伝説の髪形「昇天ペガサスMIX盛り」って実在したの? 「メガ盛りスタイル」のその後を歌舞伎町のヘアサロンで聞いてきた(2/2 ページ)
―― そうなると、“トルネード花魁アップ”や“鳥かごのせちゃいました! 盛り”も?
菅野さん:僕の知る限りではいませんでした。“昇天ペガサスMIX盛り”などの名称が付くもの、付かないオリジナルのもの関係なく、“メガ盛り”と呼ばれるヘアセットのオーダーをいただいたことはありません。まわりのスタイリストから聞いたこともないですね……。
どうやら、“昇天ペガサスMIX盛り”やそれに派生するメガ盛り髪は、あくまで雑誌の一企画として紹介されていたもので、菅野さんやまわりのスタイリストが実際にオーダーされる事例や目撃例はなかったそうなのです。筆者を含め、都心部では“昇天ペガサスMIX盛り”を頭にかかげるキャバ嬢がいたと信じていた方も多かったことでしょう。すると、当時のキャバ嬢たちは一体どんなヘアスタイルをしていたのでしょうか。
―― その当時のキャバ嬢のヘアスタイル事情は実際のところどういうものでしたか?
菅野さん:“盛り髪”は確かに流行っていました。逆毛で作った“盛り”の部分が高ければ高いほど「目立てる!」ということで、高く盛ってほしいとオーダーをいただくことは本当に多かったです。
―― そのような“盛り髪”のオーダーは今でもありますか?
菅野さん:コンサートなどのイベントで目立ちたいお客さまからのオーダーはありますが、夜のお仕事をされてる方からの“盛り髪”のオーダーはありません。他のヘアセット専門サロンでは、盛り髪セット自体を取り扱っていないとも聞きます。
―― 現代のキャバ嬢のヘアスタイルはどういったものが主流ですか?
菅野さん:いかにナチュラルに見せるかを重視したヘアスタイルが主流だと思います。当時は盛り髪が作りやすいウルフカットが流行っていましたが、今は重心が毛先にあるワンレンが流行っていますよね。でも、ワンレンの髪の長さや重さが盛り髪には向いていないんです。そういったことから、盛り髪のオーダーがなくなっていったのではないでしょうか。
―― ちなみに、“昇天ペガサスMIX盛り”をオーダーすると時間や料金はどのくらいかかりますか?
菅野さん:“昇天ペガサスMIX盛り”などのメガ盛りに関しては、オーダーをされても料金関係なく承ることは難しいです。あれを作るのには針金や装飾品などといった材料が必要だと思うので、材料を持ち込んでいただくなど、準備が整っていて、こちらの時間に相当余裕がある場合でない限りは、基本お断りさせていただきますね……。
―― 盛り髪などのブームはいつ頃がピークだったんでしょうか?
菅野さん:実際のところ、“昇天ペガサスMIX盛り”などが雑誌で紹介されていた2009年頃にはもう盛り髪ブームは下火でしたね。一番盛り上がっていたのはそれ以前の2005年から2008年頃だと思います。
―― 歌舞伎町で働くキャバ嬢のヘアスタイルを見続ける菅野さんとしては、その当時や、今についてどのように感じますか?
菅野さん:当時のヘアスタイル文化はとても面白かったと思います。あの頃のような盛り上がりをもう一度巻き起こしたいと話しているスタイリストは結構多くて、それにはぼくも強く共感するんです。今後、盛り髪かどうかは別としても、あの頃のように話題になる新しいヘアスタイルを作れたらうれしいですね。
“メガ盛り”とはなんだったのか
“昇天ペガサスMIX盛り”をしていたキャバ嬢は実在しませんでしたが、“盛った”髪の高さで自身をアピールしていた時代は確かに存在していました。
レディ・ガガやきゃりーぱみゅぱみゅが奇抜なヘアスタイルを披露しても、生肉を体に巻きつけても、原宿でいやほいしても、それでも現在まで語り継がれる“昇天ペガサスMIX盛り”は、夜の街で華やかに、そしてたくましく生きる彼女たちの“強さ”が具現化したものだったのかもしれません。
個性の置きどころが多様化し、嗜好のセンスや知識、ライフスタイルなど、あらゆるもので自身の“強さ”を主張することができる現代で、自分にとって“強い”と思えるものを愚直に主張した当時のキャバ嬢のスタイルは、その頃を知らない若い人たちにとっては新鮮なものとして目に映ったのではないでしょうか。
これからも新たな文化が築き上げられていくことを予感した今回の取材。いつかまたストレートな“強さ”を示す時代が巡ってきたとき、“昇天ペガサスMIX盛り”がオーダーされる日が訪れるのかもしれません。
(あだちまる子)
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