経産省「電動大型ベビーカーは軽車両」に釈明 「発表に言葉足らずの部分あった」
どうして誤解が広まったのか、経緯をまとめました。
経産省が「大型の電動アシスト付きベビーカーは軽車両である」と発表した、という誤解が広まっている件について、9月14日に経産省は記者会見を開いて釈明した。発表で軽車両だと見解を示したのは、ある事業者から照会があった特定の製品のみについてだったが、「電動アシスト付きベビーカーや大型のベビーカー全般が対象となるような誤解を招く、言葉足らずの部分があった」と説明した。
事の始まりは、7日に経産省公式サイトに掲載されたニュースリリース「電動アシスト付ベビーカーに関する道路交通法及び道路運送車両法の取扱いが明確になりました〜産業競争力強化法の『グレーゾーン解消制度』の活用〜」(現時点で修正無し)。
国内事業者から、ある海外メーカーの6人乗り電動ベビーカーを輸入販売するにあたって道交法上問題はないか確認を求められ、回答を公表したもの。歩道を通行できる「小児用の車」の規定(高さ109センチ、幅70センチ、長さ120センチ以内)を上回るため、道交法上では「軽車両」に該当するとし、国交省と警視庁と検討した結果、当該ベビーカーを使うときは車道または路側帯を通行するよう求めた。
なぜある事業者に向けた特定の製品についての回答をニュースリリースとして発表したのか疑問に思う人もいるだろう。経産省では、規制の範囲があいまいな分野でも新事業を安心して取り組めるよう、事業者が事前に規制対象になるか確認できる「グレーゾーン解消制度」を推奨している。今回の確認はこの制度を利用したもので、経産省としても実績を紹介する狙いがあった。
しかしリリースを受け、12日に複数のメディアが「大型の電動ベビーカーは軽車両であり、車道を走行すべきと経産省が発表した」とする記事を掲載。ヤフーニュース個人でもある自動車評論家が「経産省、電動アシスト付き大型幼児車は『車道を通行すること』と発表」というタイトルの記事を出し、車幅70センチ以上の大型ベビーカーは全て歩道を移動すると道交法違反となると、経産省の見解を批判した(すでに記事は削除済み)。
ネットでは「電動ベビーカーで車道は危ない」「大型とはいえ歩くスピードなら歩道でもいいのでは」と発表に疑問を覚える声が続出。経産省にも再検討を求めるなど問い合わせが殺到したという。一方、リリースを熟読すれば特定のベビーカーについての発表であると分かることから、ネットでは「記者が勘違いしてるだけでは」「ほとんどの電動ベビーカーは大丈夫では」とメディアを非難する声もあがっていた。
経産省は誤解を招いたことについて、「リリースで『当該電動アシスト付ベビーカー』と抽象的にではなく、もっと特定の製品についての見解であることを分かりやすく書くべきであった。言葉足らずだった」と釈明。現行法で電動ベビーカーは、「小児用の車」の規定や最高速度が時速6キロ以下といった基準を満たせば、歩道で利用できるという。手押しのベビーカーも大きさにかかわらず「歩行者」扱いになり、歩道で利用可能だ。
(黒木貴啓)
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