LINEスタンプを作ったのが縁で結婚 しかも23歳差! 不思議ななれ初めをインタビューしてみた
埼玉県深谷市のゆるキャラ「ふっかちゃん」のLINEクリエイターズスタンプを作ったことから出会いが――珍しい結婚のケースを取材しました。
今年の9月末、LINEクリエイターズスタンプを作ったのをきっかけに結婚するという珍しい夫婦が誕生しました。しかもスタンプを作った旦那さんは49歳、奥さんは26歳という、倍近くある歳の差婚です。
ユーザーがLINEスタンプを制作・販売できる「LINE Creators Market」が始まったのは2014年5月。以来61万人以上のユーザーがスタンプを作り、人気クリエイターと購入者との交流も生まれているわけですが、まさか結婚に至るケースもあるとは。
結婚したのは福岡県在住のクリエイター・Office132さん。2014年5月ごろ埼玉県深谷市のゆるキャラ「ふっかちゃん」のスタンプを作って販売したのを機に、購入した女性ユーザーと知り合い結婚、今年10月29日にめでたく式を挙げました。2人がどのような経緯でゴールインを迎えたのか、Office132さんにインタビューしました。
―― この度はご結婚おめでとうございます! 早速ですが、LINEスタンプを作ってお二人はどのように出会ったのでしょうか。
Office132さん(以下、O): 自分は福岡に住んでいるんですが、元々ふっかちゃんのファンで。LINEで誰でもスタンプを作れるようになると聞いて、せっかくだからと深谷市から許可をもらって作ってみたんです。そこでTwitterの宣伝用アカウント(※今は削除済み)を立ち上げたところ、今の奥さんから「ふっかちゃん買いました〜♪」とリプライをもらいました。
―― なるほど、ファーストコンタクトは宣伝用Twitterから。
O: ぼくも「ありがとうございます!」と、作り手と買い手としてやりとりいくうちに、ダイレクトメッセージで交流するように。個人的な話も増えると今度はLINEへと場を移して、お互いのことを知っていきましたね。
―― 交流ツールの変遷が、2人の距離が縮まっているのを表していますね。
O: そこで半年くらいたったある日、実は彼女が福岡に住んでいたことを知ります。彼女もふっかちゃんが好きなのでてっきり深谷市の地元の人だと思っていたんです。しかも自分の家から車で30分くらいという近さだったので、「意外と近いですね!」と盛り上がって、自分からお食事に誘いました。
―― すごい偶然……!
O: ただしその時はまだ年齢まで言っておらず。会ってからだましたとか単なるエロオヤジとか思われるのも嫌だったので、年齢と、自分が一度離婚していること、子どもがいることをちゃんと伝えました。こんな者でもいいですかと尋ねると、「大丈夫です」とOKをもらえたので、初めて対面することに。
―― ネットで知り合った人に、自分の深い部分を知ってもらうタイミングって重要ですよね。現実の彼女の第一印象はどうでしたか?
O: かわいかったので、ドキッとしましたね……。
―― (興奮でうなずきまくる)
O: 向こうも歳の割には若々しいと思ってくれたらしく、それからは頻繁に会うように。ひと月過ぎたあたりに正式にお付き合いすることになりました。
―― Twitterで知り合ったのが一昨年の12月で、昨年6月には恋人に。プロポーズはいつごろでしたか。
O: それが、結婚したい気持ちがあることはなんとなく伝えながらも、年齢差がどうしても気になって告白に踏み切れなかったんです。会話とかは特に気にならないのですが、自分の娘と同い年くらいとなると、ぼくが先に死ぬことになりますから。
―― 結婚をリアルに考えるほど、歳の差へのコンプレックスも強くなったと。
O: ですが今年の6月ごろ、彼女がおめでたであることが分かったんです。お互いにとって本当に自然な出来事に思えて。妊娠検査薬の反応をみたときはうれしくて泣いたと彼女から聞かされたとき、もう今しかないと心が決まって。「自分は先に間違いなく死ぬ。それでもいいでしょうか」と尋ねると、「それでもいい」と返ってきました。
―― 子宝が2人の背中を押してくれた形ですね。
O: はい。彼女の返事には本当に感動して、そこからはもう迷いも消えました。向こうの親にもあいさつへ行って了解を得、入籍に至ります。向こうは初婚ということで、ささやかながらも式を挙げさせていただきました。
―― LINEスタンプからまさかこうなるとは。周囲も驚いたんじゃないでしょうか。
O: 式場の司会者になれ初めを話したときは、すごく感動されました(笑)。深谷市とLINEにも「結婚することになりました、ありがとうございます」とお礼を伝えたところ、深谷市からは「ぜひメッセージカードを送らせてください」と。LINEは担当者さんから「なんですかそれ、ちょっと詳しく知りたいのでLINE ID教えてください!」と連絡をもらいました。
―― LINEから「LINE教えて」と言われるとは(笑)。
O: 披露宴会場にLINEからの祝電があるので、出席者も「なんで!?」と驚いていましたね(笑)。高砂には「ふっかちゃん」のぬいぐるみを置いて。入り口でもウエルカムベアの代わりに、妻の好きな人気LINEスタンプ「うさまる」のぬいぐるみにタキシードとウエディングドレスを着せてお出迎えしました。
―― すごい、ふっかちゃんとLINEづくしの結婚式。あらためてこの出会いについてどのように感じていますか。
O: 2人で何回も振り返ってはびっくりしています。彼女にしてみても、ただふっかちゃんが好きでスタンプを買い、Twitterで作者を見つけたので何気なく声をかけただけであって。まさかそこから偶然が偶然を呼んで、結婚にまで至るとは……。何か物語みたいで、「本とか書くべきでは」「いやそこまでは(笑)」と妄想することもあります。
―― ステキなのろけ話までありがとうございます(笑)。最後にお一言どうぞ。
O: 長生きして、奥さんとできるだけ長く一緒にいられるようがんばります。
なんとも珍しい出会い方を果たし、さらにはそれを2人の特別な思い出として共有いるのがなんともうらやましい。一方でOffice132さんの「長生きしなくちゃ」の一言に、奥さんとの今後の時間を大事にしようという覚悟も垣間見えました。LINEスタンプを送って意中の相手にアプローチする人もいれば、LINEスタンプを作って生まれるカップルもいる――今日もこの巨大な通信ツールから、さまざまな交流が生まれています。
(黒木貴啓)
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