「デス・スター崩壊の原因はずさんな管理体制」 「スター・ウォーズ」帝国軍のセキュリティをカスペルスキーが真面目に診断

セキュリティ企業の視点からすると、デス・スターに捕らわれたミレニアム・ファルコンは「悪意のあるドロイド(R2-D2)」を積んだトロイの木馬。

» 2017年01月11日 21時30分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 宇宙要塞デス・スターの破壊は、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」のクライマックスイベント。帝国軍の基幹要塞は、なぜ崩壊の憂き目に遭ったのか? カスペルスキーがセキュリティ企業としての観点から分析し、ブログでレポートしました。帝国軍のセキュリティ体制の甘さが、大真面目に考察されていて興味深い内容です。


R2-D2 言われてみると、R2-D2がマルウェアのように思えてくる(画像はカスペルスキー公式ブログ)より

 同作を資料とし、銀河帝国を企業と見立ててレポートは進行。同社はデス・スターの崩壊は一見すると反乱軍の奮戦の成果に見えるが、実際は指揮系統の怠慢とずさんなサイバーセキュリティ対策が原因と指摘。戦闘機に反応炉を破壊されるほどの致命的な脆弱性(※)や、設計図の漏洩自体は真の問題点ではなく、「攻撃を受けて初めて脆弱性に気づいたこと」こそ致命的な失策としています。確かに、設計図が盗まれた段階でセキュリティ監査などの対策をしていれば崩壊は防げたでしょうし、帝国軍にはそのためのリソースが十分にありました。


※デス・スターにはエンジンの排熱口が表面に露出している構造上の弱点が存在し、最終的にそこを狙い撃たれた

会社概要 銀河帝国を企業に見立てた会社概要。「業務内容:銀河系の征服」が笑いを誘う

 ミクロな問題点も詳細に指摘。例えば同作の冒頭で、帝国軍は反乱軍に盗まれた設計図を追い、データが格納されたレイア姫の輸送船を捕獲します。そのとき脱出ポッドが、姫に設計図を託されたR2-D2を乗せて射出。これを見過ごした帝国軍兵を、同社は「まったく無責任なサイバーセキュリティ対策そのもの」と批判。「物理的な記憶デバイスに乗ってデータが漏洩していく様子に直面していながら状況を理解していない」とし、従業員に対するサイバーセキュリティトレーニングで対処すべき問題だと述べています。

 デス・スターがミレニアム・ファルコンを捕獲したシーンは、「ハッカー(R2-D2)の乗ったトロイの木馬型宇宙船を(確固たるセキュリティポリシーもなしに)重要な基幹施設に持ち込んだ」と解釈。R2-D2がシステムに侵入したくだりは「単なる情報漏洩でなく、業務プロセスコントローラーを掌握された」ととらえるなど、デス・スターの設計と運用におけるセキュリティの欠陥をずばずばと指摘しています。こうまで言われると、もうR2-D2が悪質なマルウェアにしか思えない。


問題と対策 諸々の欠陥を指摘しつつ、有効な対策を併記

 挙げられた欠陥の1つにでも対策が講じられていれば、デス・スターは崩壊しなかったとの結論で、レポートは締めくくられました。インターネット商用化以前の映画を、現代の観点で考察するのは無粋とも思われますが、セキュリティ意識を考えるうえでは楽しく有意義な思考実験といえるでしょう。


(沓澤真二)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」