未発売のゲームボーイカラー専用RPG『Infinity』、15年の歳月を経て無料配布開始

エミュレーターで動作するROMファイルを公開。

» 2016年08月16日 16時35分 公開
[Minoru UmiseAUTOMATON]
AUTOMATON

 カリフォルニアに拠点を構えるスタジオaffinixはゲームボーイカラー専用ソフト『Infinity』の無料配布を開始した。『Infinity』は『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』といったゲームボーイカラー黎明期をほうふつとさせるドット絵と、「過ちと破滅」をテーマとした重厚なファンタジーを融合させたJRPGを思わせる作品だ。2001年の時点でほぼ完成していたものの、それから約15年の間、世には出ず眠り続けていた。

メインテーマのみ現代風にリマスターされているとのこと

 ゲームを手掛けたaffinixは7人で構成されたクリエイター集団。ゲームボーイカラーに特化したタイトルを開発しようという志から『Infinity』のプロジェクトは始まった。開発は順調に進んでいったが、発売間際になりパブリッシャーがいないという大きな問題に直面することとなる。主な原因は、マーケットが過渡期にあったということ。時間をかけ『Infinity』は力作として生まれたものの、当時の世間とパブリッシャーの目はゲームボーイアドバンスにくぎ付けだったという。Crave Entertainment(のちに破産)から声がかかりE3への出展に成功したが、最終的に交渉は打ち切られプロジェクトは白紙に。パブリッシャーが見つからないまま年を越し、affinixの面々はゲームが陽の目を見ることがないと悟る。スタッフは会社を離れ、それぞれの道を歩むことに決めた。ディレクションをおこなっていたJustin Karneges氏はソフトウェア会社に転職。ほかのスタッフは別のゲーム会社に、弁護士学校に、出身地である日本へと帰る人もいたようだ。

ROM公開

 そして2016年8月13日、スタッフの一人だったEric Hache氏は『Infinity』のROMファイルを公開。「90%完成しているが、10%はまだプレビュー版」というこのファイルは、エミュレーターから開くことで動作する。筆者も序盤を少しプレイしたが、英雄であった主人公の挫折から始まるオープニングにはなかなか引き込まれ、ついつい熱心に1時間ほどプレイしてしまった。戦闘や移動速度からは古さを感じざるを得ないものの、2008年になっても「今の時代に負けないタイトル」と公言されていただけあるという印象だ。使われている英単語も平易であり、日本人でも楽しめる作品になっているのではないか。

 2016年5月にはニンテンドーDSの発売によってお蔵入りとなったゲームボーイアドバンス専用ソフト『Broken Circle』が配信されたが、今回のケースも世代が異なるだけでかなり似たようなケースとなっている。新たなゲームハードの発表があると、ついそちらに目移りしてしまいがちであるが、そういった時期は、発売までこぎつけられず世に出ないタイトルが多く生まれてしまう少し悲しい期間なのかもしれない。

関連リンク

関連キーワード

ゲーム | ゲームボーイ | エミュレータ | 無料 | RPG


Copyright (C) AUTOMATON. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた