無表情女子とゼロ距離会話 『阿波連さんははかれない』阿波連さんの顔が近すぎる件:あのキャラに花束を
女の子に密着されて理性が揺るがない少年側がすごい。
2人いる時どういう位置に座ろう? この話題だしていいんだろうか? 相手が黙っているのって自分を嫌いだからなのかな? ああ悩ましい。
今回ご紹介するのは、人との距離が全くはかれない女の子のコメディ『阿波連さんははかれない』(水あさと)の阿波連れいな。無表情キャラ界の期待の星です。
近づきすぎ&離れすぎ、阿波連さん
ライドウくんの隣の席の、阿波連(あはれん)さん。無口で、小柄で、無表情で、声の小さな女の子。嫌われてるのかなと感じるくらい素っ気ない。
ある日、ライドウくんは彼女の消しゴムを拾ってあげます。すると阿波連さん、なぜか一気に物理的に距離を詰めてきます。顔を超絶至近距離まで近づけてくる。いやいや急激に接近しすぎじゃね? でも表情は変わらないし、声も聞こえない。何考えているのか、とんとわからない。
どうやら彼女は、相手との距離の適正値がわからないガールだったようです。
近いよ! 阿波連さん
女の子に近づかれて困る男子って、そうそういないと思う。ただ、相手がしゃべらない時、どう反応すればいいのか、だいぶ困る。
阿波連さんはライドウくんにべーーーったりです。密着というか吸着。四六時中そんなんだから、だいぶ邪魔。せめて一言あれば、何を考えているかわかって安心できるのに。
よく聞くとボソボソとしゃべっているので、聞き取ることはできます。でも鼻がくっつくほど至近距離じゃないと聞こえません。
さほど親しくないのに突然一緒にカラオケに行く。一緒にプリを撮る。お弁当をあーんさせる。うれしいとか以前に「なんで?」。
ライドウくんはかなり肝の座った少年で、ちょっとやそっとじゃ揺らがないのですが、さすがに密着状態は「近くね」と困惑します。
遠いよ! 阿波連さん
一方で一度離れると決めると、もんのすごい勢いで距離をおく阿波連さん。思いっきり離れようとします。
弁当時に距離を置こうとする阿波連さん。やらなきゃいいのにどえらい長い箸で「あーん」をしようとする。近いのか遠いのかわからん……。
彼女には「中間」がない。すっごい近いか、すっごい遠いかの二択。極端すぎて笑えるのですが、さすがにこれを繰り返すと、心配になってくる。阿波連さん、そんな無理しなくていいんだよ?
人との距離ってわかんないよ
人はパーソナルスペースを個々に持っています。自分を中心に、それ以上近づかれると不快感を感じる空間のこと。一般的には4種類にわけられます。
- 「先生と生徒」などの3m以上
- 「他人」「知らない人」との2m
- 「友人・家族」などの70cm(手を伸ばした範囲内)
- 「密着」の0〜30cm
日本だと特に何もない限りは、2番めの2m以上が平均的に適度な間隔。空いているベンチとか男子トイレだと、自然とそれくらい距離を取ります。手をつないだり握手したりするのは、70cm範囲内。30cmは、ハグしたりキスしたりする、スキンシップの距離。この感覚の個人差がかなり大きいので、わからないで踏み込むとトラブルになりがち。
ライドウくんと阿波連さんは、最初は友人ではありませんでした。だからここでいうと2mは離れていたはず。ところが阿波連さんはいろいろすっとばして、突然30cm圏内に入ってきたもんだから、びっくり。
彼女はこのパーソナルスペースのバランス間隔が、一般的なものと異なる様子。
相手の心のデリケートなところに踏み込んで、傷つけてはいないか。嫌われてはいないか。自分のバランスのとれなさに悩む彼女に、ライドウくんは言います。
「阿波連さんには、いつも通りでいてほしい。阿波連さんとは、いつもの距離でいたい」
先ほどのパーソナルスペースの問題は、あくまでも一般論。阿波連さん……は極端だけど、距離感が異なる人がいたとしても、「そういうもの」とわかっている相手がいるなら、深刻な問題ではない。
ライドウくんは、まあ困っていないと言ったらウソになる。それよりも阿波連さんが気楽に、自分と一緒に過ごせる状況を作ることを選びました。
もし阿波連と自分がくっついて歩いていたら、人はうわさするかもしれない。恋人なわけじゃないし、阿波連さんにも自分にもよくないかもしれない。
でもいいじゃん、言わせておけよ。人の目なんて気にしなくていい。君とオレとの距離は、これで正しい。
話が進むと、阿波連さんがものすごくライドウくんに対して気を使うようになります。無表情少女の気持ちがわかった時のドキドキ感半端じゃない。2人だけの秘密じゃん!
相手との距離は「測れない」し、人の考えは「推し量れない」し、相手の人柄なんて「計り知れない」。2人とも、手探りです。
ちなみに、この2人の組み合わせが好きな人は、同じ作者の『デンキ街の本屋さん』の腐ガール・ソムリエカップルもお気に召すと思います。
(たまごまご)
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