「報道ステーション」配信は快挙―― 藤田社長に聞く、AbemaTV1周年の手応えと最近の取り組み(1/2 ページ)

AbemaTVを支えるアニメチャンネルの担当者にも話を聞いています。

» 2017年04月25日 12時00分 公開
[宮澤諒ねとらぼ]

 “全て無料のインターネットテレビ局”をうたう映像配信サービス「AbemaTV」が4月11日、本開局から1周年を迎えました。

 サイバーエージェントとテレビ朝日が共同設立した株式会社AbemaTVにより、2016年4月に正式開局。無料かつ登録不要で見られる手軽さや、旬の芸能人を起用した番組作りなどで若者を中心に話題となり、2017年3月15日には1500万ダウンロードを突破。「将棋」や「サッカー」など、ポテンシャルが見込める新チャンネルを次々と開設し、4月10日には「報道ステーション」の配信もスタートさせました。

 ねとらぼでは、1周年を迎えたこのタイミングで藤田晋代表取締役社長にインタビューを実施。1年を振り返っていただくとともに、最近の取り組みや、今後の展望について伺いました。また後半では、アニメチャンネル担当者2人へのインタビューも掲載しています。

AbemaTV 藤田晋代表取締役社長とアニメチャンネルの2人 左から編成制作局の水谷誠也さん、椛嶋麻菜美さん、藤田晋代表取締役社長

1周年を迎えて

―― 1周年おめでとうございます。まずは、率直な感想をお聞かせてください。

藤田 ありがとうございます。こういうサービスは継続性が大事で、積み上げていかなければなりません。開局してからは、ずっと右肩上がりで伸びてきているので順調と言っていいんじゃないでしょうか。

―― これまでにも「視聴習慣」の重要性を繰り返し口にされていましたが、この1年で手応えは感じられましたか?

藤田 積み上げの部分ですね。見たい番組があれば、その瞬間は視聴率がグンと上がるんですけど、番組が終われば視聴者は解散してしまう。それだと意味がないので、常に見たい番組がAbemaTVにあるという状態を作らなければなりません。いまは、番組の編成も週や季節ごとなどでパターン化できていますし、視聴習慣は作れていると考えています。

―― 2017年に入ってからも、「HIPHOP」や「サッカー」「将棋」など、パワーのある新チャンネルを続々と開設していますね。

藤田 将棋は、もともとニコニコ生放送が作ったファン層があったので、非常に立ち上がりがスムーズでしたね。それ故にニコ生への申し訳なさもあります。

―― 4月10日には有料プラン(プレミアムプラン/月額960円)に「Abemaビデオ」が追加されました。現在は広告収入がメインだと思いますが、有料会員の数も着実に伸びているのでしょうか。

藤田 収益化自体はいまはあまり意識していないです。広告は結構引き合いが強いですが、有料プランの方は存在自体アピールしてこなかったのでまだ全然。でもそれなりに登録者数は増えていっています。市場規模的には100万会員とか、それぐらいの数字は目指せると思っています。

 Abemaビデオをこの時期にリリースしたのは、これまでコンテンツが蓄積されておらず、スカスカだったから。その状態でNetflixやAmazonプライム・ビデオなどと比較されても困ってしまうので。

AbemaTV 藤田晋代表取締役社長

「報道ステーション」の配信は信頼の証、象徴的な番組ができた

―― 先日には新たな取り組みとして、「報道ステーション」の配信も始まりました。

藤田 報道ステーションは、ニュース番組の中でもクオリティーが高いものだと思っています。それがAbemaTVで流れるということは、メディアとしての信頼性の高まり、流しても大丈夫な場所になったということを意味します。

 1年前に報道ステーションを流してくれと言ったら、とてもじゃないけど、皆ぞっとしたと思いますよ。それが1年たって、テレビ放送のディレイとはいえ流れたということは快挙と言っていい。そういう意味では象徴的な番組ができたかな。いずれは同時配信できるといいですね。

―― 信頼という言葉が出ましたが、その結果として番組の配信契約もしやすくなったりしているのでしょうか。

藤田 そうですね。当初は、AbemaTVがどのようなサービスか皆さん分かっていなかったと思うんです。例えば、ミュージックフェスの生放送を企画しても、アーティストが嫌がって断られたりということも多かった。それが、いまではほとんどの方がAbemaTVならいいと言ってくれます。テレビを見ていない若年層が集まっているということで、そこに対してアピールしたい芸能人やミュージシャンが率先して出たいと言ってくれるようになってきました。

AbemaTV 藤田晋代表取締役社長

―― AbemaTVの後追いとなるサービスが登場することは想定していたりするのでしょうか。

藤田 結局、先行投資事業なので、なかなかマネするところもいないんです。まず、コンテンツを調達できなくちゃいけないし、自分たちでも作れなきゃいけない。それに技術的にも優れたサービスを開発しなければいけないですし、それにはやっぱりネット企業でそれなり力がある企業である必要がある。さらにそれを運用し、かつ赤字を大きく許容できなければいけないわけです。

 調べてみたのですが、同種のサービスではAbemaTVがダントツでアクセス数が多い。逆に言うと、1年で一番多くなってしまうぐらいにまだ市場が育っていないんです。

 昔から音楽や映画といったコンテンツを提供したいという思いがあったんですけど、ここにきてスマートフォンやWi-Fiが普及してきたりと、一気にチャンスが広がった。ただ、インターネットで違和感なく動画を見るようになったのは割と最近のことなので、これから先はフロンティアのように開拓していかなければと考えています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」