沖縄・中学生を一方的に暴行する動画拡散 校長が詳しい事情と心境を吐露、市教委は沖縄タイムスの報道を否定
市教育委員会「いじめという認識をもち、対暴力について事実確認及び指導を行っていく」。
沖縄市立美里中学校の男子生徒が、同級生の男子生徒から一方的に暴行を受ける動画がネット上で拡散。炎上している。
約2分にわたる動画では学ラン姿の生徒が、アンダーシャツ姿の生徒から殴る、蹴るの暴行を受ける様子がおさめられており、被害生徒は一方的にフェンスに押し付けられたり、飛び蹴りされるなどしている。これを受けてネット上では「いじめじゃないな 傷害罪だな」「警察が介入すべき」など厳しい声が上がっている。
被害生徒と加害生徒らが通う美里中学校の我那覇校長は、ねとらぼ編集部の取材に応じ、動画が撮影されたのは1月20日で、動画撮影に関わったのは7人の中学2年生であったことなどを明かした。
校長によると、動画の撮影場所は校外の公園。保護者からの申し出で動画の存在を把握した学校側は、23日に2年生の生徒が動画撮影に関わったと特定。25日には撮影者の1人が事情説明に申し出た。
その後学校側は26日に市教育委員会に発生事案の報告をしたほか、27日には加害生徒及びその保護者を学校に呼び、それぞれ動画を確認させて指導を行った。保護者の一部は動画を確認して涙を流し、その場で加害者となった自分の子供をたたいていたという。
被害生徒と加害生徒らは小学校時代からの友人関係であり、中学進学後も家族ぐるみでの付き合いが続いていたとのこと。一方的ないじめなどに発展したことなどは今回の事案以前には確認されておらず、「文句を言った」「言わない」といったささいなトラブルが原因で暴行へと発展したとみている。
学校側はLINEなどで動画が拡散したことを把握した時点で全校集会を予定していたが、被害生徒の母親から「表立ったことはしないでほしい」との要望を受けて断念。その後も被害生徒の両親と話し合いを重ね、警察への被害届は出したくないと考えている旨や、被害生徒の父から加害生徒と個別に直接話したいと考えている旨などを聞き取り、29日に学校内で個別の話し合いが実現した。
アンダーシャツの生徒は個別の話し合いに参加できなかったが、被害生徒の父親は「(加害生徒らは)反省しているので、今後も友人関係が続くように学校側に様子を見ていただければ」と話したそうだ。
学校側は既に所轄警察署にも相談しており、「被害届を出さないということなので事件化をしなかったとしても、要望があれば(加害生徒らへの)指導は可能」と回答を得たという。なお学校側は各家庭環境と今回の暴行に関連性がないかなども調べ、慎重に対応していきたいとした。
また校長は、「いじめとはみていない」と報道されていることについて、「いじめとは集団などで長期的に1人を対象に行ういやがらせなどを指し、今回がそれに該当するのかどうかについては難しい。友人間のトラブルとみている」と複雑な心境を明かした。また今後については1月31日に全校集会を、2月3日には保護者に対しての説明会を行う予定だ。
県教育委員会・義務教育課にも取材したところ、動画の存在は把握しており、市教育委員会に対して「人権教育も含め、慎重に対応・調査するように指示している」と回答した。
これを受けて市教育委員会・指導課を取材したところ、本件については「いじめという認識をもち、対暴力について事実確認及び指導を行っている」とした。この事案について沖縄タイムスが「同級生を暴行、動画で拡散 教委『いじめとみていない』」と報じ、本文中で「中学校がある自治体の教委は事実関係を調べ、いじめとはみていない」としたことについては、「私(担当者)の言葉足らずがあるかもしれないが、事実ではない」と否定した。
調査から数日でいじめの有無について認定することはありえないことだというが報道後、担当部署には抗議の電話が殺到。すでに記事を執筆した記者に連絡しているという。
担当者は「暴力は広義のいじめの一つとして認識している」と話し、関係生徒以外の全校生徒に対しても命の大切さやネチケット、非暴力に関しての指導を行っていく方針だという。
画像の一部は編集部で加工しています
(Kikka)
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