現代版“偽兵の計”か スカスカのスタンドを偽のサポーターで埋め尽くす「Jリーグ水増し部」のチーム愛がすごい
動員に苦労する、アウェー戦のための苦肉の策として生まれました。
段ボールなどでできた“偽サポーター”にユニフォームを着せ、あたかも大量のサポーターが応援しているように見せる「#Jリーグ水増し部」が、Jリーグサポーターの間に少しずつ広がりつつあります。
多くのサポーターでチームを後押ししたい気持ちは、ファンであれば当然のこと。しかし、アウェー遠征はどうしても金銭的、時間的な余裕がある人しか来れず、集客に苦戦しがちです。
そんな中、動員に苦戦する大宮アルディージャのサポーターが2014年に考えだしたのが、段ボールでヒト型を作り、あたかもサポーターがそこにいるように見せる方法。オレンジのユニフォームでスタンドの一角を埋めた写真は1800回以上リツイートされ、「これはナイスアイデア」「発想が戦国時代」など大いに話題になりました。
それから2年たった現在、この“水増し”は大宮アルディージャ以外のサポーターにも広まり、見せ方も首にタオルを巻いたり、顔の部分にお面やぬいぐるみを使ったりとさまざまに進化。今や立派なサポーター文化にまで発展しています。現在は「#Jリーグ水増し部」というハッシュタグも作られました。
「Jリーグ水増し部」にいち早く注目していたサッカーブロガー、だじゅうるさん(@dajudajudaju)は、「本来『少ないサポの人数を多く見せる』ための苦肉の策だった水増しが、サポーターの娯楽の一つに変化し、サポ間の協同のツールとして、そして他サポから興味を惹きつけるきっかけとして機能しはじめている」とこれまでの流れを分析。また記事冒頭の画像を撮影した、ブラウブリッツ秋田サポーターのFサポさん(@Fsuppo_BBA)も、「段ボールサポが着ているユニは、地域リーグ時代、JFL時代、J3になってからとさまざまです。チームの歴史を展示した側面もある」と、段ボールサポに込めた思いを語ってくれました。
また「#Jリーグ水増し部」ハッシュタグの先駆けと言われる、レノファ山口FCサポーターのJさん(@RMJ_muga)は、「ホーム開催ではこれを行わない」「実在客や運営の迷惑とならないよう配慮すること」といった“Jリーグ水増し部 規約(仮)”をTwitterで提唱。そのうえで「どうしても動員ができず空席が目立つアウェー戦で行うことを心がけている。荷物がかさばるので苦労するが、楽しんでやっている」と語ってくれました。なおスタジアムによっては水増しが禁止されているところもあるためご注意を。
このユニークな取組みは一時、FOXスポーツで「JAPANESE FANS BOOST AWAY ATTENDANCE WITH CARDBOARD CUTOUTS(日本人ファン、段ボールの切り抜きで参加者をグンと伸ばす)」と取り上げられるなど、複数の海外メディアから注目されたことも。
前述のJさんも、「水増し活動を見て『なんか面白そうなことやってるな』と、少しでもお客さんが増えてくれたらうれしい」と、その切なる願いを語っています。
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