ニュース
» 2016年10月06日 23時48分 公開

「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由

現役出版社社員がニコニコ生放送に出演し、裏側を語りました。

[ねとらぼ]

 人気作品を突如ラインアップから削除するなど、サービス内容をめぐって混乱が広がっている、Amazon.co.jpの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」ですが、ITジャーナリストの西田宗千佳氏は10月5日放送のニコニコ公式生放送に出演し、最大の失敗要因について「Amazonが(需要を)読み違えた」ことだと分析しました。また、同番組には現役の出版社社員も匿名で出演しており、「5カ月分の予算を1週間で食いつぶしてしまった」と、Kindle Unlimitedの内情についても語られています。



 番組には西田氏のほか、ITジャーナリストの津田大介氏、弁護士の福井健策氏も出演。「Kindle Unlimitedは今後どうなるのか」というテーマで、Kindle Unlimitedの現状や未来について語られました。

 西田氏はAmazonと出版社が結んでいた契約について、もちろん出版社ごとに細部は異なるとしつつも、おおむね次のようになっていたと語っています。

  • 年末までは本が読まれた場合、普通に売った時と同じ料金をAmazonが出版社に支払う契約になっていた
  • 通常、Kindle Unlimitedでは読まれたページ数に応じて利益が支払われるが、出版社向けの契約では、全体の10%が読まれたら1冊読んだことにするとしていた

 今回、AmazonはKindle Unlimitedの国内ローンチにあたり、出版社の参入を促すため、2016年末までの期間限定で、通常よりも有利な条件を提示していたとのこと。こうした「〜放題」サービスでは、得られた利益を全員で分けるような形をとるのが一般的ですが、上記契約では期間限定とはいえ、支払い額を「青天井」に設定してしまったのが第一の失敗です。

 もう1つの失敗は「Amazonが思っていた以上に読まれてしまった」こと。上記のような契約内容だと、読まれるスピードが早い漫画や雑誌、写真集などは、アッと言う間に「読んだ」ことになってしまいます。しかも西田氏によると、他の国の電子書籍は小説の割合がもっと高く、「ここまで漫画や雑誌、写真集が読まれる国は他にない」のだそう。日本のマーケット事情を読み違え、結果的にものすごい大盤振る舞いをしてしまった、というのが第二の失敗でした。


Kindle Unlimitedは今後どうなるのか ITジャーナリストの西田宗千佳氏(ニコニコ生放送より)

 この「読み違え」がAmazonにとって想定外だったのは間違いありませんが、西田氏によれば「想定外のレベルが違った」とのこと。現役出版社社員の平田氏(仮名)は、あくまで伝聞だとしつつも、「最初の1週間でAmazonが用意していた1年分(8月スタートなので実質5カ月分)の予算が消えた」とコメント。単純に考えれば、5カ月(23週間)分の予算が1週間で消えたわけですから、想定の20倍以上のスピードで予算が吹っ飛んだ、という計算になります。また当初の契約には“契約延長”についての項目も盛り込まれており「もっとかかる見積もりだったのでは」と平田氏。


Kindle Unlimitedは今後どうなるのか 現役の出版社社員だという平田氏。もちろん仮名で、覆面姿で出演(ニコニコ生放送より)

 あとは既に各所で報道されている通りで、サービス開始から1週間ほどで、Amazonは一部の漫画や写真集といった人気作を読み放題対象から削除。その後もユーザーや出版社に断りなく、大量の作品を読み放題対象から次々と除外し、講談社や徳間書店、小学館など大手出版社から抗議を受ける事態にも発展しています(関連記事)。

 ブログ「見て歩く者」の調査によると、開始当初は14万点超だった読み放題対象が、10月1日時点では12万8456点にまで減少しているとも。利用者側からも「いつ人気作が消えるか分からない状態では安心して使えない」といった声があがっており、できるだけ早い問題解決が待たれるところです。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10

  1. AKB48・大家志津香、人生MAXの65キロに危機感 周囲に迷惑が及ぶ激太りぶりで減量決意「やらなくていい仕事をさせちゃってる」
  2. 初コメダで「量すごいらしいからエビカツパンとビーフシチュー」 → 案の定大変なことになってしまった漫画が様式美
  3. 仲里依紗、息子がスカウトされて大騒ぎ「芸能人なんですけどもね?」 夫・中尾明慶と一緒にスルーされてしまう
  4. 「遺伝ってすごい」「足長っ!」 仲村トオルの“美人娘”ミオがデビュー、両親譲りのスタイルに驚きの声
  5. 山に捨てられていたワンコを保護→2年後…… “すっかり懐いたイッヌ”の表情に「爆笑した」「かっこよすぎ」の声
  6. 「文鳥砲だ!」「躍動感すご」 文鳥が“来るッ…!”決定的瞬間を収めた写真に緊張感が漂っている
  7. 昔から何度も見る悪夢です→「私も見る!」「同じ人がいた」と共感集まる “あるある”かもしれない奇妙な夢の漫画
  8. 「もういいだろう、楽にさせてくれよ」 アントニオ猪木、入院治療中の弱音に叱咤激励の嵐
  9. コクヨが正確な1mmを測れる「本当の定規」全国発売 メモリの境界を“面と面の間”で計測
  10. 高木ゑみさん、35歳で逝去 ステージ4の肺がんで闘病 生前最後の“人工呼吸器も外せた”報告に悲しみの声