1日平均135分! 食事時間が最長のフランス、何にそんなに時間をかけているの?
先進国の中で最も食事時間が長い。
世界の先進国のうち、食事時間が最も長い国はどこなのでしょうか。
経済協力開発機構(OECD)が2009年に発表した研究結果では、先進国中、飲食に最も時間を費やしているのはフランスであることが分かっています。
一日当たりの分数で見ると、フランスは135分、次いでニュージーランドが130分、そして日本が117分となっています。一方、少ないのはメキシコ66分、カナダ69分、米国74分で、長い国と比べると、ほぼ半分の時間で飲食をしています。
135分というと、1日3食換算で1食当たり45分も費やしている計算になります。一体何にそんなに時間を使っているのか、その理由を探るべく、パリ在住でフランスの文化に詳しい立神詩帆さんにリアルなところを聞いてみました。
取材協力:立神 詩帆(たつがみ しほ)さん
All About「フランス流美容」ガイド。パリ7区でサロンCHICHI(シシィ)を運営する、フランスのエステティック・コスメティック国家資格を持つエステティシャン。2011年よりパリ在住。フランスの美容や生活に精通し、パリジェンヌから学ぶ最新の美容情報やライフスタイルをパリから発信中。
フランス人は食事を順番に用意し、おしゃべりしながら食べている
――なぜフランスは食べるのにそこまで長く時間をかけるのでしょうか。
立神さん:「フランス人は、普段の食事であっても、アペリティフ(食前酒)から始まり、前菜→メイン→チーズまたはデザートの順で食事をします。日本のように複数のおかずを一緒に食卓に並べるのではなく、順番に食卓に運んで食べるので時間がかかります。
またフランス人は根っからのおしゃべり好きの方が多く、食事はディスカッションやコミュニケーションの大切な場でもあります。自分の意見を表現するのが得意な人種なので、いったんしゃべり始めると止まらなくなり、さらに時間がかかります」
フランス人の食事時間が長い理由として、食事を順番に食卓に運び、1つ1つ食べる点、おしゃべり好きな点の2つが挙がりました。
――実際、最長でどれくらいの時間食べ続けているのでしょうか。
立神さん:「週末など友人たちを招待した食事では、5〜6時間食べ続けることもよくあります。長時間に思えますが、食べ物、ファッション、バカンス、政治の話題までとにかく話題が尽きないので、あっという間に時間がすぎてしまいます」
どんな食事時間を過ごしているの?
――フランスの現地では、どんなふうに長時間の食事時間を過ごしているのでしょうか。
立神さん:「ランチは1時間〜1時間半位なので、日本でもそれくらいかける方はいるかもしれません。ただ、ディナーについては通常でも1〜2時間ほどかけます」
<普段のディナー>
立神さん:「20〜21時から始まり、1〜2時間かけてワインを飲みながら食事します。
家庭によりますが、伝統的に小さな子どもがいる家庭は、先に子どもが食事を済ませ、その後、大人が食事をします。ただ、家庭によってさまざまで、一緒に食事をとる方針の家庭もあります」
<友人達などゲストとのディナー>
立神さん:「普段のディナーと同じく、20〜21時から始まりますが、まずは全員が集まるのを待ちつつ、アペリティフからスタートします。アペリティフは、飲み物はシャンパン、カクテル、ウイスキーなど、おつまみはカナッペやチップスなどです。
その後、前菜→メインのお料理→チーズ→デザート→食後の飲み物(コーヒーやハーブティー、食後酒)の順で、ワインやシャンパンを飲みながら食事をします。そうしていると大抵0時をすぎますので、平均4時間くらいです」
食べるスピードは? 途中で満腹にならないの?
――最長5〜6時間になるという場合、食事は少しずつ食べているのでしょうか。また、途中で満腹になったり、食べることに飽きたりしないのでしょうか。
立神さん:「意外かもしれませんが、日本人が思っているほどフランス人、特にパリジャンの食べる量は多くなく、控えめです。皆さん、次の料理を考慮し、量を調整しながら食べて、すぐに満腹にならないように気を付けていますよ。食事が文化の国ですから、食べることに飽きるということはないでしょう」
フランスでは、食事形式が日本と異なるだけでなく、食事の交流タイムを生活の中で重視して、楽しく過ごしているようです。異文化を知ると自国の文化がより見えてくるもの。何かと忙しい日本人は、もっと食事時間を楽しんでみてもいいのかもしれません。
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