「会社の食堂+社会の食堂」がコンセプトの「社食堂」 スタッフの健康管理と社会の健康管理を

社員の食堂であり、お客さんに向けた食堂でもあります。

» 2017年05月14日 13時00分 公開

 東京都渋谷区大山町にある「SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)」。建築家の谷尻誠さんと吉田愛さん率いる建築設計事務所だが、ここにはもう一つの顔がある。それは「社食堂」。社員食堂であり、一般の客も足を運べる飲食店でもあるのだ。


社食堂 シンプルなデザインの入り口

 入り口から中をのぞくと、目の前に見えるのは美しい写真、そして目線を下方にやると半地下のフロアに厨房らしきものが見える。なんだか不思議な空間だ。吸い込まれるように降りていくと、


社食堂 入り口からの風景


社食堂 半地下のフロアはシャレたキッチンスタジオのよう

 明るく開放的スペースが広がり、心地いい空気が漂っている。


社食堂 店内中央に位置する厨房

 厨房の左側はテーブル席が並び、お昼前というのに客が座ってオーダーの品を待っていた。


社食堂 ウッドとアイアンのテーブルやイスがランダムに置かれた飲食スペース

 社員だけでなく一般の方も、食事ができる場所「社食堂」。肝心の社員はどこにいるのだろうか……。そんな疑問が浮上してきたが、まずは店内を物色してみた。


社食堂 ブックディレクターBACH幅さんの選書がずらりと並ぶ

 入り口付近の壁は建築関係などの書籍が並ぶライブラリー。その前の小さなテーブルには売り物らしいものが置かれていた。


社食堂 中央に置かれたグリーンがアクセントになった販売コーナー


社食堂社食堂 オリジナル商品「kata」のS字フックなどの小物、広島県の伊都岐珈琲によるオリジナルブレンド産のコーヒー豆


社食堂 器の販売もしかりだが、広島県産のレモンも販売している

 続いて、厨房の反対側に行ってみようとカウンターの方に振り向くと、上方につるされたエアープランツが目にとまった。バサッとぶら下がった無防備な姿。しかしそれが、厨房のワンポイントとなっているのだ。さすが建築事務所、空間作りのプロ。


社食堂 エアープランツを飾ることで厨房にクリーンなイメージをプラス

 カウンター上には今日のおそうざいと思われる小皿が並び、社食らしい光景が。


社食堂 彩りが美しい浅漬け

 カウンターの向こうにはベンチシートがあり、ゆったりできそう。席につくと、オフィスが見えた。このフロアにオフィスと食堂が同居していたのだ。意外な間取りが面白い。


社食堂 壁には写真家・若木信吾さんの作品が飾られている

 なぜこんな社食堂をオープンしたのだろうか。代表取締役の谷尻誠さんに話を聞くと、スタッフの健康をケアしたかったから社食を作りたいと考えていたところ、なんならいろんな人も食べに来ることができたらいいのでは、というアイデアが加わり「社食堂」として誕生したそうだ。「スタッフの健康管理と社会の健康管理ができたらいいなと思ったんですね」と谷尻さん。


社食堂 建築家でもある谷尻誠さん

 メニューについては、「ここは、おかん料理がコンセプト。肉または魚の日替わり定食がメインで、あとカレーと丼ものがあります。ちょっと手の込んだ家庭料理を用意しています」とのこと。ここはあくまでも食堂。豊富なメニューがそろうレストランではないと言う。


社食堂 シンプルで分かりやすいメニュー

 正午を過ぎ、一般の客も続々と入ってきたころ、奥の席に座る社員にも動きが。トレーに乗った定食を持って、ダイニングテーブルや外のテーブルに座りおいしそうにご飯を食べはじめた。


社食堂 各自好きな場所でランチをとる社員のみなさん

 筆者も日替わり定食を注文してみた。食材はできるだけ谷尻さんの出身である広島のものを使用している。運ばれて来た御膳から魚を一口食べると、素材の味がしっかりと出ている。家庭料理に近いが、ちょっとセンスよく仕立てた味わいがオシャレ。


社食堂 魚の日替わり定食

 また、建築設計事務所だけあって、空間全体が洗練されている。この中に置かれている一輪刺しなどのオリジナルインテリアをはじめ、テーブルやイス、グリーンなど書籍以外のものは購入することができる。また、飾られている写真は定期的に替わるので、食堂でありながらギャラリースペースも兼ねているという。

 「始まってまだ1カ月。これから育てていけたらいいなと思っています」と谷尻さん。数カ月後には、また新しい顔が生まれているかもしれない、そんなフレキシブルな存在が社食堂のようだ。


社食堂

社食堂

東京都渋谷区大山町18-23

10時〜21時(食事は11時から)

日曜定休



(茂木宏美/LOCOMO&COMO)

関連キーワード

社員食堂 | 建築 | 料理 | インテリア


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた