ニュース
» 2017年08月18日 11時00分 公開

なぜ拘置所は特定の商店だけを“差し入れ屋”に指定するのか 法務省と拘置所の見解、そして差し入れ代行業者が語る「利用者の実態」(後編)(1/2 ページ)

差し入れ代行業者「差し入れはしたいけど、自分の名前は出したくない人は一定数いる」

[Kikkaねとらぼ]

 刑事収容施設にいる人たちに物品を差し入れられる商店「差し入れ屋(さしいれや)」。前回の記事では拘置所の差し入れのシステムや差し入れ屋への取材内容を紹介しました。

 今回はそんな差し入れ屋をめぐる「なぜ差し入れ屋が存在するのか」「なぜ特定の商店だけが差し入れ屋に指定されるのか」といった疑問や、氏名を明かせない人が利用するという「差し入れ代行業者」の実態に迫るインタビューを掲載いたします。

法務省と拘置所に聞く、「差し入れ屋」が存在する理由

 拘置所の周辺で営業している「差し入れ屋」ですが、ふと「なぜ拘置所はコンビニやスーパーなどのチェーンと提携せず、地元の個人商店を差し入れ屋と指定しているのだろう」と思いました。


差し入れ屋 差入屋 拘置所 逮捕 差し入れ屋の外観イメージ

 大手チェーンを利用すれば商品の取扱数はぐっと増えますし、品質も一定に保たれているはずです。また先の記事でも触れた通り、ほとんどの場合商品を定価で販売している差し入れ屋に対して、これらのチェーンは定価より安い金額で商品を取り扱える可能性もあるかもしれません。なぜ差し入れ業者が特定の事業者(商店)に限られているのか、まずは法務省にお話を伺いました。

なぜ差し入れ屋は特定の業者(商店)に限られているのか――法務省の見解

 法務省の担当者によると、「差し入れ物品の中に異物が隠匿されていないかなどを確認する必要があることから、信頼できる事業者が販売している物品に限って拘置所内の人や外部からの差し入れを認めている」とのこと。つまり差し入れ屋から差し入れしてもらった食品の中にタバコが隠されていたり、布団の中に携帯電話が隠されていたりといったトラブルを防止する目的で、信頼できる業者を指定しているというわけです。

 また具体的な各地域の差し入れ屋(商店)の選定については、それぞれの地域の事情に合わせて「的確に事業が行えるだけの能力があるか」「事務に支障がないか」「商品の価格が適正か」などを総合的に判断し、刑事施設の長が選定しています。こうした地域型の差し入れ屋と併用する形で全国の刑事収容施設で利用可能な差し入れ業者も採用されており、こちらは企画提案型の公募で業者が選定しているとのことでした。

なぜ差し入れ屋は特定の業者(商店)に限られているのか――拘置所の見解

 続いて取材に応じてくれたのは、大阪拘置所。現在は拘置所近くの1軒だけが指定の差し入れ屋となっています。取材に応じた調査官によると、「以前は別の業者も指定していたが、その業者が平成25年(2013年)に廃業したため、現在は1軒だけになっている」との回答。


差し入れ屋 差入屋 拘置所 逮捕 大阪拘置所外観(Googleマップより)

 ではなぜその個人商店を指定しているのかを尋ねてみたところ、「全国の物品販売事業を行う業者(企画提案型の公募で選ばれた業者)が取り扱っていない物品もあるため、それを補うために個人商店(の差し入れ屋)を指定している」とのこと。

 また指定業者については「平成18年(2006年)に監獄法から刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律へと改正されてからは、3年ごとに見直している」との回答がありましたが、大阪拘置所が指定している業者はここ数十年同一の商店。具体的な条件については明かしてもらえませんでしたが、拘置所側が求める条件に適応できる業者はかなり少ないのではないかと推察されます。

「差し入れ代行業者」という仕事

 こうした差し入れや差し入れ屋に関して、さらに調べを進めると「差し入れ代行」という仕事があることが分かりました。差し入れ代行とは読んで字のごとく、依頼者に代わって差し入れの手続きなどを代行する業者とのこと。都内で差し入れ代行業を営むAさんにお話を伺いました。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/04/news076.jpg 君島十和子の長女・君島憂樹、 “母上のお洋服”を拝借したシャネルコーデが超絶美人 「お人形さんかと」「素敵すぎ」
  2. /nl/articles/2312/02/news048.jpg 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. /nl/articles/2312/04/news026.jpg 貞子もビビって逃げ出すレベル 驚異のハイスピードで迫るハムスターの姿に度肝を抜かれる人続出「怖いよ」
  4. /nl/articles/2312/03/news054.jpg 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  5. /nl/articles/2312/04/news028.jpg 愛猫に「猫鍋」をもらったのに、夢中になったのは予想外の…… 「違う、そうじゃない」とツッコむ展開に笑ってしまう
  6. /nl/articles/2312/04/news022.jpg 秋田犬の子犬、これで生後4カ月!? ベビーデカワンコの抱っこが「“超”大型犬ですよね」「かわいいの塊でたまらん!」と話題
  7. /nl/articles/2312/04/news021.jpg いつも空いているドッグランが大盛況→常連の柴犬が困惑のあまり…… 胸がキュッとする“うろたえっぷり”に応援の声続々
  8. /nl/articles/2312/03/news057.jpg クロちゃん、20歳年下の恋人に旅行持ちかけるも「行かない」 交際1周年のお祝いもなし「1回しっかりしゃべりたい」
  9. /nl/articles/2312/04/news099.jpg 笑福亭鶴瓶、夜中に“超一流俳優”たちの呼び出しでパジャマ出動 豪華メンツの泥酔姿に「凄いメンバー」「映画撮れそう」
  10. /nl/articles/2312/04/news016.jpg 写真家が「もう二度と撮れません」と語るエゾモモンガの水平飛行 貴重な1枚に「感動しました」「最高です!」と絶賛の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」