/2502/16/news009.jpg 「これすごい」 飛行機のエコノミークラスに搭乗→“まさかの機内食”に思わず二度見 投稿者に話を聞いた
  9. /nl/articles/2502/16/news050.jpg 穴が開いたユニクロのカシミヤニットを“いったん解いて”リメイクしたら…… 息をのむほどの仕上がりへ「びっくりした!」「人間ってすげーな」
  10. /nl/articles/2502/14/news033.jpg コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  2. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  3. 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
  4. リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  5. 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
  6. “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  7. 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
  9. ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
  10. 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議