エロスを超えたアート――オリエント工業のドール、美しさの秘密
造形に定評のあるオリエント工業のラブドール。アートとして女性にも愛好されるその美しさの秘密を探ってきました。
男性向けの商品というイメージが強いラブドール。実は、オリエント工業のラブドールをアートとして愛好する女性が増えてきているのです。
同社はこれまで東京・銀座でラブドールの展示を度々行っていますが、前回は来場者の3分の2を女性が占めていました。筆者も女性を伴って訪れたのですが、同性として見たドールを「かわいい、連れて帰りたい」と言わしめたほど、その造形は群を抜いています。
これまでさまざまな企業などから女性型ロボットが創られていますが、そのたびにネットで「オリエント工業に造形頼もうよ」と比較の対象にされてきました。その造形の秘密を探るべくオリエント工業の工房を取材しました。
工房で話を伺ったのは、造形担当者と営業担当者。造形担当者は大学で美術(彫刻)を学び、学生時代からオリエント工業で働き、現在のリアルな造形を担当しています。
オリエント工業ではシリコン素材でドールを製作しています。工房では骨組みの組み立てを行い、シリコン用の型に骨組みを入れて首から胴体部分の成形を行い、メイクアップを施します。
重量があるため、メイクアップ前までの製造を男性が主に受け持ち、メイクアップは主に女性が行います。
頭部の仕上げ作業は胴体を製造しているのとは別の部屋で行っており、メイク見本を元に繊細なメイクを施していきます。
筆者はこれまで見てきた女性型ロボットに少なからず違和感を覚えていたのですが、実はこの「メイクアップを女性が行っている」という部分がカギなのだと実感しました。筆者も含めて男性が20代女性のすっぴんを見ることは、家族などを除いてはまれであり、通常は化粧した顔の方が見慣れているのです。これまで見てきた女性型ロボットはまさにすっぴんに近い状態なので、普段見慣れていないために違和感を覚えていたというわけです。
造形担当者に聞いたところ、胴体部分は女性モデルから型を取ってデフォルメを加え、頭部は3Dスキャンし、それをもとに違和感のないように造形しているとのこと。例えば頭部はそのまま造形した場合、実際よりも大きく見えて違和感を抱かせるため、若干縮小して補正した造形になっています。人間に近いものを作ったとき、本物との微妙な差異が不気味さを増す原因となるため、このような「不気味さを排除した造形」が、オリエント工業のクオリティーなのだと実感しました。
芸術家から見たラブドール
東京藝術大学大学院でラブドールを使って、「ラブドールは胎児の夢を見るか?」という作品を制作した菅実花さんにも話を聞いてきました。
オリエント工業のドールのおなかを加工して妊婦とした作品ですが、本来はありえないラブドールの妊娠した姿に対しては、本来のドールの持つセクシャリティが消失し、特に妊娠を経験した女性からは母性の象徴という感想が多かったそうです。
シリコン素材は着色が難しく、他の女性型ロボットなどがすっぴんに近いのもこの着色の難しさによるもので、オリエント工業が持つ突出した着色技術がメイクアップの肝になっていると菅さん。また、同社のドールの造形は目を見張るものがあり、例えば目の横幅と間隔が1対1(美人の黄金比)になるなど造形のお手本となっていると話します。他の学生や教官たちもオリエント工業のショールームを時折訪れて鑑賞しているそうです。
女性は雑誌などをメイクアップの参考にしますが、ヴァニラ画廊やオリエント工業のサイトを、目元に赤みを入れたドーリーメイクなどの参考にする女性もいるそうです。
ヴァニラ画廊では女性の来場者のほうが多く、「○○ちゃん肌キレイ」のような感想が聞かれます。「モデルをしている女友達と温泉旅行に行って裸を見た」ときのような感想を持つそうです。これも造形やメイクアップの力によるもの。むしろ男性来場者は女性たちの温泉旅行に紛れ込んだ男のような雰囲気になりますのでご注意を。
女性で同社のラブドールを購入する人は少ないそうですが、部屋のインテリアとして購入する人や頭部(10万円)を複数購入する人も。インテリアとして購入する人は、衣装もそれなりに購入し、写真集にしている人も少ないもののいるとの話でした。
もともとは配偶者を亡くした男性などのために作られてきたラブドールですが、時代を経てエロスからアートの領域に到達したのがオリエント工業の製品であり、それをどのように見るかは見る側の視点によって全く変わってしまうのだと、菅さんの作品によって実感した取材でした。
- オリエント工業(18歳未満は閲覧不可)
(松岡洋)
関連記事
- ヤダ、ドキドキする…… オリエント工業がラブドールで日本画を再現する「人造乙女美術館」開催決定
18歳未満は入場できません。 - 安心と信頼のオリエント工業製 レディー・ガガのそっくり等身大ドール爆誕 胸に顔をうずめると試聴もできるよ
さすがのオリエント工業クオリティでした。 - ゆきりんロボ「これが私の完全態です」→ 俺「うぉぉぉ!」 ニコニコ本社「まるなげデー」でゆきりんロボに会ってきた
ただでさえリアルなゆきりんロボに手足が付いてますますリアルに。 - 東芝、3カ国語を話せるロボット「地平ジュンこ」を開発
「地平アイこ」の2号機。 - 日本科学未来館、3体のアンドロイドを展示 魅惑の成人女性型の「オトナロイド」も
人間らしすぎてちょっとコワい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
「玄関にでっかい亀梨居る」 亀梨和也がまさかの誤字に「なんかごめん」と謝罪 突然の本人登場に「これ笑ったw」「そりゃビックリする」
-
実家を探索中に発見した30年前のカーディガン、娘が着てみると…… 意外な結果に「昭和世代の服はガチモン」「おかあさん尊敬」
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
沖縄の「廃墟ホテル」をリノベ中、ミステリアスな事態発生→壁を壊してみると……「ヒェッ」 めげない投稿者に「ポジティブですごい」と称賛
-
【今日の計算】「6×11÷3−2」を計算せよ
-
「北朝鮮のアニメーターが関与疑い」報じられたアニメ制作元がコメント 「事実関係を調査中」
-
「虎に翼」出演俳優、桜井ユキの結婚相手は誰? 2022年にドラマ共演者と結婚発表
-
【今日の計算】「2+13×2−6」を計算せよ
-
東京メトロ、東西線の一部期間終日運休を“まさかの方法”で告知 「これで知らなかったとは言えない」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」